
社会人で学び直しをすること
社会人になってすぐは「朝早くに起きて勉強しよう」「休日は読書をしよう」と考えていた方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ入社してみると、「残業続きで朝早く起きれない」「飲み会や付き合いで、休日は疲労回復するので精一杯」な方もいるでしょう。
総務省統計局が2016年に実施した「平成28年社会生活基本調査」では、1日の勉強時間の平均は6分という結果が出ているとおり、社会人の勉強時間は決して多いとは言えません。
しかし最近ではコロナウイルスの影響で家にいる時間が増えて、社会人で学びなおしをする方が増えています。以下では学びなおしについて紹介します。
リカレント教育
義務教育を修了し社会に出て働いている方が、大学や専門学校などの教育機関で再び教育を受けることをリカレント教育と呼びます。人生の寿命が伸びていく中、生涯学び続けて自分の知識やスキルを高めていくことで、人生をより楽しく過ごすことができるでしょう。
近年では文部科学省が主導して、リカレント教育を推進しています。リカレント教育を通じて、収入アップを期待したり、好条件で転職を行いたいと考える人もいます。また若いときには興味がなかった分野に社会人になってから興味を持ち、学び直したいという人もいます。
変化の大きい現代において、キャリアアップのための転職が以前よりも当たり前になり、就職して一つの会社で定年まで働くことは少なくなりました。どの会社に属しても、また自分ひとりの力で生きていけるようにするためにも、学び続ける必要があります。
多様な社会人の学び直し
「社会人の学びなおし」とひと括りに紹介しましたが、学びなおしにも種類が豊富にあります。以下で学びなおしの内容について解説します。
社会人大学院(大学)
学びなおしと聞いて想像するのは、大学や社会人大学院に通って勉強することではないでしょうか。学びなおしのために大学や大学院に通う方法は、いくつか種類があります。
- 社会人向けコース
2019年ではおよそ3,000以上の大学で社会人特別選抜を実施しています。
社会での実務経験のある人材に対して、リフレッシュ教育の機会を提供するとともに、多様な人材を受け入れることで大学院の活性化を期待できます。
社会人のための大学院コース|京都大学
大学院募集要項令和4年(2022年)度|筑波大学大学院
- 編入学
短期大学や高等学校の卒業生の中で、4年生大学への編入学を希望する方が増えています。
この流れを受けて、大学設置基準の改正が実施され、編入学のための枠として広く受け入れられるようになるなど、制度の面でも社会人の学び直しをバックアップするような流れができています。
- 夜間部、昼夜開講制
社会人の学びなおしもさまざまです。
一旦会社を辞めて大学に通えば、短期間で効率よく学ぶこともできますが、会社から給料がなくなるのに加えて、大学の学費は非常に高額で、私立大学の場合年間の学費で100〜150万円かかる場合も多いなど、かなり余裕のある貯蓄がないと現実問題厳しいという現状があるのも確かです。
そこで、社会人が働きながら学べるように、多くの大学で夜間部コース・昼夜開講制を実施しています。
時間に制約がないので、仕事との兼ね合いを調整しながら、より多くの社会人の方に学びなおしの場が提供できます。
- 科目等履修生
科目等履修生とは、大学に入学することなく興味のある特定の科目を履修できる制度です。
入学はしていないものの、大学の正規の単位が得られるため、後にその大学に入学した場合、科目履修生として得た単位は卒業に必要な単位として認められます。
本当に履修したい科目だけ受講できるので、働きながら通うことも十分に可能です。
- 聴講生、研究生
大学には聴講生という学生もいます。
聴講生とは、単位の取得を目指さずに、学部や大工員で開講されている授業科目を聴講する学生のことを指します。
また研究生も単位の取得は目指さずに、指導教官の下で特定の研究課題について研究を深めていくことが目的です。
聴講生、研究生ともに大学で募集しているケースがあります。
「単位はいらないけど、この教授の研究に携わってみたい」という方は検討してみるのもいいかと思います。
新技能習得(資格や技能)
業務に必要な資格を取得することも学びなおしに含まれます。
主に、スクールに通ったり通信教育で勉強します。
特にスクールでは、社会人が通っているケースも多く、学生塾のようにお互いに切磋琢磨しながら、資格取得に向けて勉強できます。
筆者自身、公認会計士のスクールに通っていたことがありますが、体感4割程度の方が社会人の方でした。
反対に通信教育では、通学する必要すらありません。
自分のペースで勉強できますので、今の仕事のリソースを減らすこと無く学ぶことが可能です。
社会人インターン
現在働いている会社があるものの「もっと違うことがしたいので転職したい」「自分の市場価値がどれくらいか知りたい」と考えている方は少なくないでしょう。
ただし、いきなり転職活動をしても、なかなかスムーズに事が進まず、休職機関が生まれてしまいブランクが空いてしまうというケースも少なく有りません。
そこでおすすめなのは、社会人インターンです。
社会人インターンでは、現在働いている会社を辞めずに他社で働くことで、スキルアップになったり転職活動に活用できます。
1日、短期(1週間~1ヶ月)、長期(1ヶ月~半年)など働く期間を選択できますので、自分のスケジュールに合わせて参加してみましょう。
社会人インターンをうまく利用することで、今の会社をやめずに、他社を比較できたり、転職の際にブランクが空かないなどと言ったメリットがあります。
大規模公開オンライン講座(MOOC)
MOOCはMassive open online courseの略称で、オンラインで誰でも無料(一部有料講義もあり)で利用できるコースを提供するサービスです。受講者が希望すれば、有料で修了証を発行できます。
インターネットとパソコンを用意するだけで、世界トップクラスの大学・機関の講義を受講できます。「留学して英語力を高めたい」「仕事を休まずに専門分野を学びたい」という方におすすめです。
