【インタビュー】独立行政法人航空大学校
独立行政法人航空大学校 実科教官 准教授 柴田 智史様にオンライン家庭教師マナリンクがインタビューさせて頂きました!
柴田様は航空大学校をご卒業後、同校にて教官として勤務され、後進の育成に尽力されています。
御校の校風を教えてください

航空大学校の使命
航空大学校は独立行政法人航空大学校法に定められた
大学校は、航空機の操縦に関する学科及び技能を教授し、航空機の操縦に従事する者を養成することにより、安定的な航空輸送の確保を図ることを目的とする
との規定に基づき、我が国の唯一の公的な操縦士教育訓練機関として、その長い歴史と伝統を生かし、航空輸送の中枢を担う質の高いパイロットを計画的に養成するとともに、
教育実績と研究活動の成果を広く国の行政と社会に還元することにより、我が国の航空界の発展と安全運航の確立に寄与しています。
航空大学校の教育理念
≪航空人の育成≫
航空大学校は、パイロットを目指す若人に、空の厳しさを侮らない謙虚な姿勢とフライ トに対する周到な心構えを教え、そして空を飛ぶ夢と楽しさを共有することによって、航空界に働く多くの人々とともに、航空を愛し、航空の安全と発展を支える航空人を育成する。
≪パイロットとしての知識と技能の修得≫
航空大学校は、広く全国に人材を求め、我が国の国際・国内の航空輸送の第一線で活躍する職業人としてのパイロットを養成することを目標に、航空機の運航に必要な幅広い知識と高い操縦技能を教授する。
≪プロフェッショナル・スピリットの形成≫
航空大学校は、パイロットが多くの人命を預かるという重大な職責をもつことに鑑み、学生に対し航空の安全確保に対する真摯な姿勢と自らの安全意識の確立を求め、さらには社会人・職業人として自立した意識と厳しい自己管理のもとに、機長としての統率力と危機管理能力の涵養を図る。
使命・理念の背景
航空大学校は昭和29年に運輸省(当時)の付属機関として宮崎の地に設立されました。
戦後我が国の民間航空が再開されたのが同27年ですから、ようやく戦後復興の第一歩を歩み始めた時代ですが、外国人パイロットに頼らず自前で日本人パイロットを養成しなければならないという趣旨で、当時の航空界の熱気を感じることができます。
その後、仙台分校と帯広分校を開設し、現在3校体制でそれぞれの課程を分担しながら一貫教育を行っています。また組織体制も平成13年度から国の機関から切り離し、独立行政法人航空大学校として運営しています。
当校の役割は、言うまでもなく我が国の国際線・国内線の第一線で活躍するパイロットの養成です。空を飛ぶためには厳しい訓練も受けなければなりませんし、エアラインパイロットへの道は決して容易なものではありませんが、学生諸君が「エアラインパイロットになる」という明確な目標を持って入学し、そのモチベーションを維持することができれば、乗り越えがたい壁があるわけではありません。
我が国の航空はここ数十年にわたって急速に発展し、航空機の大型化、高速化、ハイテク化など技術革新が日進月歩で進められています。これに伴ってパイロットの役割としても操縦技能のみならず、運航をトータルに管理する能力が必要になってきています。当校では、エアラインが求めるパイロットの資質を念頭におきながら、教育理念として以下の3つの目標を掲げています。
第一は「航空人の育成」です。
パイロットは、まず良識をもった社会人でなければなりません。
さらにパイロットの生涯は、副操縦士の間はもとより機長になっても教育と訓練、技能審査と厳しい身体検査の連続です。自学自習の精神と向上心を持ち、健康管理を含めて自らをコントロールする力、チームワークと強いリーダーシップを維持し続けてこそ航空界を担っていく航空人になれるのです。
そのために、学生達は在学中から志を高く持ち、空を愛する心を片時も忘れないことを願っています。
第二は「パイロットとしての知識と技能の修得」です。
学科部門では航空工学や航空機の運航に関する知識の修得は勿論のこと、語学力を始め、航空人として必要な幅広い見識と能力の向上を目指しています。
また実科フライト部門では、単発機と双発機及び計器飛行の操縦技能のすべてを修得するとともに、その時々の気象条件や運航条件を自ら調査・判断して、飛行計画を立て運航を管理するというマネージメント能力の開発が重要だと考えています。
