最近注目されているのが、都立の中高一貫校です。この記事では、都立中高一貫校とはどのような学校なのか、都立中高一貫校の種類、入試の内容や対策、それぞれの学校における特色などについて紹介していきます。
【今更聞けない】都立中高一貫校ってなに?
都立中高一貫教育校は、前述の通り、東京都が設立した公立の中高一貫教育の学校のことです。以下の項で詳細を紹介します。
都立中高一貫教育校の種類
都立の中高一貫教育校には1・中等教育学校、2・併設型、3・連携型の3種類があります。このうち、一般的に中高一貫教育校と言われているのは、中等教育学校と併設型をさすことが多いです。以下では、それぞれについて詳細を解説していきます。
中等教育学校
原則として、中学校と高校の6年間を前期と後期に分けて一貫して教育を行い、後期課程からの募集はありません。以下にそれぞれの特色を簡単に述べます。
都立桜修館中等教育学校
英語教育が盛んで、ICTによるオンライン英会話の授業があったりします。「高い知性、広い視野、強い意志」が教育目標です。
都立立川国際中等教育学校
国際社会でリーダーになれる人材の育成を目標にしています。そのため、国際教育や英語教育に力を入れ、国際色豊かな環境にある教育が行われています。
都立南多摩中等教育学校
「課題発見力」と「コミュニケーション力」からなる「フィールドワーク活動」が特色です。なお、中高一貫教育校としては珍しく、前期課程から後期課程へ進級するときに、接続テストに合格することが求められます。
都立三鷹中等教育学校
ICT教育に力を入れており、前期課程生徒は2in1端末の貸与を受けることができます。また、月に4回ほど、外国語指導助手による指導を行っているなど、英語教育にも力を入れています。
都立小石川中等教育学校
創立時より、「理化教育」という理科の授業に特に力を入れる独自の教育を行っています。この理科の授業の約7割は、仮説と検証を繰り返す実験・実習に当てられています。また、文系と理系に分けることなく、すべての授業が必修であることも特徴です。
併設型(都立中学校+都立高校)
併設型が前述の中等教育学校と異なるのは、「都立高校の付属校」という位置づけのため、高校も外部からの生徒を募集しているということです。ただ、中学から入ってきた生徒が併設の高校に進学する場合は、高校入試はありません。以下にそれぞれの特色を簡単に述べます。
都立両国高等学校附属中学校
実験・観察の重視などコミュニケーションにたけた人材の育成を行っています。また、自主性を重んじていること、「実践英語」が必修など英語教育に力を入れていることも特徴です。
都立武蔵高等学校附属中学校
習熟度別の授業が行われたりするなど自由度が高い校風で知られています。また、国際社会のグローバル化に対応して、地球上のあらゆる事象を教科の枠を超えて学習する「地球学」という独自の科目もあります。
都立大泉高等学校附属中学校
「探求の大泉」を理念に掲げ、生徒が自分で課題を見つけて自主的に行動できるようになることを目標にしています。また、英語や数学の授業は少人数で行われているのも特徴です。
都立白鴎高等学校附属中学校
「開拓精神」をモットーに掲げ、自己の人生を切り開いていく力の育成を教育理念としています。また、日本の伝統を大切にしており、入学してからも、高校過程になると三味線と長唄が必修です。さらに、「プレゼンテーション」の授業があるなどグローバル化に対応できる人材の育成に努めています。
連携型
既存の中学校と高校について、都の教育委員会が選定した学校間で中高一貫教育を行う形です。連携中学から連携先の高校への進学する場合、調査書や学力検査なしの簡単な選抜を行うことができます。以下に簡単にそれぞれの学校の特徴を述べます。
三宅高校(連携校:坪田中学校・三宅中学校・阿古中学校)
将来の三宅島を担う人材の育成を目的として、三宅島の自然・文化・歴史について力を入れています。
詳細:中高教員の相互乗り入れや高校の体験入学、学校行事の合同開催などを行っています。
新島高校(連携校:新島中学校・式根島中学校)
人権尊重とモヤイ(力をわせること)の精神で新島を愛する教育に力を入れています。
詳細:中学と高校の授業の連続性重視のため、各教科の中高の教員のチームティーチングなどを行っています。
永山高校(連携校:諏訪中学校、貝取中学校、多摩永山中学校)
地域と密着した連携と交流によって多様な個性や才能を育むことに力を入れています。
詳細:中学と高校で一貫したテーマの選択科目の開設などが行われています。
広尾高校(連携校:広尾中学校)
進路指導に力を入れて目指す進路を実現させることによって人間性豊か、かつ独立心旺盛な人材の育成を目指しています。
詳細:中高生が一緒に受講できる授業の開設や施設の共通利用などが行われています。
芝商業高校(連携校:飛鳥中学校、十条中学校)
備え付けのテレビ会議システムを利用してビジネスなどについての教育を推進し、職業観や職業選択能力の育成に力を入れています。
詳細:テレビ会議システムによるビジネス教育や、選択教科などにおける中高接続プログラムの実施などが行われています。
蔵前工業高校(連携校:浅草中学校)
中学時より、ものづくりの重要性について教育を行い、スペシャリストの育成を目指しています。
詳細:高校の教員によるナビゲーション授業や、高校の施設を利用したものづくりの授業などが行われています。
都立一貫教育校の比較
ここまで、都立中高一貫校の特徴などについて述べてきましたが、この項では、それぞれの進学実績について述べていきます。
