「予備校(塾)と家庭教師(個別指導)ではどちらが良い?」
2024/4/6
学校法人河合塾で21年間高校生・高卒生を指導し,現在はオンライン家庭教師としてのキャリアを継続中。過去には高等学校や地方の中堅予備校,TVコマーシャルで有名な某大手進学塾,小中学生対象の補習塾,対面での家庭教師として多くの生徒を指導してきました。その経験を踏まえてタイトルの質問「予備校(塾)と家庭教師(個別指導)ではどちらが良い?」について私自身の考えを述べます。
結論から言うと,「どちらにも長所と短所がある為,どちらが良いとは断言できない」のですが,自身の経験を基に本音で少し切り込んでみるので,このブログを読んだ方が家庭教師を選択するかどうかの判断材料になれば幸いです。
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◆予備校の長所:
①大手予備校では良いテキストを使用していることが多い
長年蓄積された先生方の指導経験や入試動向を踏まえてテキストが作成・編集されるので,良質なテキストを使用して講義が行われる。
②自習室や過去問などを自由に使用でき,受験に関する相談も可能
授業がない日でも自習室が利用でき,受験に関するあらゆる相談ができる。定期的に受験に関する情報を無料でもらえることも多い。
③過去の受験生のデータと比較してもらえる
自分の志望校を受験した生徒がどのくらいの成績で合格し,また不合格だったか等,具体的なデータを参照しながらアドバイスがもらえることがある。
◆予備校の短所:
①テキストや授業のレベルと自分の学力レベルが合っていないと学習効果は低い
いくら良質なテキストであっても自分自身の学力との乖離が大きい場合には授業についていけず,ただ講義をぼーっと聞いているだけになってしまう。
②積極的に動けない人には不向き
授業のわからない箇所があれば自分で調べるか,授業後に講師に直接質問に行くわけだが,予備校では自分以外にも多くの生徒がいるので講師に質問しようと思っても順番を待たないといけないことがある。生徒によっては講師に直接質問するのは緊張してしまい聞きに行かないことや,授業後講師がすぐに帰ってしまって結局わからない箇所はそのまま放置されることもある(予備校講師はほとんどが非常勤なので基本的に講義時間しか拘束義務はない)。
③「個」に対するケアにはばらつきがある
授業を欠席した際,その授業は受けられずに授業は進んでいくことになる(大手予備校では振替ができることもあり)。1人の職員が担当する生徒が多い場合,面談の時間が限られ,特に職員の経験が浅い場合は手厚い学習サポートをあまり期待できないこともある。
◆オンライン家庭教師の長所:
①生徒の学力や志望校に合った指導をしてもらえる
例えば生徒Aと生徒Bの成績が同じ60点だとしても,得手・不得手の分野が違っている場合には優先的に学習すべき内容や,手厚くフォローすべき箇所が全く違う。予備校ではテストや模試の点数だけでクラスが決められ,個々の苦手な分野に配慮して授業が進められることはない。また,志望校の入試問題で英作文が不要なのに授業では英作文の指導が行われたり,文法の正誤問題が出題されるのにその対策が全くないこともある。家庭教師であればそういうことは一切なく,必要なことだけに焦点を絞って無駄なく効率的に学習を進められる。
②いつでも気軽に質問が可能
予備校や塾などの集団指導では授業中にわからない箇所があっても途中で質問はできないが,家庭教師であれば授業中いつでも気軽に質問ができ,わからなければ何度でも理解できるまで質問することができる。
③授業時間に無駄がない
予備校で長文や英文解釈の授業をする際に講師がテキストの英文を黒板に書くわけだが,その間生徒はただ待つのみ。私の授業ではiPadを使用して授業を行い,授業で使用する長文はすべてiPadで表示するので生徒の待ち時間はなし。また,iPadだと10色以上のマーカーを使って説明ができるので,非常に見やすく生徒からは理解しやすいと好評。また,予備校では人気取りのために授業と無関係な無駄話にかなり時間を割く講師もいる。
◆オンライン家庭教師の短所:
①教師の力量に差がある
予備校講師は予備校の採用試験を受け,その試験にパスしているので,学力,指導法等に関して一定程度の質は担保される(大手予備校の場合,指導未経験者は採用されず,採用倍率は数十倍のことも)。家庭教師の場合,その教師の学力や指導法を審査してお墨付きを与える「監督者」がいなければ,誰でも家庭教師になれるのが怖いところ。
②緊張感に欠けることも
集団授業では他の大勢の生徒(ライバル)を意識して学ぶわけだが,家庭教師はマンツーマンなので生徒がマイペースになりすぎることもある。
③授業料が高い
マンツーマンなので当然だが,先生に支払う授業料はすべて生徒1人で負担するので高額になりがち。ただ,コスパを考えたときに予備校と比べてどちらが得なのか。私の予備校講師時代,授業をサボる生徒や授業中寝てしまう子,授業が難しくてついていけない子もたくさん目にしてきた。親御さんが高い授業料を出しているのになぁ・・・と思いつつ,予備校では私自身は授業を進めるしかできなかったわけだが,何をもって「高い」とするのかは結局のところ支払ったお金に対してどれだけの見返りがあるのか,ということなのだと思う。