第三は「プロフェッショナル・スピリットの形成」です。
パイロットの最も重要な使命は、航空機を安全に運航するプロフェッショナルに徹することです。航空の安全を確保するためには、事故を起こさないシステムを構築することと事故に至るヒューマンエラーを排除することが車の両輪ですが、航空に従事するすべての人が自らの安全意識をもってこれに臨む必要があります。
三つ子の魂百までの喩えのとおり、操縦訓練の初期段階、即ちパイロットの卵の時からこの安全運航に対するプロフェッショナル・スピリットをしっかりと身につけなければならないと考えています。
当校ではこれらの目標を達成するために2年間にわたって相当ハードなスケジュールで座学とフライト訓練のカリキュラムを組んでいますが、さらに大きな成果をもたらしているものは、創立70年を超える航空大学校の良き伝統と全寮制で寝食を共にする中で培われるクラスメートのチームワークです。
既にエアラインの中枢で活躍する先輩パイロットからの励ましと支援、一歩先を歩く先輩学生の指導と助言は学生が一つひとつハードルを越えていく原動力となっています。また同期で入学した学生は一つの目標を共有しながら、落ち込んだときに励まし合い、上達した喜びを分かち合う仲間を作り上げています。
エアラインパイロットの養成は単に教官が知識と技能を教授すれば終わりというものではなく、教官と学生、先輩と後輩、同期の仲間という人と人との繋がりがあってはじめて優れた人材を航空界に送り出せるものと考えています。長い歴史のなかでこのことが航空大学校の誇りであり、むしろこれが当校の教育理念であると言い換えるべきかも知れません。
航空輸送は、世界の人々の生活を支え、ビジネスを可能にし、そして旅の楽しみを実現するという大きな役割を担っています。
パイロットは、その航空を支える最も重要な仕事です。若い皆さんが大空に羽ばたく夢をもち、当校を卒業して、エアラインパイロットとして活躍されることを期待しています。
御校の募集要項やアドミッション・ポリシーについて教えてください
出願資格
- 学校教育法による修業年限4年以上の大学に2年以上在学し、全修得単位数が62単位以上の者
- 学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業した者
- 専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程による専門士又は高度専門士の称号を付与された者
- 出願の翌年3月末までに(1)、(2)又は(3)となる見込みの者
- (1)、(2)又は(3)に掲げる者と同等以上の学力を有すると航空大学校理事長が認める者
入学試験の方法
(1) 試験科目
- 第一次試験:英語、総合(数学、物理、地学)
- 第二次試験:身体検査
- 第三次試験:面接試験及び飛行訓練装置による操縦適性検査 ※
※飛行訓練装置による操縦適性検査においては、受験生の操縦適性の評価に加え、当校の訓練機及び飛行訓練装置において通常の操縦姿勢により操縦訓練が支障なく実施できることを確認します。この確認に当たっては、飛行訓練装置による検査に加え、当校の訓練機を用いた検査を実施する場合があります。
御校の教育課程はどのような生徒様におすすめか教えてください
エアライン・パイロットをめざす方、全員にお勧めです。
航空大学校のキャンパスは宮崎空港、帯広空港、そして仙台空港に隣接しています。エアライン・パイロットをめざす飛行機操縦科学生は4期に分かれて入学し、まずは宮崎学科課程で学科教育を受講し操縦に必要な知識を習得。
そして、帯広フライト課程においてシングルエンジン機のシーラス式SR22を使用して初めて実機でのフライトトレーニングを開始し、自家用ライセンス相当のテクニックをマスターします。
その後は再び宮崎キャンパスでのフライト課程。シーラス式SR22を使用しますが、プロパイロットとしてのより高度なテクニックや判断力をマスターし、事業用操縦士資格を取得します。
