不登校の定義は?
そもそも、不登校と言いますが不登校に明確な線引は存在するのでしょうか?
不登校については、文部科学省によって明確な定義が定められています。
文部科学省によると、
「不登校」という状態について、文部科学省は「年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒」のうち「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、『病気』や『経済的理由』による者を除く)」
と定義されています。
不登校と似たような言葉で「引きこもり」というものも存在しますが、引きこもりについては厚生労働省によって明確に定義されています。
厚生労働省によると、
さまざまな要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6カ月以上にわたって、おおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていても良い)
と定義されています。
不登校の場合は学校への登校を拒否しているという状態であり、学校以外のコミュニティに参加していることも少なくありません。
一方、引きこもりの場合はそもそも家から出ることを拒否しているという状態であり、学生以外の場合にも適用される言葉です。
そもそも高校受験における『不登校枠』とは?
それではいよいよ本題へと入っていきますが、 高校受験における『不登校枠』とはどのようなものなのでしょうか?
まず大前提として、公立高校への進学を目指す場合、その都道府県が実施する全受験者共通の入試が行われます。
そして、入試の問題はもちろん、受験制度においても各都道府県によって様々です。
例えば、東京都では内申書に欠席日数を3年時のみ記載しますが、千葉県や埼玉県では全学年分を記載することになっています。
この様に、受験制度は各都道府県によって異なります。
ですのでまずは自分の居住している都道府県の教育委員会などに不登校枠について問い合わせることをおすすめします。
不登校枠を使っての入試については各中学校の先生方もなかなかしっかりと把握されていないというパターンが多いため、しっかりとまずは確認することが重要です。
公立高校の受験の場合、基本的には年間の欠席日数が30日を超える、つまり不登校と定義される場合「審議対象」として入試で不利に働くということが募集要項・実施要項に明記されています。
この場合の「審議対象」とは、暗に入学が難しいということを指しているとも言えます。
不登校枠といっても実際は…
不登校枠という名前ではあるものの、実際のところをお伝えすると内申点がない分、本番の入試で周りの受験生よりも高得点を取る必要があり、特別な優遇措置があるというわけではありせん。
内申点と学力試験の比率としては3:7~7:3までと都道府県や各学校によってかなり差があることがわかるかと思います。
正直、内申点の比率が大きい場合は学力試験での巻き返しはかなり厳しいというのが現実です。
さらにこれは一概にはそうとは言えませんが、全国的な傾向として内申点の比率が少ない高校は学力が高めな学校であることが多いです。
ですので不登校枠といっても実際のところは内申点がないことを学力試験で補う必要があります。
中学生のときに不登校でも高校進学は可能?
さて、ここまで高校受験における不登校枠についてお話してきましたが、では不登校の生徒さんが高校に進学することは可能なのかということですが…
不登校の生徒さんであっても高校への進学は「可能」です。
ですが前述したとおり、全日制の公立校への進学を目指す場合はかなりのディスアドバンテージを背負った状態からのスタートになってしまうことは確かです。
全日の公立校への進学が不登校の生徒さんの場合難しくなってしまうことにはしっかりとした理由があります。
高校は義務教育ではない
高校は高等教育であり、義務教育ではありません、進学をするか否かを生徒さん自身が選択する事ができます。
とはいっても、文部科学省による「2021年学校基本調査」では高校への進学者の割合は全国で98.9%となっており、高校に進学することが当然になっているのも確かです。
ですが、小学校・中学校といった義務教育の場合には留年などもなければ、学校に行っていなくても成績が極端に悪くても卒業させてくれます。
ですが高校の場合には当然、学校に行かなければ留年もしますし、留年をすれば卒業もできません。
なので、中学校で不登校だった生徒は「審議対象」となり、高校にたとえ進学することが出来たとしてもその後無事に高校を卒後揺することが出来るのかどうかという点で審議されるわけです。
ですので筆者自身、義務教育ではないものの実際問題、高校卒業は必要な社会で有ることを考えると内申点制度で中学生時代不登校だった生徒さんの全日制高校への進学が難しいという現状を変える必要があると考えていますが、まだ制度が追いついていないというのが実際のところではあります。
中学生のときにどれくらい出席していれば受験資格を得ることが出来る?
