「伝える力」は人生を豊かにする
講師のしきまちです。
最近、クマによる被害が連日各メディアを通じて伝えられています。
メディアは決められた字数・時間の中で、最大限伝わる工夫を凝らしています。その中でも「見出し」の表現は最重要です。
みなさん、次の見出しを読んで事件の内容が分かりますか?
『宮城 大崎 クマに庭で飼われていた犬が連れ去られる』
宮城県大崎市で発生したクマによる飼い犬連れ去り事件を報じた見出しですが、
私は
クマが犬を飼ってたの!?
と驚きました。
常識的に考えるとそんなことはありえないので、大半の人には正しく伝わっているはずです。
ただし、読み手・聞き手に正しく伝わらなければ、思わぬところで自分の不利益になります。入試における小論文や志望理由書などでは合否の分かれ目にもなりかねません。
では、上記の見出しの何があいまいであったのか。
それは「クマに」の位置です。
日本語は助詞・修飾語の位置によって、意味が大きく変わります。その典型例になった表現ですね。
『庭に飼われていた犬がクマに連れ去られる』
と表現すれば、より正確に事件の内容が伝えられたと考えます。
他にも有名なものには
「黒い目のきれいな女の子」
という表現があります。
この表現は、10通り以上の解釈ができます。
作家の井上ひさしさんは18通りの解釈ができると述べています。
このように、日本語は非常にあいまいな言語です。
助詞、読点、漢字の使い方ひとつで意味が大きく変わります。
他者に正しく内容を伝えるためには
「相手のことを考える」
ことが大切です。
この気持ちを持つだけで、文章は格段に良くなります。
小論文コンクールで審査する上でも表現力は重要な評価基準です。
実は文章表現だけでも人柄は十分に伝わります。
みなさんも、相手の話し方で人柄が分かることがありますよね。
その感覚に近いものがあります。
他者を思いやることができる人、協調力を発揮できる人を社会は求めています。
小論文・志望理由書の練習は一人ではできません。
相手に読んでもらい、フィードバックをもらうことで「伝える力」が鍛えられます。
社会人になれば「伝える力」は必須の能力です。
小論文試験の有無に関わらず、みなさんには学生の間にぜひとも取り組んでもらいたい科目です。