MOOCの一つである「いまスタ!」は文部科学省が開始したプロジェクトです。
社会全体でのリカレント教育の機運を高め、普及啓発し、学び直しをしようと考えている人が一歩を踏み出す一助となることでしょう。
いまスタ!社会人の学び応援プロジェクト|YouTube
どれくらいの社会人が大学に進学しているのか
それでは、一体どれくらいの社会人が大学で学びなおしているのでしょうか。
2016年と少し古いデータではありますが、文部科学省の「社会人の学び直しに関する現状等について」では、平成27年度の大学の学資家庭への入学者数は1.1万人でした。
その後、まだこの調査が行われていないため、2022年度時点での正確な人数はわからないものの、人数は増加していることが予想されています。
また大学院で学ぶ社会人の9割がICTなどを活用した対面以外でのカタチで学びを進めているというのが現状です。
つまり通学にかける時間はないものの、ICTなどをうまく活用して大学や大学院で専門分野を学んでいる人が多くいるということがわかります。
また、2022年に行われた『マイナビ転職』による「社会人の学び直しに関する実態・意識調査」では、以下の様な結果が出ています。
上記の結果から多くの社会人の方が「学び直し」に興味を持っているということがわかるかと思います。
そしてこれに関しては、筆者自身かなり驚いたのですが、現在「学び直し」をしている人と、過去にしたことがあるという人の合計が過半数以上という結果が出ており、かなりの数方がすでに「学び直し」を実際に行っているということがわかりました。
これらのことから、「社会人の学び直し」が現代ではかなり浸透しており、ポピュラーなものになっていることがわかるかと思います。
では実際に、学び直しをしてみたいと思っても
「私の学びたいことを学ぶには、結局なにを利用するのがオススメなの?」
「キャリアアップに有効な資格やスキルは?それを学ぶにはどうするのが良い?」
とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、キャリアアップにオススメの資格やスキルをご紹介した上で、「学び直し」の目的別にオススメのサービスのご案内までを1つの資料にまとめた
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オンラインで公開されているコース(MOOC)の紹介
MOOCは有名な大学の講義を無料(一部有料)で受けることが出来るためここ数年で急激に世界規模でサービスが拡大しています。
修了証書などの発行も出来るため、転職の際などに履歴書などに記載する事が出来る点も魅力の1つです。
ここからはそんな社会人の学び直しにおすすめしたいMOOCについてご紹介していきたいと思います。
Coursera
Courseraでは、ビデオ講義を主軸に、討論が行えるコミュニティ機能やテスト、課題などが用意されています。1つの授業はおよそ10分程度で視聴でき、言語学習やビジネスに関する知識を学べるほか、近年人材不足に悩んでいるIT分野の講義を受講できます。
基本的に無料で講義を受講できますが、一部有料コースもあります。有料コースは39ドルから提供され、上記の内容に追加課題やプロジェクト、コース証明書の取得ができます。
Courseraトップページ
edX
edXは、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学によって設立され、無料で授業を提供するMOOCの一つです。科学と医学分野に重きを置いて、評判のいい大学の授業を提供しています。
Courseraと同様に有料コースがあり、修了証を発行するためには有料コースに入るしかありません。edXには5つの修了証があり、それぞれ費用が異なりますが例外を除いて10万円程度で取得できます。
例外とは、修士号を取得する場合です。edXでは、MBAや会計士、IT分野などの以下の10の修士号が取得できます。キャンパスに通学した際の授業と同じ講座が受けられるため、多くの学生に利用されていますが、費用は100万円~200万円ほど必要になりますので、注意しましょう。
edXトップページ
Udacity
2011年に実験として配信された「人工知能入門」を皮切りに、ベンチャーキャピタルから出資を受けUdacityは設立されました。データサイエンスやAI、プログラミングといったIT分野を中心に構成されており、GoogleやIBM、Amazonといった世界的大企業も講座を提供しています。
Udacityも基本的に無料で受講できますが、修了証を取得するためには月額定額制の「ナノディグリープログラム」に入会する必要があります。
ナディグリープログラムでは月額5万円程度かかるものの、「実際のプロジェクトを通じた学び」「1対1のテクニカルメンター」「コーチによるキャリア相談」などのサービスを受けることができます。一人で勉強することに不安があっても安心です。
Udacityトップページ
Udemy
MOOCではサブスクリプション(月額課金制)で講義を受講することが多いので、忙しくて勉強する時間が取れなくても費用を払う必要があります。一方でUdemyは、買取型などで一度講座を購入すると学習期限なしで、自分のペースで学習できます。
ITや財務会計、音楽などカテゴリーが幅広く用意されています。講義は業界の専門家が行うものの、人によってクオリティに差が出ます。しかし購入する前に受講した人の声を見たり、購入後に「思っていたものと違う」となったら購入後30日まで返金を要求できますので安心してください。
Udemyトップページ
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では「社会人の学び直し」について深堀りして紹介してきました。
社会人の学び直しは至ってポピュラーになりつつあり、それに伴って制度やサービスも整ってきています。
今回記事の中で紹介したようなものを参考にぜひ社会人の学び直しをキャリア形成に組み込む検討をしていただければ幸いです。