発達障害やグレーゾーンはその子の特性である
そもそも発達障害はここ最近ではその生徒さんのもつひとつの特性であるという認識が広まってきています。
まずは、発達障害の傾向を持つ生徒さんに対して発達障害が特性であるという認識のもと接することが重要です。
発達障害とひとことに言っても、その種類は大きく分けて、自閉症スペクトラム・ADHD・LDの3つに分けることができます。
そのため、まずは生徒さんのがどのようなことに対して苦手意識を抱えているのかということをしっかりと分析して理解することが適切な支援をする上で重要なことになってきます。
生徒さんの持つ特性をしっかりと把握することができればその特性にあった環境を作ってあげることが出来るはずです。
各発達障害の特徴と対応方法
自閉症スペクトラム
特徴
自閉症スペクトラムの主な特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 対人関係が苦手
- 強いこだわりがある
- 子供の約20〜50人に1人の割合
- 表情の変化が乏しい
- 空気が読めない
- 特定の感覚が過敏
- 先の見通しを立てるのが苦手
対応方法・接し方
自閉症スペクトラムに対する主な対応方・接し方としては以下のようなものが挙げられます。
- 自分ばかりでなく、相手の話もしっかりと聞くように伝える。
- 会話の際に相手の表情などに気を配るように伝える。
- 勉強の教科については本人の興味・やる気のある教科から始めさせる
- 目に見えるようにカレンダーなどに予定を書き込む
ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
特徴
ADHDの主な特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 落ち着きがなく注意を持続できない
- 気が散りやすく集中力が続かない
- 失くし物や忘れ物が多い
- 興味のあることへの集中力が高く他のことへの切り替えができない
- 不注意によるケアレスミスが多い
- 約束の時間や期限を守ることができない
対策法・接し方
- 物事に集中できる環境を整える
- 提出期限などをしっかりと視覚でわかるようにカレンダーなどを利用する
- ケアレスミスをなくすためにしっかりと見直しする癖をつけるように伝える
LD(学習障害)
特徴
- 読字障害(読むのが遅い・読みながら内容を理解できない)
- 書字障害(板書などの書き写しが極端に遅い・枠内に文字を書くのが難しい)
- 算数障害(簡単な計算の修得が難しい・文章題が解けない)
対策法・接し方
- タブレットの読み上げ機能などを使う
- タイピングなどで学習をする
- 板書をスマホで写真などに収める
本人・そして周りがしっかりと発達障害に向き合うことが大切
最も重要なことは生徒さん本人がしっかり向き合うことが大切です。
ですが高校生という多感な時期であるなどもあってかんたんなことではないかと思います。
そこで親御さんを中心に、しっかりと向き合うことの出来る環境づくりをしてあげることで本人も徐々に発達障害という特性に対して受け入れていくことが出来るかと思います。
大学進学だって可能
発達障害の特性がある高校生で生徒さん本人と親御さんが最も不安に感じるのは進学についてかと思います。
発達障害だからといって大学進学を諦める必要はありません。
実際問題、大学進学だって問題なく可能です。
中学生で発達障害の特性のある生徒さんの高校受験については、他の生徒と比較してかなり大きなディスアドバンテージがあり、難しくなるということが現実としてあります。
なぜかと言うと高校受験では公立校を受験する場合、都道府県や学校によって比率は異なるものの、内申点が得点に換算されて直接的に合否に関わってきます。
ですが、大学受験の場合には、一般受験であれば基本的にどの大学も試験本番の点数のみで合否が下されます。
そのため、高校時代成績などによってそれがディスアドバンテージになってしまうということはありません。
発達障害でも大学に通っている人はたくさん
実際に発達障害の特性がある生徒さんで大学に通っている方はとても多くいます。
もちろん、学力に関しては一人ひとり差があり、統計などが有るわけではありませんが、東京大学などのいわゆる最難関と呼ばれるような大学には発達障害を抱える生徒さんが多く在籍しているという話もよく聞くものです。
これらのことから自分が、またはお子さんがそういった傾向にあるからといって大学進学に関して不利であるということや進学が難しいのではないかと不安になる必要はありません。
本人の意志を最優先に
まずは、生徒さん本人の意志を最優先とすることが最も重要です。
最優先にすると言っても、甘やかすとは違います。
実際に、発達障害の特性のある生徒さんに限らず、不登校の生徒さんや素行の悪い生徒さんに対して親御さんがなんで許し、過剰な支援をして、言ってしまえば親御さんとお子さんの主従関係が逆転してしまっているというケースは少なくありません。
そして、そういったケースの場合、現状が好転するような場合は少なく、どちらかと言うとより状況が悪化してしまうケースの方が多いです。
このような接し方をするのではなく、きちんと親御さんの判断で軌道修正をするところはしてあげて、その上で生徒さん本人が決めたことや、挑戦すると決めたことには理解を示してバックアップしてあげましょうということです。
親の役割はあくまで軌道修正
1つ前にも書きましたが、親御さんの最も重要な役割というのは「軌道修正」です。
特に、高校生の生徒さんに対してであればなおさらのことと言えます。
あくまで正しい道、親御さんの思うこうあってほしいという道に進ませるのではなく、生徒さん自身の決めた道を生徒さんが進むのを後押ししてあげることを基本的なスタンスとした上で、道を踏み外しそうになったり、不本意な方向に向かってしまいそうになったときだけ親御さんが軌道修正をしてあげるという関係性が理想の関係性であると言えるのでは無いのでしょうか。
二次障害には最大限の注意を
高校生の発達障害と向き合う上で気をつけなくてはいけないポイントがあります。
それは二次障害を引き起こさないよう気をつける、ということです。
二次障害は大きく分けると内在化障害と外在化障害の2つに分けられます。
二次障害のうち、主に自身に大きく影響する精神状態を内在化症状といい、主な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- うつ病
- 適応障害
- 不安障害
- 強迫性障害
- 依存症
- 心身症
- 引きこもり
内在化障害に対して、他者に影響を及ぼすようḠ0な行動面での問題を外在障害と呼びます。
外在化障害としては、他者への
暴力行為や、いわゆる非行と呼ばれる行為が挙げられます。
発達障害でこのように二次障害を引き起こしてしまう可能性は決して低いわけではなく、現実として発達障害にを持つ生徒さんのなかで二次障害と向き合ってる生徒さんも多くいらっしゃいます。
高校生は多感な時期でもあるため二次障害を引き起こしやすいと言われています。
そのため無理をさせすぎない、生活リズムを崩さないなどに留意して接することが重要です。
最後に…
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では高校生の発達障害についてお話してきました。
まず大前提として、発達障害はその人の持つ1つの特性であるという認識を持つことが重要です。
高校生という時期も影響してついつい口論になったりしてしまうようなこともるかもしれません。
また、生徒さん自身がなかなか発達障害ということを受け入れられず前向きな一歩を踏みだすことが難しいというような場合もあるでしょう。
そういった場合にはしっかりと周りが本人が前向きに一歩を踏み出すことの出来る環境を作ってあげることが大切です。
親御さんだけ、生徒さん本人だけではなく二人三脚で発達障害と向きあうことが重要です。
ぜひこの記事をここまで読んでくださったみなさまにはこの記事も参考に適切な対応で生徒さんと接して下さればと思います。