合格体験記①
2025/4/3
「数学と理科はまあまあできるのだけど、英語が偏差値40台に低迷している浪人生がいます。家庭教師として個人指導してください」と、ある予備校から、英語講師として働いていた9月に依頼されたことがありました。「国公立の医学部と私立医大を受験します。私立医大は大阪医科大や関西医科大からいくつかの滑り止めまで受けますので.....」という生徒の要望に、「先ずは志望校を私大のトップ、大阪医科大学に絞ろう。この大学の過去問を研究している間は他の大学のことは忘れてください」というのが、私のアドバイスになりました。
大阪医科大学は、関西では「私立医科大のトップ」とされているばかりか、英語の入試問題が英文和訳中心の構成になっていて、理科や数学の勉強に心理的により多くの比重をかけざるを得ない受験生の多くが直前期になっても手付かずになりやすく、合格者の平均点も予想以上に低くなる大学です。このことを、予備校の直前対策講座における受験生の答案の添削経験を通して熟知していた私には、初対面であったにもかかわらず、その時は何故かこの生徒には、志望のこのような設定の仕方が特に合っていると閃いたのです。
授業では初回から、過去問に取り組みました。英文の実践的で合理的な構造分析手順や、論旨の再構築法、その論旨の下線部訳への反映法等を、英文を手元において一行ずつ詳しく解説していきました。必須事項はその都度、目の前の英文に即して、ひとつひとつ独自の視点から詳説し、数が増えるたびに全体を系統づけていくというやり方で習得してもらいました。完全に合理的な方法であるが故に理系の生徒には特にウケのいいこの英文読解法を、彼もまた理系の生徒らしく順調に習得していき、2ヶ月くらいで十分な高得点が取れるようになってきました。大阪医科大学の英語の問題を楽しむようになり、大阪医科大学英語に対する揺るぎない自信ができてきたようでした。
そうこうするうちに、センター試験から始まって大阪医科大学以外のいくつかの私立医大の入試が過ぎていき、すべて不合格に終わりました。大阪医科大学以外はほぼ全く対策を立てていないので当然といえば当然の結果でした。それでも、彼の中の大阪医科大学英語に対する先述したような自信は全く揺らぐことがありませんでした。彼には、未来を拓くための信じる心が備わっていました。
大阪医科大学の入試が終わり、数日たって合格発表の日になりました。結果は、英語で九割を得点し、主席合格。彼の父親の友人である大阪医科大学の教授から直接電話で知らせてもらったことで分かったことでした。
入試英語で合格答案作成力を効率的に身につけたかったら、先ずは合格答案作成力と英語力一般とを厳密に区別し、その上で、合格答案作成力養成にその全ての精力を注ぐ必要がある。そうしさえすれば、それほど無理せずに目標に到達できる。------上記の体験で得られたこの教訓はその後も、一種の黄金律として、多くの受験生を難関大学上位合格に導き続けていくことになりました。因みにこの生徒は、大阪医科大学以外にはただ一つ、関西医科大学に合格しました。大阪医科大学に並ぶ「名門」で、大阪医科大学ほどではないにしろ英語の問題構成が英文和訳中心になっている、そんな大学ですが、大阪医科大学の過去問分析が予想以上に早く終わった時に、ついでにと言ってある程度まで過去問分析をした唯一の大学がこの関西医科大学でした。やったこととその結果がこの上なく鮮やかに対応した、本当に興味深い経験になりました。
この先生の他のブログ
受験英語は間違いだらけ: 本当の英文法とは自動詞も他動詞の仲間である最近では動詞を自動詞(Vi)と他動詞(Vt)に分けて考えることそのものを公然と排除する教師が多いそうです。しかし、英語が伸びずに悩んでいる受験生の現状を日々目撃している立場からすると、そのような排除の姿勢は逆効果になっていると言わざ...
英語の勉強というと、とりあえず単語や熟語の意味を結構な数単語帳や熟語で覚えながら文法もおさらいし、読解演習もするというのが相場でしょう。私も遠い昔受験生だった時にそこから始めました。なかなか覚えられなくてイライラしたり、覚えたのに、言われたように訳しているのに、内容が全然頭に入ってこない。当然点数も...
「文法書や辞書の解説はある意味ほとんどすべて間違えている。が、文法書や辞書に収録されている例文そのものには間違いはなく、十分に価値のあるものとなっている。勉強のコツは、例文理解にのみ意識を集中することだ。辞書や文法書の解説部分はすべて無視したほうがいい」とは、受験生だった遠い昔に、ある大学教授が言っ...