そして最終課程は仙台フライト課程。ここではレシプロ双発機のホーカービーチクラフト式G58型機を使用し、より複雑で高性能な機材でのオペレーションや計器飛行をマスターします。この仙台フライト課程でのフライトトレーニング(この間に、エアラインの入社に向けた試験も開始される)を終えれば卒業。エアライン・パイロットとして歩み出す事になります。
なお卒業時の取得ライセンスは「事業用操縦士(陸上単発・陸上多発)」そして「計器飛行証明」です。
御校にあるイベントを教えてください
空の日イベント
航空への関心を高め、空港をより身近に感じていただくことを目的として、毎年「空の日」(9月20日)および「空の旬間」(9月20日~30日)が定められています。.png)
2025年10月18日には空の日・空の旬間 宮崎空港実行委員会が主催するイベントが行われ、同じ日程で航空大学校でもイベントを開催しました。
航空教室
春と冬に航空教室を開催しています。飛行機やパイロットについて学ぶ場として、実科(操縦士)教官と学科教官が講義を行います。

対象は小学4年生から中学生で紙飛行機作りを体験していただきます。
また航空大学校の格納庫見学を実施し、フライトシミュレーターでパイロット体験も行っています。
御校の自慢ポイントを教えてください
航空大学校生の多くは日本のエアラインに就職します。
日本のエアライン・パイロットの約3割は航空大学校の卒業生で構成されており、国内では圧倒的な実績を有する操縦士養成機関です。航空大学校は、高度な技量と知識を兼ね備えた質の高い操縦士を養成し、安定的な航空輸送の確保に寄与しております。
①万全の就職支援体制
航空大学校は厚生労働省から職業紹介事業許可を受け、適正な管理の下、就職の斡旋を行っております。
エアラインの求人情報がつぶさに入るため、在校生は随時確認することができます。また、就職先が決まっていない卒業生にも条件の合う求人情報をお知らせしております。
②説明会、施設見学会
宮崎フライト課程の後半から、各エアラインの会社説明会が開始します。.png)
また、希望する学生には訓練施設の見学会を開催いただく場合もあります。このような機会を活用することでエアライン入社後のイメージが広がり、モチベーション向上に繋がっていきます。
③面接対策
仙台課程の後半から就職活動が本格化します。航空大学校では長年の実績とノウハウを駆使した模擬面接を通じて、各学生の面接対策を行っています。
教育に対する熱意や教育方針などを教えてください
≪質の高いパイロットの養成≫
1.航空大学校は、すべての学生に事業用操縦士(飛行機陸上単発及び多発)の技能証明と計器飛行証明を取得させることを目標に、明快で首尾一貫した教育体系のもとに効果的、効率的に座学及び実技を教授し、知識と操縦技能に優れた質の高いパイロットの養成を目指す。
≪優れた人格の形成≫
2.航空大学校は、期別クラス毎の集中的な教育訓練や全寮制の生活によって醸成されるチームワークと先輩・後輩を含めた仲間の繋がりを大切にしつつ、同時に集団における個の確立を促し、自己管理能力とリーダーシップ、自学自習の精神と弛まぬ向上心を培う。
また職業人としてのパイロットはまず自立した社会人でなければならないとの考え方のもとに、高い倫理観と強い責任感を求め、驕ることなく他者への思いやりと感謝の念を持ち続ける豊かな人格の形成に資する。
≪安全意識の向上≫
3.航空大学校は、不幸にして起こった過去の航大機事故の教訓を生かし、一致協力して訓練飛行の安全確保に努めるとともに、航空機の安全運航がパイロットの最大の使命であるとの認識のもとに、安全教育の徹底と安全意識の向上を図る。
≪我が国の操縦士教育の充実≫
4.航空大学校は、航空会社等との緊密な連携のもとに望ましい操縦士教育の実現に向けて教育訓練の課程、科目、方法等の充実に努めるとともに、多年に亘る操縦士教育の実績と継続的な研究の成果を航空行政や民間の操縦士養成事業に還元する。
お問い合わせ先
独立行政法人航空大学校
所在地:宮崎県宮崎市大字赤江字飛江田652番地2
TEL:0985(51)1211
免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。
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