
そもそも発達障害って?
一言に発達障害と言っても大きく分けて3つに分類されます。
さらに一人ひとりのお子さんの持つ特性も当然、異なります。
一般的には発達障害というと、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「ADHD(注意欠如・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分けることが出来ます。
これらにはそれぞれ異なる苦手の特性、方向性があるため、まずはその症状を理解することが大切です。
まず各種類でよくみられる症状を確認していきましょう。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の具体的な症状
自閉症スペクトラム障害は、自閉症や広汎性発達障害、アスペルガー症候群などが統合されてできたものです。
主な症状としては下記のようなものが挙げられます。
- その場の空気を読まず雰囲気を壊すような言動をしてしまう
- 予想外のことに対応できず、パニックになってしまう
- 自分なりのルールややり方にこだわる
- 細部に囚われてしまい、作業が進まない
ADHD(注意欠如・多動性障害)の具体的な症状
ADHDは注意欠如・多動性障害とも呼ばれ、その名の通り不注意や多動性、衝動性といったものが主な症状です。
具体的な症状としては下記のようなものが挙げられます。
『不注意型の場合』
- 興味のあることへの集中力が高く、他のことへの切り替えが難しい
- 話しかけられているのになかなか気づかない
- 細かいことに注意を払うのが苦手で、不注意によるミスや失敗が多い
- 約束や期日を忘れることが多い
- 計画を立てたり、整理整頓をするのが苦手
『多動型の場合』
- 人の話を聞かずに一方的に話したり、話し出すと止まらない
- 落ち着きが無いと指摘されることが多く、じっとしていられないことが多い
- 授業中などにじっとしていられずなにか他のことをしてしまう
『衝動型の場合』
- 自分の発言や行動を抑えることが苦手で、相手の意見や話を遮ってしまう
- 他人のものを勝手に使ってしまう
- 割り込みをしてしまうなど順番を守ることが苦手
学習障害(LD)の具体的な症状
学習障害は知的発達自体には遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」能力に困難が生じる発達障害のことです。
具体的な症状としては下記のようなものが挙げられます。
- 音読が遅く、読み間違えが多い
- マス目の中に文字を書くことが困難
- 板書を書き写す速度などが極端に遅い
- 計算を習得するのが困難
なぜ勉強が苦手なのか把握しましょう
実際に、それぞれの種類の具体的な症状を確認してきましたが、学習の面においてはどの様なカタチで症状が現れてくるのでしょうか?
よくみられる学習ん面での症状で言うと、
「先生が苦手で授業を聞けない」
「好きな科目は勉強するけれども嫌いな科目はまったくやらない」
「集中力が続かないので、勉強中もすぐに別のことに気を取られる」
「文字を書くことが極端に遅い」
「暗算はできるが筆算が苦手」
などがあります。
しかし、なぜ勉強が苦手なのかその原因がわかれば、対処できるものもあります。
たとえば「集中力が続かない」場合、視界に他のものが入ってこないようにパーティションを使ってみるとよいかもしれませんし、あるいは音楽を聴きながらだとうまくいくかもしれません。
また、20分だけなら集中できるのであれば、20分ごとに休憩を取るとよいかもしれません。
発達障害と一口にいっても特性はさまざまなので、お子さんの悩みに応じた適切な方法を取ることが重要です。
何がお子さんの勉強を妨げているのか、どうすれば勉強に取り組めるのか、お子さんといっしょに考えてみましょう。
発達障害のタイプと勉強法
前述していますが、発達障害は大きく3つのタイプに分類されます。
ですが、正確には、それぞれのお子さん一人ひとり抱える問題は違うため万人に通じた対策というものはありません。
なので、これから3つの種類それぞれについて有効になりうる勉強法や対策を紹介していきますが、改良したり、組み合わせたりすることでお子さんに合った方法を見つけることが重要になってきます。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
人とのコミュニケーションが苦手で、いわゆる「空気が読めない」といった、対人関係や社会性の面で困難を抱えています。
相手の気持ちがわからない、友達がいない、といったタイプです。
こだわりが強く、身支度の順番が変わることを極端に嫌う、見通しの立たないことが苦手、といったお子さんもおられます。
このタイプのお子さんの場合には、復習よりも予習に力を入れるとよいでしょう。
一度やっている内容であれば、授業中にも「これは知っている!」と意欲をもって聞けるのです。
また、興味のあることに対しても強いこだわりがあり、戦国武将については誰よりも詳しい、電車が好きでいつまでも見ている、などのケースもあります。
なのでまずは特異な科目や好き・興味のあることからはじめてみるのがオススメです。
国語や算数といった、科目という概念にとらわれずにお子さんの興味のある事柄を積極的に探求させるのが効果的です。