では、中学生のときにどれくらい出席していれば高校の受験資格を得ることが出来るのでしょうか?
まず、高校入学資格としては学校教育法によって以下の様に定められています。
- 中学校、特別支援学校の中学部等を卒業した者、又は中等教育学校の前期課程を終了した者
- 外国において、学校教育における9年の課程を修了した者
そして現在の日本では中学校での留年や卒業がないということを考慮すると、高校の受験資格はだれにでも与えられており、中学生の時の出席数における基準はないということが出来ます。
私立と公立どちらの方が受かりやすい?
ここまでは公立高校の入試についての話をしてきましたが、私立高校の場合にはどうなのでしょうか?
全日制の場合、公立高校と私立高校のどちらが不登校の生徒さんにとって入学しやすいのかを確認していきましょう。
全日制公立高校の場合
まずは全日制公立高校の場合です。
全日制公立高校の場合は、先程もお話したとおり実際問題として内申点が大きく関わってくるためかなり合格が厳しいです。
ある程度の学力がある場合は志望校の学力レベルを少し下げることで、内申点の分を学力試験の結果で補うか、定員割れの高校を選択する等の工夫が必要になってきます。
ですが、お住いの都道府県によっては不登校であっても公立校への進学を十分検討することも可能な場合もあるのでまずは各県の教育委員会などに問い合わせてみましょう。
全日制私立高校の場合
次に、全日制私立高校の場合です。
全日制私立高校の場合では、各学校毎に入試形態が異なるため一般受験の場合学校選びを慎重に行えば公立高校のよりは合格しやすい傾向にあると言えます。
ですが、私立高校の場合推薦入試を利用する生徒さんも多いかと思いますが、こちらは内申点重視の入試形態になるため、あくまで一般受験での場合に限ります。
私立高校の場合には面接などが課される場合もあったり、内申点も完全に考慮していないというわけではないのでハードルが高いことに変わりはありませんが、公立高校よりはおすすめと言えるでしょう。
その他の選択肢も…
全日制の高校に限らず、他にも高校卒業の資格を得ることが出来る学校は多数存在します。
通信制高校や定時制高校、アクティブスクールやチャレンジスクールといったものも存在します。
実際のところ、中学生の時に不登校で悩まれた生徒さんはICT教育の発展などもあってか、通信制高校に進学される生徒さんがとても多いです。
2021年には、通信制高校で学ぶ生徒数が過去最多の21万8千人に及ぶなど、増加しつづける不登校の生徒さんの受け皿となっていることがわかります。
その他にも、公立校ながら面接や志望動機なども汲み取ってくれ、高校からのやり直しの場を提供する千葉県の「地域密着アクティブスクール」や、東京都の「チャレンジスクール」なども存在します。
それでもやっぱり全日制の公立高校に…
全日制の高校に通わせてあげたい、普通の高校生活を送ってほしい、経済的な理由で公立高校に進学してほしいなどのいろいろな思いから、全日制の公立高校に…という方は決して少なくないと思います。
この記事でもお話しましたが実際問題、中学時代、不登校だった生徒さんが全日制の公立高校を目指すのは決して簡単なことではありません。
ですが今回この記事を執筆するにあたって、筆者自身、多くはありませんが全国に内申点の割合が低く、比較的に不登校の生徒さんが内申点の面でディスアドバンテージを背負わないで受験に臨める全日制の公立高校があるということを知りました。
そこで、そのような特色のある学校を1つのリストにまとめた『【偏差値別】不登校の生徒さんが狙いやすい公立高校リスト』という資料を作成致しました!
偏差値別に分かれていて、全国のおすすめできる高校がリストになっているのでぜひお役立ていただけますと幸いです!
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最後に…
いかがでしたでしょうか。
今回は不登校の生徒さんの不登校枠での高校受験についてお話してきました。
実際には不登校枠とはいうものの、全日制の高校、特に公立校への進学は厳しいというのが現状です。
なのでまずは実際に各都道府県の教育委員会などに直接問い合わせて、その後通信制高校なども視野に受験に臨まれるのがベストかと思います。
学校に行くことが出来なくても、自宅で学習は進めることが出来ます。
内申点を巻き返すことが出来るくらいの勉強を積んで、学力を向上させて高校受験に臨むというのも1つの手です。