【インタビュー】仙台白百合学園高等学校

仙台白百合学園高等学校の渡邊教頭先生へマナリンク運営局がインタビューさせていただきました！


渡邊先生
仙台白百合学園高等学校通信制課程教頭
宮城県出身。宮城教育大学卒業後、東北大学大学院文学研究科に進み、『平家物語』を専門に学びました。
平成25年から母校である仙台白百合学園中学・高等学校で国語の担当を務め、平成29年から通信制課程に携わっています。

校風を教えてください

本校仙台白百合学園は、令和5年で創立130周年を迎えます。キリスト教精神に基づいた建学の精神、「従順・勤勉・愛徳」の校訓のもと、愛の心をもって人類社会に奉仕できる女性の育成を目指して教育活動を行ってきました。



全国に7つある姉妹校の中で、本校仙台白百合学園高等学校のみが通信制課程を持っています。社会の変化や多様化に伴い、様々な個性に対応できる教育が求められる一方、画一的な学びや集団生活を望まない個性の存在も取り上げられるようになりました。

そのような多様な個性に寄り添い、「誰も取り残されない学校」となることがミッションスクールとしての本校の役割と考え、平成26年に全日制課程の併設校として通信制課程「エンカレッジコース」を開設しました。開設初年度の生徒数は38名、その年の9月に最初の卒業生2名を送り出してから、まもなく10年目を迎えようとしています。

対象学年や対象年齢

中学校卒業（見込み）の女性であれば、年齢の上限はありません。

通信制課程の対象エリアを教えてください

本校は広域通信制です。宮城県の他、北海道・⻘森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・新潟県・埼玉県・千葉県・東京都に在住の生徒が対象となります。
（令和５年２月現在）
宮城県や近県に在住の生徒は、通常のスクーリング（対面指導）のため週２〜３回程度登校します。遠方の生徒対象に、年8回（2泊3日程度）の集中スクーリングを実施しています。

通信制課程はどのような生徒様におすすめか教えてください

「様々な困難を抱えてもなお、『学び』に対する強い意志を持った生徒」、「全日制課程とは異なるゆとりあるカリキュラムの中で、自分のペースで未来を切り開きたい生徒」、「様々な体験を通して自らの個性や可能性を伸ばしたい生徒」を歓迎します。

本校は「女子校・ミッションスクール・全日制課程と併設」という３つの大きな特徴を持ちます。女子だけで学ぶ安心感を求める方、キリスト教精神・奉仕の心に触れたい方、恵まれた施設の中で「高校生らしい高校生活」を送りたいという方のご入学をお待ちしています。

貴校にあるイベントを教えてください

キリスト教の関係行事「修養会」「クリスマス会」が本校の大きな特徴です。
「お祭り」としての会ではなく、ミサを通して神様と対話する大切な時間です。本校は様々な体験を通して生徒が社会とつながることを重視していますので、多くの体験学習を実施しています。




秋の遠足、職業人の方を招いて実施するワークショップ「キャリアデザイン講座」、本校の教員が講師を務める「エンカレッジコース・オリジナル・プログラム（EOP）」などがあります。

またボランティア活動にも力を入れており、本校の併設中学校・高校全日制課程と合同で行う路上生活者のための炊き出しや清掃活動、併設小学校の時間外預かりのお手伝いをする「WithKidsボランティア」など多様な活動があります。

自慢ポイント

本校には部活動はありませんが、特定の条件のもと全日制課程の部活動に参加することが可能です。
定時制・通信制の高体連・高文連に所属しているので、そちらの大会に参加することもできます。過去に剣道で全国に進んだ生徒がいました。

全日制課程と同じ校舎を使用しているため、調理室・理科室・音楽室・体育館などの施設・特別教室がとても充実しており、スクーリングで実習や実験を数多く取り入れています。
「高校生らしい高校生活を送りたいけれど、集団生活はちょっと・・・」という生徒さんにはおすすめです。充実した教育環境のもと、生徒たちはのびのびと日々を過ごしています。