このタイプのお子さんには、苦手なものをむりにやらせようとするよりも、興味のあるものにどんどんチャレンジさせましょう。
ある分野に秀でることは、お子さんの将来につながっていく可能性があります。
さらに、化学を極めようとしているうちに数学の必要性に気づいたり、歴史を学んでいるうちに国語力が伸びたりと、好きなものをきっかけとして興味の幅が広がっていくこともあります。
趣味を通して気の合う友人も見つかるかもしれません。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
落ち着きがなくいろいろなものに興味が移りやすい、衝動的に行動しやすい、といった特徴があります。
具体的には、忘れ物が多い、ケアレスミスが多い、じっとしていられない、ケンカになりやすい、といった症状が現れます。
その反面、興味のあるものには驚くほどの集中力をみせることもあります。
ADHDの場合は不注意型なのか、多動型なのかによってかなり変わります。
『不注意型の場合』
- 持ち物リストを作る
- 見直しを習慣づける
- 親御さんも一緒になって計画を作る
- 興味のあることや科目を優先する
『多動型の場合』
- 集中力が続く時間を把握してこまめに休憩を入れる
- 勉強机の周りに物を置かない
- 集中出来る事柄を探して一つのことに集中する習慣をつける
また、ADHDの場合には、投薬治療によって注意集中力があがったり、衝動性が抑えられたりして、生活の質が大きく上がるというケースも多くあります。
投薬治療に興味がある場合は医師に相談してみるとよいでしょう。
学習障害(LD)
「読む」「話す」「書く」「計算する」など、学習に関する特定のことだけが極端に苦手なタイプです。
教科書の音読ができない、マス目からはみ出すような文字を書く、数が数えられない、などが代表的な症状です。
このタイプのお子さんの場合、何が苦手なのかをはっきりさせることが状況の改善に役立ちます。
苦手な作業を肩代わりしてくれるツールを使えば、負担を大きく減らせるからです。
学習障害のお子さんの場合にはICTを用いて学習を進めるのが、非常に有効な手段です。
読むことが苦手なら読み上げ機能のあるPCやタブレットを使う、書くことが困難ならタイピングを覚えて文字を手書きせずに済むようにする、聞き取りが苦痛なら視覚的に理解できる学習アプリや図形パズルに取り組むなど、苦手を助けてくれるツールを取り入れてみましょう。
まずはお子さんに寄り添うことからはじめてみませんか?
発達障害のお子さんには「できない」「苦手」なことがあります。
それを見ている保護者や先生は、「なぜこんなことができないの?」「漢字の書き取りを終わらせなくちゃダメでしょう!」などと、勉強ができないことを叱ったり、責めたりしてしまうかもしれません。
しかし、お子さん自身が「できない」「苦手」なことに十分困っているのです。
叱ってしまうことはお子さんのやる気を失わせ、「自分はダメなんだ」「頑張ったってむりなんだ」と自分自身を否定してしまいます。
どのタイプの学習障害の場合でも成功体験を積んで、たくさん褒めてあげることで自己肯定感を上げてあげることは何よりも大切なことです。
保護者の方は、お子さんの「できない」ことを責めるのではなく、「できた」ことを認め、褒めてあげてください。
朝一人で起きられた、自分から気づいてお手伝いをしてくれた、ひとつだけ文字がとてもきれいに書けた、そんなことでよいのです。
褒められたことは、お子さんの自信につながります。
「次もきれいに書いてみよう」「今度はこんなふうにやってみよう」という気持ちになれるのは、叱られたときではなく、認めてもらえたときです。
お子さんの気持ちにしっかりと寄り添って、「できる」を一つずつ積み重ねていきましょう。
ひとまとめに発達障害といっても、お子さんそれぞれに違った特性があり、当然実施するべき施策も異なります。
ADHDだからこう、自閉症スペクトラム障害の場合はこっち…という風に対策を講じても、実際にはお子さんにフィットしないというパターンも充分起こりえます。
- 発達障害がいくつか併発している場合
- どれにも明確に区分できないわゆるグレーゾーンの場合
- 診断名は出ているものの、特殊な特性がある場合
そもそも発達障害の有無に関わらず、お子さん一人ひとりにそれぞれの性格や好き嫌いがあるのですから当然のことですよね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では学習障害という特性を持つお子さんについてその症状や、その対策となりうるようなことについてご紹介してきました。
発達障害のお子さんには、「できない」「苦手」なことがあります。
しかし、驚異的な集中力を発揮して物事に取り組める、たくさんのことに興味があるので他人と違った発想ができるなど、素晴らしい個性の持ち主でもあります。
有名な話ではありますが、エジソンやアインシュタイン、スティーブ・ジョブズなど多くの偉人も実際に発達障害を持っていました。
マイナスな面と捉えるのはすでに昔の考えで、現代では発達障害は1つの特性であり、その分一般の人よりも秀でている部分があるという認識が一般的になりつつあります。
ですが、実際親御さんのバックアップが必要だということも事実です。
この記事を参考にしていただき、発達障害であることをプラスに伸ばしていくことが出来る方が増えることを筆者自身願っています。