【成績アップの盲点】ノートは「書くもの」ではなく「見るもの」です
「塾にしっかり通って、ノートもきれいに取っている。なのに、テストになると解けない……」
そんな悩みを抱えている保護者の方や生徒さんは、驚くほどたくさんいます。指導現場でその原因を詳しく探っていくと、ある共通した「致命的な勘違い」に突き当たります。
それは、「ノートを書くこと自体がゴールになっていて、書いたノートを二度と開いていない」という事実です。
今回は、多くの人が陥っている「ノートの罠」と、成績を劇的に変えるための「正しいノートの使い方」についてお話しします。
そのノート、ただの「写経」になっていませんか?
私のレッスンでは、国語の読解問題を解くために、文章の読み方や設問カテゴリごとの解き方をノートにまとめてもらいます。生徒さんが一人で宿題に向き合うとき、あるいはテストで迷ったときに、自分を助けてくれる「武器」を持たせるためです。
しかし、現実はどうでしょうか。 授業中に一生懸命ペンを走らせ、色ペンを使い分け、きれいにノートをまとめ上げる。そこまでは多くのお子さんが頑張ります。ところが、授業が終わってノートをパタンと閉じた瞬間、その役割が終わったかのように、二度と開かれることがありません。
宿題を解くとき、彼らはノートをカバンにしまったまま、あるいは机の隅に閉じたまま、また「自分のなんとなくの感覚」だけで問題に挑もうとします。
「……ねえ、ちょっとノート見て!」
一回のレッスンで、私は何度この言葉を口にしているか分かりません。目の前に「答えへの道筋」が書いてあるノートがあるのに、頑なに見ようとしない。それはまるで、攻略本をカバンに隠したまま、地図も見ずに暗い洞窟をさまよっているようなものです。
なぜ子どもたちは「ノート」を見ないのか
なぜ、せっかく書いたノートを見ないのでしょうか。そこには二つの大きな心理的障壁があります。
一つ目は、「宿題は、何も見ずに自力で解かなければならない」という思い込みです。 多くの真面目な子ほど、「ノートを見ながら解くのはズルだ」「カンニングと同じだ」と考えているようです。しかし、これは大きな間違いです。解き方の型が身についていない段階で、何も見ずに解こうとするのは、ルールを知らずに試合に出るのと同じです。まずは正しい型をなぞる練習が必要なのに、その「見本」であるノートを遠ざけてしまっているのです。
二つ目は、もっとシンプル。「ノートを見るのが、単にめんどくさい」という心理です。 ノートを開き、該当するページを探し、手順を確認しながら一問ずつ解く。このプロセスは、自分の直感だけで「なんとなく」解くよりも、何倍も時間がかかります。脳に負荷がかかるのです。だから無意識に、楽な「自己流」に逃げてしまう。しかし、その「楽な解き方」を繰り返している限り、壁を突破することはできません。
「最強の攻略本」を自作せよ
今日から、ノートに対する意識を180度変えてください。 ノートは「提出するための書類」でも「きれいに保管するコレクション」でもありません。あなたが宿題という名のダンジョンに挑むときに、絶対に手放してはいけない「自分専用の攻略本」なのです。
私のレッスンで書くノートには、読解の公式が詰まっています。 「この言葉が出てきたら、ここをチェックする」 「このパターンの設問は、まず本文のここを探す」 そういった具体的な手順を、自分の手で書き込んでいるはずです。
それを使わないのは、宝の持ち持ち腐れ以外の何物でもありません。ノートを書く時間は、攻略本を作っている時間。そして宿題の時間は、その攻略本が本当に使えるかどうかを試す「シミュレーションの時間」なのです。
成績を劇的に変える「ノート活用・3ステップ」
では、具体的にどうすればノートを成績に結びつけられるのか。今日から実践してほしい3つのステップをお伝えします。
ステップ①:ペンを持つ前に、ノートを広げる
宿題を始めるとき、まずやるべきことは、ノートを「開いた状態」で机の真ん中に置くことです。閉じているから見ないのです。最初から開いて視界に入れておけば、「見よう」というハードルがぐっと下がります。
ステップ②:1秒でも迷ったら「カンニング」する
問題を読んで「どうすればいいんだっけ?」と1秒でも迷ったら、すぐにノートに目を落としてください。自力で思い出そうとする必要はありません。 「あ、このカテゴリの問題は、まずここをチェックするって書いてあるな」 「先生、ここを見るって言ってたな」 ノートの指示をそのまま「カンニング」して、その通りに手を動かしてください。
ステップ③:ノートの手順を「再現」することに全力を出す
宿題の目的を「正解を出すこと」から「ノートの手順通りに解くこと」に変えてください。答えが合っていても、ノートの手順を無視していたら、それはその回の宿題に失敗したのと同じです。逆に、ノートをしっかり見て、私の思考プロセスをなぞれたのであれば、それは100点満点の勉強です。
5. ノートは「使い倒す」ことで血肉になる
何度もノートの手順をカンニングしながら解き続けていると、やがて変化が訪れます。 最初は一問ごとにノートを見ていたのが、次第に「あ、次はこうするんだったな」と、ノートを見る前に手順が浮かぶようになります。
これこそが、本当の意味での「身についた」状態です。 ボロボロになるまでノートを使い倒し、その指示を脳に染み込ませたとき、初めてノートは不要になります。そのとき、あなたの脳内には「もう一人の先生」が住んでいて、テスト中も隣で解き方をささやいてくれるようになるでしょう。
ノートは「書く」のが目的ではありません。 書いたあとに、どれだけ「見た」か。 その回数が、あなたの成績を決めます。
「ノート見て!」と先生に言われているうちは、まだ伸びしろがある証拠です。自分を助けてくれるのは、他の誰でもない、過去の自分が一生懸命書いたそのノートなんです。自分自身が作った最高の武器を、信じて使い倒してみてください。
さあ、今すぐノートを開いて、次の宿題に挑んでみましょう!