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業界の裏側:お子さんの指導に、私が「市販の問題集」を使わない理由

2026/3/6

皆様、こんにちは。 今日は、日々の指導の中で私が大切にしている「教材選び」について、少しお話ししてみたいと思います。

私のプロフィールをご覧になった方の中には、「大学受験業界で35年も指導していて、英検の問題作成委員や模試の作成、さらには問題集まで執筆しているなんて、なんだか厳しそうな先生だな」と、少し身構えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、長年、受験指導や問題執筆という専門性が極めて求められる世界で格闘してきました。しかし中身はごく普通の、生徒さんの「わかった!」という笑顔を見るのが何より嬉しい人間です。それは20代の頃、地方の田舎の一若手講師の頃から全く変わらない気持ちなのが、逆に不思議なくらいです。

業界の裏話

さて、そんな「問題集を作る側」の裏側までいっぱい見てきた私だからこそ、皆様にお話ししようかなと思うことがありました。

「なぜ私の指導では、市販の問題集を使わないのか」

市販の問題集には素晴らしい点もたくさんあります。しかし、構造上どうしても避けられない「3つの限界」があるのも事実です。少し業界の裏話になりますが、お話ししようと思います。

1. 編集のプロであっても、教育現場のプロではないというジレンマ

本を出版する際、多くは出版社側から私たちのような専門家に執筆依頼があります。ここで少し困ったことが起きます。

企画をまとめる編集者の方々は本作りのプロではありますが、実際に生徒さんの前で教えた経験はほとんどない方が大半です。

なので結局、作ろうとする問題集は、彼らが受験生だった頃(ふた昔ほど前ですね)の問題集をベースに、それ以降の問題集のエッセンスを少し加えた程度の企画になりがちなのです。

私が「今の現場の生徒さんたちには、こういうニーズがありますよ、これを求めていますよ」と提案してもなかなか真意が伝わらず、結局は従来の焼き直しのような内容に落ち着いてしまう。

これは、書き手としてはとてもジレンマで、もどかしい現実です。

2. 「1項目85文字以内」という、物理的な紙面の壁

これも切実な問題です。予算の関係上、編集部での会議の早い段階でレイアウトやページ数がかっちりと決まってしまいます。

いざ執筆に入り、「ここはつまずきやすいから、丁寧に思考プロセスを書きたい」と思っても、「先生、枠からはみ出しています。1項目85文字以内に収めてください」とストップがかかってしまいます。

複雑な要素が絡み合う問題ほど、言葉を尽くして説明したい。でも文字数の制限があるため、結局は無味乾燥な「文法用語の羅列」での解説を強いられてしまう。

どんなに書き手に能力があっても、紙面の都合でそれが封じ込められてしまうのは、本当に歯がゆいです。

だから私は、出版社からの極めて制約の多い問題集の執筆依頼は受けないようにしています。

自分で書いたほうが早い。

3. 「文字を追うだけ」では埋まらない理解の溝

最後は本質的なお話になりますが、皆様もご経験がありませんか?

解説を一生懸命読んでいるのに、「結局、何を言っているのかさっぱりわからない」とそっと本を閉じてしまう。

私は生徒さんや親御様によくお伝えするのですが、よくわからない問題集の解説を読んで、一人でウンウンと悩むより、説明の上手な人から直接教わった方が、大げさではなく何倍も、何十倍もすんなり頭に入ってきて、理解もしやすいですよ、って。

人から教われば、「なんだ、そんな簡単なことだったのか」と思えることでも、市販の問題集と一人で向き合っていると、そこにたどり着く前に生徒さんが疲れ果ててしまう。

いかがでしたか。

私が市販の問題集を使わないのは、目の前で頑張っている生徒さんに、大人の事情や紙面の都合で「本当に必要な解説」を削ってしまいたくないからです。

実は、この「文字だけで学ぶことの限界」については、私自身が過去にものすごく苦い、そして痛い経験をしています。だからこそ、強く実感していることでもあります。

次回は、少しお恥ずかしいですが、私が20代の頃に味わった「心底苦しかった勉強」のトラウマについて、お話ししてみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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