おうぎ形の面積の逆算がわからない子へ|3.14は最後まで残す
おうぎ形の面積の逆算がわからない。この相談は、小5の秋から小6にかけて、驚くほど規則正しく届きます。公式は言えるのに、「面積が等しい」と書かれた途端に鉛筆が止まる。今日は、その原因と3.14の扱い方を整理します。
おうぎ形の面積は言えるのに、なぜ逆算で止まるのか
おうぎ形の面積の公式は、半径 × 半径 × 3.14 × 中心角 ÷ 360。ここまでは、たいていの生徒が言えます。
ところが入試で問われるのは、公式の暗唱ではありません。公式を使って等式を作り、そこから長さを逆算する処理です。典型は、おうぎ形と三角形の面積が等しいとき、三角形の高さxを求めなさい、という問題です。
ここで多くの親子が二つの落とし穴に落ちます。
一つ目は、おうぎ形の面積を最初から小数にしてしまうこと。3.14を掛けた瞬間に、以降の計算はすべて小数との戦いになります。二つ目は、xを含む式を見て「求められない」と諦めること。先日の授業でも、この型を自力で解かせてみたら、途中で小数の位がずれて、見当違いの数字が出ました。計算力の問題ではありません。順序の問題です。
3.14は最後まで計算しない
半径6cm、中心角90度のおうぎ形と、底辺6cm・高さxcmの三角形の面積が等しいとします。
三角形の面積は、6 × x ÷ 2 = 3 × x
おうぎ形の面積は、6 × 6 × 3.14 × 1/4 = 9 × 3.14
面積が等しいので、3 × x = 9 × 3.14 という等式ができます。
ここで9 × 3.14を計算してはいけません。x = 9 × 3.14 ÷ 3 と書き、先に9 ÷ 3 = 3 を済ませます。すると x = 3 × 3.14 = 9.42。
遠回りして、9 × 3.14 = 28.26 を出してから28.26 ÷ 3 をやっても、答えは同じ9.42です。ただし、桁が増える分だけ事故も増えます。3.14を毎回きれいに計算し直す真面目な家庭は、良質な養分です。
逆算に入る前の三つの手順
箇条書きにしておきます。冷蔵庫に貼ってください。
面積が等しいという一文を見たら、まず等号の式を一行だけ書く
3.14は掛けずに残し、最後にまとめて計算する
約分できる数を先に探す(この例題なら9と3)
面積が等しい図形は、共通部分を引けば半分は終わる
もう一つ、同じ日の授業で出た考え方があります。二つの図形の面積が等しいとき、重なっている共通部分を両方から引いても、残りの面積は等しいままです。
図の中に面積が等しい部分が隠れている問題では、複雑な方を計算する必要がありません。共通部分を消して、簡単な側の図形だけを見ればいい。生徒に「消したら何が残る?」と聞くと、この発想は意外なほどすっと入ります。
想像できない立体は、飛ばしていい
同じ授業では、回転体の表面積で生徒が「想像が難しい」と止まりました。側面積に展開する説明も試しましたが、その場では追いつかなかった。そこで飛ばしました。
中学受験算数の得点設計では、想像が追いつかない立体に長く悩むより、取れる問題を先に取る方が合計点は上がります。飛ばす判断も、立派な技術です。
明日から親がすべき、少しだけ非情な決断
おうぎ形の逆算は、計算力ではなく、式を先に立てて3.14を最後まで残す手順の問題です。明日の宿題では、答えの正誤より先に、等号の式が一行書いてあるかだけを確認してください。ここだけ非情に。
僕は中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポートというコースを、マナリンクのプロフィールに載せています。図形の逆算でつまずいている場合の相談にも対応していますし、無料相談もあります。気が向いたら、のぞいてみてください。