言葉の壁を越えた先にあったもの。数学講師の私が「手話」から教わった、伝えることの本質。
こんにちは、数学講師のサコです。
今日は、私の教育者としての原点(オリジン)についてお話しさせてください。
数学の公式を教えること以上に、私が大切にしている「伝える」ことへのこだわり。それは、15年前に出会った一人の教え子との経験から始まりました。
🌸 15年前に出会った、一人の少女
大学を卒業し、教員としての第一歩を踏み出したばかりの私。期待と不安の中で手渡された名簿には、一人の生徒の名前の横に、こんな申し送り事項がありました。
「Aさん。耳が聞こえませんが、一般校での学習を希望されています」
彼女は、自分のハンディキャップを感じさせないほど、明るく努力家な生徒でした。数学の授業中、分からないことがあれば全力で「分からない!」と伝えてくれる。
その真っ直ぐな姿勢に応えたくて、放課後の補習を繰り返すなかで、私の中に一つの願いが芽生えました。
「彼女が卒業するまでに、少しでも手話で話してみたい」
👆 指文字で綴る「いんすうぶんかい」
まずは指文字から覚え始めました。 英語は大の苦手で、「言葉を覚えること」に強いコンプレックスを抱えていた私でしたが、手話は違いました。
私が勉強していることを知った彼女が、授業中に「い・ん・す・う・ぶ・ん・か・い」と指文字で問いかけてくれたとき。 音のない空間で、確かに言葉が通じ合ったあの瞬間の震えるような喜びは、今も忘れられません。
卒業式の日、彼女からもらった手紙には、こう綴られていました。
「先生が手話を覚えてくれて、本当に嬉しかったです」
勉強して、言葉を交わす。たったそれだけのことが、こんなにも誰かの心を灯すのだと、彼女が教えてくれたのです。
✨ 手話は「手」だけで話すものではない
その後、私は別の赴任先で手話部を立ち上げ、生徒たちの指導も経験しました。そのとき、私が生徒たちに繰り返し伝えてきたことがあります。
「手話は、ただ手を動かす作業じゃない。全身で、心で話しなさい」
手話も会話と同じです。眉の動き、視線、頬の緩み。表情すべてが「アクセント」になり、メッセージになります。 この「全身で表現する力」は、今、画面越しに生徒たちと向き合うオンライン授業において、私の大きな武器になっています。
🤝 教育とは、心の温度を伝えること
数学の公式を教えるときも、生徒の悩みに耳を傾けるときも、大切なのは「正しい情報を出すこと」だけではありません。 「あなたに伝えたい」という意思を、いかに純度高く表現するか。
答案の行間から「不安」を読み取ること
画面越しの表情から「わかったふり」を見逃さないこと
たとえ数学が苦手でも「君ならできる」と本気で信じること
たとえ音が聞こえなくても、言葉が拙くても、伝えたいという熱量さえあれば、心には必ず橋がかかる。
15年前、一人の少女と交わした指文字が、今の私の教育者としての誇りです。
勉強の遅れや、学校への行き渋りで不安な日々を過ごしているお子様、そして保護者様。
ぜひ、その不安を私に預けてみてください。
全身全霊で、お子様の心に届く授業をお届けします。