平成27年12月から3年間、文部科学省の「多様な学習を支援する高等学校の推進事業」の委託を受け、本校ならではの学習プログラムを開発しました。
具体的には前述の「本校にあるイベント」の内容になりますが、生徒の可能性を広げる有効な教育プログラムとして評価いただき、現在へと続く本校の教育活動の礎となっています。

不登校の方や、登校が難しい方でも入学・卒業することは可能ですか？

本校はクラス担任制をとっており、生徒一人一人に寄り添って支援しています。毎月のHRの他、年間を通して生徒・保護者との面談を実施し、教職員一丸となって単位修得・卒業をサポートしています。

教職員は年に何度も特別支援・カウンセリングに関する研修を受け、本校のスクールカウンセラー・養護教諭、校外の様々な専門家と協働して教育活動を行う態勢を整えています。

また本校は単位制の学校であるため、生徒は無理に3年で卒業する必要はありません。心身ともに不安のある生徒は、担任と話し合いながら自分のペースに合わせて学習プログラムを組み立てることができます。

単位を修得するためにスクーリングへの出席やレポートの提出が必要になりますが、スクーリングの開始時間が全日制と比べて遅い（本校の場合は、全日制の3時間目を1時間目としています）こと、登校日数が少ないこと、レポートでわからないことがあればいつでも教科担当者がサポートすることなどによって、在籍する生徒のほとんどが問題なく単位修得、卒業していきます。

入学者の多くが小・中学校時代に不登校を経験しており、入学時は「とても卒業後のことなど考えられない」と言っています。しかし、本校で日々を過ごすことで夢や目標を見つけ、自分自身のことを堂々と語れるようになり、大学や専門学校へ進学していきます。

エピソードを一つご紹介すると、今は卒業してしまいましたが、非常に重い場面緘黙の生徒がいました。最初の年は全く声を発することができなかったのですが、担任が常に寄り添い、少しずつ少しずつできることが増えていきました。

「調理室はどこですか」という彼女の声を初めて聴いたとき、職員室中で手を取り合って喜びました。生徒たちを見ていると、「諦めない」ということがどれほど大切なのか思い知らされます。

教育に対する熱意や教育方針

「本校の校風」に書きましたとおり、本校は開設初年度は在籍38名と、非常に少人数の学校でした。以来10年、手厚く生徒・保護者に向き合い、共に学び、支えながら教育活動を行ってきました。

そして令和5年1月現在、在籍は117名と開設時の約3倍となり、少しずつやり方を変えていかなければ学校自体の運営がままならないことも多くなってきました。

手足が伸びてしまったらいつまでもベビーベッドにはいられないので、これは仕方のないことではありますが、それでも開設当初から根底にある「生徒一人一人を大切にする」という思いは揺らぎません。

それは開設に携わった当時の理事⻑、校⻑、教頭、通信制課程担当者が試行錯誤を繰り返しながら作り上げた本校の教育活動の根幹に流れる思いで、それがある限りこれからも私たちは自信をもって生徒に向き合っていけると思っています。

最後に、生徒様・保護者様に向けてメッセージをお願いいたします！

先日、ある卒業生から「大学のゼミで少人数教育に関する研究を行うため、取材させてほしい」という依頼がありました。

友人2名と久しぶりに来校した彼女は、取材の終わりに「今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。先生方がお忙しいのはわかっているのですが、私が友達に自慢したかったんです。素晴らしい学校だと。素晴らしい先生方だと」と言ってくれました。

生徒とともに泣き、笑い、成⻑する教職員、思いやりと友愛に満ちた在校生、自らの夢に向かって一歩一歩、自分の足で歩んでいく卒業生たちの存在が、本校の一番の自慢です。どうぞ安心して門を叩いてください。ともに豊かな日々を過ごしましょう。お待ちしています。

仙台白百合学園高等学校通信制課程
学校所在地：宮城県仙台市泉区紫山1丁目2番1
電話番号：022-777-6625