レイニーデイノート
2024/8/25
ベトナム戦争。
熾烈なゲリラ戦の末、森の中は無数の死骸の山となった。
とある米国人の死骸。
死から相当の時間が経ったと思われる。
身体は風雨にもまれ、尽きたのか盗まれたのか、食料も武器も持っていなかった。
ただ一つ、彼の手は一枚の紙切れを握っていたそうだ。
ボロボロに朽ち果てかけた紙にはこのように書いてあった。
「あなたを信じています」
戦いの中で、恐怖に負けそうになった時、この紙が彼の心の支えとなったのだろう。
これがレイニーデイノートである。
卒業が近づいた生徒にはいつも伝えることがある。
君が成功しても、そうでなくても、他人のために生きても、自分のために生きても、私はどちらでも良い。
どんな道を歩んでも、どんな決断をしても、君は私の生徒だ。
だから、私は何があっても君を尊重する。
私はこのように思っているし、生徒にも伝える。
世に出れば、「条件付きの愛情」がはびこっている。
「あなたが若いなら、あなたが〇〇大学卒なら、高いキャリアとスキルを持っているなら、あなたが罪を犯したり、信頼を汚していないなら」あなたに愛情を注ぎますよ。
このことを評価するつもりはない。
これが現実で、合理的でもある。
親ですら、このような考えの人もいる。
しかし、そんな条件など抜きで、その子をリスペクトできる人間が一人くらいいたっていいじゃないか。
だから、私は生徒に伝える。
この言葉を忘れて幸せに生きていってくれれば良い。
だがもしレイニーデイが来たら。
恐怖、屈辱、失望、そんな感情に心が折れそうになった時には、私の思いがレイニーデイノートになってくれれば嬉しく思う。
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