記憶に残る“意味のつなぎ方”とアネクドート
2025/7/6
記憶に残る“意味のつなぎ方”とアネクドート
こんにちは、英語講師のバックスターです。
今日は「英語に暗記は必要か?」という問いについて、少しお話ししてみたいと思います。
結論から言えば、英語に暗記は必要です。
単語や表現は、ある程度の「ことばの土台」がなければ、読むことも話すこともできません。
しかしその“育て方”には工夫ができます。
昔ながらの赤い下敷きを使って単語帳で隠して覚える。
もちろん、こうした方法が役に立つこともあります。でも、本当に記憶に残るのは、
“意味とつながっている記憶”です。
たとえば、単語を文章の中で学ぶと、その使われ方や雰囲気が少しずつわかってきます。さらに効果的なのは、その単語が登場するパッセージ全体の流れを通して、その背景ごと丸ごと覚えること。
けれど、それでもまだ、記憶は「どこか他人のもの」にとどまりがちです。
そこで活躍するのが
アネクドート(anecdote)つまり、自分自身のちょっとしたエピソード
たとえば、“resilient(回復力のある)”という単語。辞書で意味を引くだけでは記憶に残りにくい。でも、「私が中学生のとき、転校して最初の数ヶ月はつらかった。でも友達ができて、部活に入って、今思えば quite resilient だったな」といった自分のアネクドートと結びつければ、その単語は“自分の言葉”になります。
私は英語を教えるとき、単語を単体で教えることはほとんどありません。
むしろ、その単語の背景やストーリー、そしてそれが生徒自身の体験とどう結びつくか。「これ、自分のことに使える」と思った瞬間、その単語は忘れられないものになります。
語彙力とは、単に「知っている数」「暗記されている量」ではありません。
大切なのは、「どれだけ自分の中で意味のある言葉として、根づいているか」ではないでしょうか。
そのためには、アネクドートの力を借りるのがとても効果的だと思います。
英語、単語学習に暗記は必要です。
でも、その暗記を“自分のストーリーに根ざした記憶”に変えるかどうかは、学び方次第です。
新しい言葉が一つ一つ根づきますよう指導を進めたいと思います。
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