組分けテストで算数が上がらない本当の理由は馬力の差

組分けテストの算数が上がらない。解き方は一通り理解しているはずなのに、テスト本番になると点が伸びず、コースも据え置きのまま。9月末のこの時期、僕のところに一番多く届くのがこの種の相談です。
先に結論を言っておきます。最上位クラスの中で上位にいる子と下位に沈む子を分けているのは、解法の知識量ではないことが多い。途中で「変な数字」が出ても手を止めずに押し切る力、僕が駆け出しの頃にお世話になった先輩講師の言葉を借りれば「馬力」の差です。
組分けテストで算数が上がらない子に共通する「止まる瞬間」
四谷大塚の組分けテストは、予習シリーズで学んだ複数回分の範囲をまとめて問い、その結果でコースやクラスが動く仕組みです。週テストが「その週の単元を身につけたか」を測るのに対し、組分けテストは「単元を混ぜられても、制限時間内に答えまで運べるか」を測っている、と僕は見ています。
この違いが、残酷なほど効いてきます。週テストでは点が取れるのに組分けテストで崩れる子の答案を並べると、鉛筆が止まる場所はだいたい決まっています。
計算の途中で 357 ÷ 42 のような割り切れない数が出てきた瞬間
比の問題で、整数にならない値が出てきた瞬間
規則性の問題で、公式を思い出せなかった瞬間
本人に聞くと、たいてい「数字が変だったから、どこかで間違えたと思った」と答えます。そして見直しに時間を溶かし、その大問を白紙のまま終える。ところが、その数字は正しかったりするわけです。357 ÷ 42 は約分すれば 2分の17、つまり 8.5 というごく普通の値に落ち着きます。止まった子は、正解の一歩手前で自分から引き返したことになります。
最上位クラスの上位と下位を分ける「馬力」とは何か
僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきましたが、同じクラスの中にも当然、上位と下位がいます。面白いのは、上位の子ほど解き方が綺麗だとは限らないことです。むしろ上位の子ほど、講師が眉をひそめるような泥臭い解き方で、とにかく答えを出してきます。
最上位クラスでときどき見かける光景があります。等差数列の問題で150番目の数を求めよと言われた子が、公式を忘れたからといって、本当に150個書き出して答えを出してしまう。講師としては苦笑いですが、正解は正解です。3, 7, 11 と続く数列なら 3 + 4 × 149 = 599 で一行の問題ですが、書き出した子もきちんと 599 にたどり着きます。
そして、こういう子は後で公式を教えると吸収が速い。自分の手で数を並べた経験があるので、4 × 149 の「149」がなぜ150ではないのかを、身体でわかっているからです。
駆け出しの頃の先輩講師は、ある生徒を評して「この子は数学のセンスはないが、馬力がある」と言っていました。そして、馬力のある子が有名校へ進んでいくのを何度も見てきたそうです。僕の実感でも、合格していく子にはこの型が多い。センスは教えにくいが、馬力は後から鍛えられる。ここが戦略上の急所です。
なぜ解法を増やしても組分けテストの点は伸びないのか
組分けテストの点が伸びないと、多くのご家庭は解法の暗記量を増やす方向に走ります。予習シリーズの例題をもう一周、演習問題集をもう一冊。気持ちはわかりますが、僕に言わせればこれは典型的な「良質な養分」の行動パターンです。
理由は単純で、テスト本番で出会う問題が手持ちの解法とぴったり一致する保証はないからです。一致しなかった瞬間、解法頼みの子は手が止まる。一方、馬力のある子は、解法が一致しなくても書き出し・場合分け・力ずくの計算で答えまで運ぶ。組分けテストのように単元が混ざるテストほど、この差はそのまま点数の差になりやすいのです。
さらに言えば、難関校の入試問題は、意外なほど馬力がないと解けない問題を出してきます。綺麗な解法を思いつけば一瞬、思いつかなくても手を動かし続ければ届く、という設計の問題です。組分けテストで押し切る練習は、そのまま入試本番の予行演習になります。
次の組分けテストまでに馬力を鍛える3つの戦術
戦術1:変な数字が出ても「10秒は疑わない」
途中で分数や小数が汚くなっても、10秒間は計算ミスを疑わず、そのまま進ませます。約分できるかだけ確かめて、次の式に代入する。汚い数字は、最後にきれいに消えることがよくあります。見直しは答えが出てからで十分です。
戦術2:公式を忘れたら「書き出し」を正式な解法として認める
規則性、場合の数、数の性質。公式を忘れたら書き出してよい、と明言します。ただし10個ほど書いた時点で、きまりが見えないか一度だけ立ち止まらせる。こうすると、書き出しがそのまま公式の再発見につながります。
戦術3:「ゴリ押しで出した正解」を親が一番褒める
これが一番効きます。家庭で丸付けをするとき、綺麗な解き方より、泥臭く押し切った正解を大げさに褒めてください。子どもは「力ずくで答えを出すのは恥ずかしいこと」と思い込んでいることが多い。そうではない、むしろすごいことだと大人が言葉にするだけで、次のテストの粘りが変わってきます。
馬力の燃料は「具体的な志望校像」
馬力の燃料は、志望校に行きたいという具体的な意識です。「あの学校、いいなあ」程度の憧れでは、357 ÷ 42 を前にして粘る理由になりません。「この学校のこの部活に入りたい」「卒業したらこういうことがしたい」というところまで具体的であるほど、手は止まりにくくなります。
この気持ちだけは、講師にも親にも代わりに持ってあげることはできません。ただ、説明会や文化祭に連れていき、本人が具体像を描くきっかけを作ることはできます。秋の学校行事は、組分けテスト対策としても実は割のいい投資です。
明日から親がすべき非情な決断
組分けテストで算数が上がらない原因は、解法不足ではなく、答えの手前で引き返す癖にあることが多い。ならば明日からやることは一つです。答案の「止まった場所」に印をつけ、そこから先を力ずくで最後までやり切らせる。模範解答の丁寧な書き写しは、いったん封印してください。美しいノートで上位コースに上がれるなら、文房具店は合格者であふれているはずです。
僕のマナリンクのプロフィールに、「【四谷大塚】週テスト・組分けテスト対策で上位クラスへ」というコースを用意しています。お子さんの答案のどこで手が止まっているのかを一緒に確かめるところから始めますので、無料相談で気軽に声をかけてください。