都立桜修館中等教育学校
平成31年度は、国公立大学では横浜国大と一橋大が多く、私立大学では明大と早稲田が多かったです。令和2年度は国公立大学では横浜国大と東大、東京都市大が多く、私立大学では明大と早稲田に多く進学しています。令和3年度は国公立大学では横浜国大と東大が多く、私立大学では明大と早稲田、中央大が多いです。全体として、国公立大では横浜国大、私立大では明大と早稲田に進学する生徒が多いです。
都立立川国際中等教育学校
平成31年度は、国公立大学では東京外大、東京農工大、東京学芸大が多く、私立大学では中央大、早稲田、日大、明大、東洋大に多く進学しています。令和2年度は国公立大学では東京外大、東京農工大、東京学芸大、横浜国大が多く、私立大学では中央大、早稲田、立教、法政大、明大、東洋大が多かったです。令和3年度は国公立大学では一橋大と東京農工大が多く、私立大学では中央大、早稲田、上智、明大、立教、法政大に多く進学しています。全体として国公立大では東京農大、私立大では明大に進学する生徒が多いです。
都立南多摩中等教育学校
平成31年度は、国公立大学では東京外大と東京農工大が多く、私立大学では中央大、日大、法政大、明大と令和2年度は国公立大学では東京外大、東京学芸大が多く、私立大学では中央大、日大、法政大、明大、東京理科大が多かったです。令和3年度は国公立大学では北大と東京農工大が多く、私立大学では中央大、法政大、明大が多かったです。全体としては国公立大では東京農工大や東京外大、私立大では中央大と法政大に進学する生徒が多いですが、ここ2年間は明大に進学する生徒が増えています。
都立三鷹中等教育学校
平成31年度は、国公立大学では首都大学東京と東大が多く、私立大学では明大が多かったです(GMARCHのみしかデーターなし)。令和2年度は国公立大学では東京都立大(旧首都大学東京)が多く、私立大学では明大と法政大が多かったです。令和3年度は国公立大学では東京外大、横浜国大、東京都立大が多く、私立大では明大と中央大が多かったです。全体として国公立大では東京都立大、私立大では明大に進学する生徒が多いですが、年度による変化も多いです。
都立小石川中等教育学校
平成31年度は、国公立大学では東大が多く、私立大では早稲田が多かったです。令和2年度は国公立大学では東大と一橋大が多く、私立大では早稲田、明大、東京理科大が多かったです。令和3年度は国公立大学では東大が多く、私立大では早稲田、明大が多かったです。全体として国公立大では東大、私立大では早稲田に進学する生徒が多いですが、ここ2年間は明大に進学する生徒が増えています。
都立両国高等学校附属中学校
平成31年度は、国公立大学では千葉大と東京工大が多く、私立大では明大、早稲田、東京理科大が多かったです。令和2年度は国公立大学では千葉大と筑波大が多く、私立大では明大、早稲田、東京理科大、立教が多かったです。令和3年度は国公立大学では千葉大と東京工大が多く、私立大では明大、早稲田、東京理科大が多かったです。全体として国公立大では千葉大、私立大では明大、早稲田、東京理科大に進学する生徒が多いです。
都立武蔵高等学校附属中学校
平成31年度は、国公立大学では一橋大が多く、私立大では明大と早稲田が多かったです。令和2年度は国公立大学では東大と東京都立大が多く、私立大では明大と早稲田、法政が多かったです。令和3年度は国公立大学では東京都立大が多く、私立大では明大と早稲田が多かったです。全体として国公立大ではここ2年は東京都立大、私立大では明大と早稲田に進学する生徒が多いです。
都立大泉高等学校附属中学校
平成31年度は、国公立大学では首都大学東京と一橋大が多く、私立大では明大と早稲田が多かったです。令和2年度は国公立大学では東大と東京都立大が多く、私立大では明大と法政が多かったです。令和3年度は国公立大学では東京都立大が多く、私立大では明大が多かったです。全体として国公立大ではここ2年は東京都立大、私立大では明大、早稲田に進学する生徒が多いです。
都立白鴎高等学校附属中学校
平成31年度は、国公立大学では東大、筑波大が多く、私立大では明大と早稲田が多かったです。令和2年度は国公立大学では千葉大、筑波大が多く、私立大では明大と早稲田、法政が多かったです。令和3年度は国公立大学では筑波大、茨城大、東京外大が多く、私立大では明大と東洋大が多かったです。全体として国公立大では筑波大、私立大では明大、早稲田に進学する生徒が多いです。
都立富士高等学校附属中学校
平成31年度は、国公立大学では千葉大と東京学芸大が多く、私立大では明大、早稲田、日大が多かったです。令和2年度は国公立大学では東京学芸大が多く、私立大では明大が多かったです。令和3年度は国公立大学では東京都立大学が多く私立大では明大、早稲田が多かったです。全体として国公立大では過去2年間は東京学芸大が多く、令和3年度は東京都立大が多く、私立大では明大、早稲田に進学する生徒が多いです。
都立中高一貫校の入試傾向
都立中高一貫教育校の入試では、小学校の報告書と適性検査が行われます。この項では、それぞれの学校における入試傾向を紹介していきます。
報告書について
都立中高一貫教育校提出される報告書に記載されるのは、お子さんの5・6年生の時の成績と学校での様々な活動で、担任の先生が記載し、ほかの数人の先生が確認して校長先生が内容を承認することになっています。ほとんどが成績ですので、教科でよい成績をとることが重要です。都立桜修館中等教育学校では割と重視され、都立富士高等学校付属中学校ではあまり重視されていません。
