オンライン家庭教師マナリンク

プレイヤーを虜にする「やり込み要素」とは?ミスタードリラーとスターフォースに学ぶ深淵なゲームデザイン

2025/10/22

プレイヤーを虜にする「やり込み要素」とは?ミスタードリラーとスターフォースに学ぶ深淵なゲームデザイン

良いゲームとは、一度クリアしたら終わり、というものではありません。何度も遊びたくなる、自分の限界に挑戦したくなる、そんな「やり込み要素」が、プレイヤーを惹きつけてやまない魅力の源泉となります。

今日は、ゲームをより深く、長く楽しんでもらうための「やり込み要素」、特にスコアシステムにおけるデザインについて、二つの名作ゲームを例に解説します。これは、ゲームクリエイターだけでなく、人を夢中にさせるコンテンツを作りたい、あるいは人の心を動かす仕組みを知りたい、と考えるすべての人にとって、きっと役に立つはずです。

ケース1:ミスタードリラー ドリルランド - スコアの「振り幅」で魅せる

「ミスタードリラー ドリルランド」は、エアカプセルで空気を補給しながら、地底深くを目指してブロックを掘り進むアクションパズルゲームです。無事にゴールにたどり着くと、スコアと共に様々なボーナスが表示されます。

  • ライフボーナス: 残機が多いほど高得点。

  • ノーミスボーナス: 一度もミスしないでクリアすると加算。

  • タイムボーナス: 速くクリアするほど高得点。

  • パーフェクトエアボーナス: エアカプセルを全て取ると加算。

これらのボーナス目標が設定されていることで、単にゴールするだけでなく、「いかに上手くプレイするか」が問われます。そして、これらのボーナスによって、スコアに**非常に大きな「振り幅」**が生まれます。

この「振り幅」こそが、やり込みの鍵です。一度クリアしたステージでも、「次はノーミスでクリアしよう」「もっと速いタイムを目指そう」「全てのボーナスを獲得して最高スコアを出そう!」といった新たな目標が生まれます。これにより、プレイヤーは繰り返しステージに挑戦し、そのたびに新たな楽しみを見出すことができるのです。

ケース2:スターフォース - 「早回し」が生む究極のスコアアタック

伝説的なシューティングゲーム「スターフォース」は、スコアの振り幅が1000万点にも達すると言われるほど、やり込み要素が満載のゲームです。その根幹を支えるシステムの一つが**「早回し」**です。

「早回し」とは、非常にシンプルな仕組みです。

  • 敵を早く倒すと、次の敵がすぐに画面に出現する。

敵は編隊を組んで攻撃してきますが、その編隊を素早く全滅させればさせるほど、次から次へと新しい編隊が現れます。逆に、一機でも撃ち漏らしてしまうと、次の敵が出てくるのが遅れ、結果的にタイムロス、つまりスコアのロスに繋がります。

これにより、プレイヤーの目標は単なる「生き残ること」から、「いかに効率よく、素早く、全ての敵を殲滅するか」へと進化します。上級者は、敵の出現パターンを読み、最適な動きで敵を次々と出現させ、より多くの敵を倒すことでスコアを飛躍的に伸ばしていくのです。

この「早回し」システムは、1985年に開催されたファミコン全国キャラバン大会でも採用され、予選2分、決勝5分という短い時間でありながら、プレイヤーたちの高度なテクニックと熱い戦いが繰り広げられ、大会を大いに盛り上げました。短い時間でも、やり込み要素があれば、ゲームはこれほどまでに面白くなるのです。

「やり込み要素」の本質とは?

ミスタードリラーとスターフォースの例からわかるように、「やり込み要素」の本質は、プレイヤーに**「クリアするだけではない、さらなる高み」**を提示することにあります。

  • 明確な目標設定: ボーナススコアや特定のプレイ方法(早回しなど)によって、プレイヤーに具体的な目標を与えます。

  • スキルへの報酬: より上手いプレイ、より効率的なプレイ、よりリスクの高いプレイに対して、スコアという形で明確な報酬を与えます。

  • 成長の実感: 繰り返しプレイすることで、自分のスキルが向上し、スコアが伸びていくことを実感させます。

これらの要素が組み合わさることで、プレイヤーはゲームの世界に深く没入し、自らの限界に挑戦し続けるのです。

まとめ

「やり込み要素」は、ゲームに深みと寿命を与えるための、非常に効果的なデザイン手法です。スコアに大きな「振り幅」を持たせたり、「早回し」のようなプレイヤーの積極性を引き出すシステムを取り入れたりすることで、プレイヤーを飽きさせず、長く楽しんでもらえるゲームを作ることが可能になります。

これからゲームやコンテンツを作る方は、ぜひこの「やり込み要素」という視点を取り入れて、プレイヤーの心を掴んで離さない、魅力的な作品を目指してみてください。

このブログを書いた先生

この先生の他のブログ