【シリーズ第2回】中1・中2の基礎が穴だらけだと受験勉強が進まない3つの理由

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2025/8/10

前回の振り返り


前回(第1回)では、中3夏に直面する「定期テストと受験勉強の両立」についてお話ししました。


両立できない原因のひとつが、中1〜中2の基礎が穴だらけのまま受験勉強に突入してしまうことです。


例えば、「数学の文章題は苦手だから飛ばす」「英語の単語は長文で出たら覚える程度」という状態のまま、難易度の高い問題集や過去問演習に入ってしまう。


すると、最初の数問で手が止まり、「自分はやっぱりできないんだ」と自信を失ってしまうことがあります。


今回は、この「基礎の穴」がなぜ受験勉強を妨げるのかを、3つの理由に分けて解説します。


理由1:応用問題は基礎知識の組み合わせ


入試問題は、まるでレゴブロックのように、中1・中2で学んだ基礎知識を組み合わせて作られています。

数学の関数問題を例にすると、「比例」「一次関数」「方程式」「図形の性質」といった複数の基礎単元を同時に使うことがほとんどです。


もしその中の1つでも理解が曖昧だと、全体が組み立てられません。

まるで部品が足りないままプラモデルを組み立てているような状態です。

問題のスタート地点に立つ前に、立ち往生してしまうのです。


理由2:模試や過去問で得点が安定しない



基礎が穴だらけだと、模試や過去問での得点が「取れるときは取れるが、取れないときは全く取れない」というジェットコースター状態になります。


たとえば数学の計算問題は解けても、条件が少し変わった文章題になると途端に手が止まる。

英語も同じで、教科書に出てきた文法や単語は分かっても、少しアレンジされた長文では意味が取れなくなります。


これは「知識が点でしか存在していない」状態です。

線でつながっていないので、問題文の設定や数字が変わった瞬間に崩れてしまいます。


理由3:解法パターンを覚えても崩れる


多くの受験生は「解き方を暗記」して対策を進めます。

しかし入試問題は、同じ出題形式でも数値や条件を変えてきます。

英作文であれば、型を覚えても必要な単語や時制の知識が足りなければ書けません。

理科でも、公式を暗記していても単位換算や基礎の概念が曖昧だと答えが合わなくなります。


つまり、基礎が弱い状態で解法を覚えても、それは砂の上に家を建てているようなもの。

ちょっとした揺れで崩れてしまうのです。


科目別の影響例


実際に、基礎不足がどのように各教科へ影響するかを見てみましょう。


数学では、一次方程式や比例・反比例、図形の基本性質が不安定だと、ほぼすべての単元で計算ミスが増えます。


英語では、文法以前に単語力が不足しているため、長文が読めず設問にたどり着けません。


国語は、古典文法の活用形や読解の基本的な型を知らないまま文章を読み進めるため、点数が安定しません。


理科は、力学や電流など計算を伴う単元で、公式暗記だけに頼るため応用が効かず失点します。


社会では、地理の位置関係や歴史の時代順が曖昧で、資料問題に弱くなります。


穴を放置したまま秋を迎えると…


夏に基礎を固めないまま秋を迎えると、次のような状況に陥ります。

模試の偏差値は一時的に上がっても安定せず、点数が大きく上下します。

過去問演習をしても、科目間での得点差が広がり、志望校の合格ラインに届きません。

最悪の場合、志望校を下げざるを得なくなるケースも珍しくありません。


保護者・本人がしやすい誤解


保護者の方からよく聞くのが、「夏からは難しい問題集に入らないと間に合わない」という意見です。


しかし、難問演習よりも、まずは基礎の抜けを徹底的に埋める方が圧倒的に効果があります。


また、「量をこなせば基礎も自然に身につく」という考えも危険です。

穴を意識して潰さない限り、量だけ増やしても成果は出ません。


まとめ


中1・中2の基礎は、受験勉強の“土台”であり、準備運動ではありません。

この土台を夏のうちに固めるかどうかで、秋以降の伸び方が大きく変わります。

基礎が整って初めて、過去問や模試で本当の実力を出せるのです。


次回予告


第3回では、基礎固めと受験対策をどう配分すれば効率的なのか、「8割基礎・2割受験」の黄金比について具体的に解説します。

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