適性検査について
適性検査では、その学校独自の問題が出題されます。1と2、3の3種類あります。以下にそれぞれの学校について特徴を述べます。
都立桜修館中等教育学校
報告書300点、適性検査700点の1000点満点で、最も報告書の割合が高いです。
国語系の文章を読んで意見を書く記述問題の適性検査1と私立中学の問題に近く図形問題などが出題される適性検査2があります。自分の考えをはっきりと述べることのでき、かつ基礎的な学力のあるお子さんを求めていると考えられます。
都立立川国際中等教育学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
国語系の文章を読んで意見を書く記述問題の適性検査1のみで、文章を読んで内容を要約することとその内容に対する自分の意見を述べる問題が出題されます。文章の内容を理解でき、自分の意見を持つことができることを重視していると考えられます。
都立南多摩中等教育学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
都立立川国際中等教育学校と同じで国語系の文章を読んで意見を書く記述問題の適性検査1のみで、文章を読んで内容を要約することとその内容に対する自分の意見を述べる問題が出題されますが、文章構成の指示を守ることが求められます。文章の内容を理解でき、自分の意見を持つことができることのほかに規則を守れることも重視していると考えられます。
都立三鷹中等教育学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
国語系の文章を読んで意見を書く記述問題の適性検査1と問題と表などからルールなどを見つけ出して解く問題が出題される適性検査2があります。文章の内容を理解でき、自分の意見を持つことができることのほかに文章から様々なルールなどを読み取ることができることを重視していると考えられます。
都立小石川中等教育学校
報告書200点、適性検査600点の800点満点で、比較的報告書の割合が高いです。
様々な表やグラフを正確に読み取る必要のある社会系の適性検査1と身近な事象をサイエンスの視点から検証する問題と図形の問題が多い算数の問題からなる適性検査2があります。身近な事象から問題を発見する力を重視していると思われます。
都立両国高等学校附属中学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
表や条件を理解して計算に持っていく問題の適性検査1があります。文章を理解する力を重視していると考えられます。
都立武蔵高等学校附属中学校
報告書400点、適性検査1200点の1600点満点で、比較的報告書の割合が高いです。
社会的あるいは理科的な問題について親子の会話と資料から問題を解く適性検査2と、図形の問題が多い算数系と理科系の様々なジャンルから出題される適性問題3があります。社会的なテーマに関心があることと、問題をよく読む力を重視していると考えられます。
都立大泉高等学校附属中学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
生物の問題が多い理科系の問題と図形の問題が多い算数の問題が一題ずつ出題される適性検査3があります。基礎的な学力を重視していると考えられます。
都立白鴎高等学校附属中学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、比較的報告書の割合が低いです。
都立立川国際中等教育学校の問題に近い国語系の問題が出される適性検査1と図形の問題が多い絵適性検査3があります。問題文を正しく理解できることを重視していると考えられます。
都立富士高等学校附属中学校
報告書200点、適性検査800点の1000点満点で、最も報告書の割合が低いです。
あみだくじなど独特の問題と図形の問題の2題が出題される適性検査3があります。問題文をきちんと読み取る力と柔軟な考え方ができることを重視していると考えられます。
都立中高一貫校のメリット・デメリット
都立中高一貫校は人気がありますが、もちろんメリットとデメリットがあります。この項では、メリットとデメリットについて紹介します。
メリット
都立中高一貫教育校のメリットとしては、
・公立なので学費が安いー私立中の約半分くらいで済む
・独自の水準の高い教育が受けられる
・6年間一貫教育なので、3年ごとの受験がなく、落ち着いて大学受験の対策をとることができる。
などがあります。
デメリット
都立中高一貫教育校のデメリットとしては、
・6年間受験がないので、お子さんによっては中だるみ現象を起こすことがある。
・お子さんによっては、校風が合わなかったり、入ってから勉強についていけずに苦労することがある。
などがあります。
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今人気の都立中高一貫教育校ですが、その分、倍率も高く、早めの対策が必要です。また、各校で入試傾向が異なるためお子さんの志望校に合った勉強方法で学習を進めることが重要になってきます。
集団塾での対策は中高一貫校のクラスであってもクラスにいる他の子は自分とは別の志望校であるといったこともあります。
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