学校の授業を最大化する勉強法シリーズ第2回:授業の聞き方

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2025/9/3


📚 はじめに


「授業はちゃんと聞いていればいいんでしょ?」

多くの生徒や保護者はそう考えがちです。確かに、席に座って静かに先生の話を聞いていれば「授業を受けている」という形にはなります。けれど、ただ聞いているだけで本当に頭に残ることはどれくらいあるでしょうか?


実際のところ、授業をただ受け身で聞いている生徒と、主体的に「自分の頭で考えながら」聞いている生徒では、その後の理解度や定着度に大きな差がつきます。


前回の記事では「ノートの取り方」を取り上げました。ノートと聞き方は表裏一体で、両方が噛み合ってこそ授業の効果は最大化されます。

今回のテーマはそのもう一方、**「授業の聞き方」**です。


❌ よくある失敗パターン


まず、多くの生徒が陥ってしまう「聞き方の失敗例」から見てみましょう。


◉ 先生の言葉をそのまま間に受けてしまう

◉ 「なるほど」で終わり、深掘りや自問自答をしない

◉ 自分の考えを挟まず、受け取った情報をそのまま流す


こうした聞き方では、学びは一方通行になってしまいます。先生から生徒へ情報が流れ込むだけで、自分の頭の中に“ひっかかり”が残らないのです。


本来の授業は、「あ、そういう考え方もあるんだ」「じゃあ自分ならどう理解できるかな?」といった思考のやり取りがあるべきものです。ところが、受け身でいるとその大事なプロセスがすっぽり抜け落ちてしまう。これは非常にもったいないことです。


✍️ 僕自身の失敗と気づき


実を言うと、これは僕自身も学生時代に経験しました。先生の話を真面目に聞いて、ただそのまま受け取る。ノートに書かれた内容も「黒板にあったから」「先生が言ったから」という理由だけ。これでは、後で見返しても頭に残らず、テスト前に困るばかりでした。


そんな僕に転機を与えてくれたのは、勉強が得意な友人たちのアドバイスでした。彼らは口を揃えてこう言ったのです。

「授業はただ聞く時間じゃなくて、自分で“記憶や理解のフック”をたくさん投げる時間なんだ」


この言葉でハッとしました。授業は一方的に受けるものではなく、常にこちらからも仕掛けていくものなんだと。


僕が実際に意識し始めたのは次のようなことです。


◉ 「先生がこう説明しているのはなぜだろう?」と考える

◉ 「このやり方以外にもっと良い方法はないかな?」と探る

◉ 「自分ならこう解釈できるけどどうだろう?」と問い直す


こうした自問自答を繰り返すことで、授業が一気に“自分ごと”になりました。さらに、フックに引っかかった考えはノートに自分流の言葉で整理する。これによって、授業で聞いたことが後まで残りやすくなったのです。


🎯 どこを重点的に聞くべきか


授業時間はだいたい45〜50分。最初から最後まで全集中で聞き続けるのは現実的ではありません。途中で集中が切れるのは当然のことです。だからこそ「どこに耳を傾けるか」を見極めることが大切になります。


◉ 授業の序盤:先生が「今日はこれをやります」と示す導入部分。ここでは授業の全体像=ロードマップが語られます。この段階で「今日の目的地」を把握できるかどうかで、授業の吸収率が変わります。


◉ 授業の終盤:まとめや「ここが大事」という締めの部分。試験に直結するのはここが多いので、耳を傾ける価値は非常に高いです。


◉ 授業の途中:教科書の本筋はすでに印刷されています。だからこそ、授業で注目すべきは「伏線」「具体例」「先生独自の解釈」です。ここを聞き逃さず、自分の頭で一度かみ砕いてノートに落とし込むことがポイントです。


さらに、聞いていて「わからない」と感じた部分は、その場で深く悩む必要はありません。後で質問できるようにリストアップしておけば十分。こうしたメリハリが「聞く力」を養います。


📈 生徒が伸びたエピソード


僕が教えていたある生徒も、最初は「全部聞かないと不安」というタイプでした。ノートもびっしり埋まっているのに、結局どこが大事かわからない…。そんな状態でした。


そこで、「まず先生の話を飲み込む → 自問自答 → 自分の言葉に書き換える → わからない部分は質問用に残す」という流れを意識してもらいました。


最初は時間がかかりました。先生の話を自分で整理するのに手間取るし、質問リストもなかなか作れない。でも、回数を重ねるごとに「授業の緩急」がつかめるようになりました。つまり「どこで集中するか」「どこは流していいか」の区別が自然とできるようになったのです。


結果、その子は苦手だった科目の点数を 40点以上アップ。授業をただ「聞く」から「理解を作る」へと変えられた好例でした。


🧭 授業中の態度・姿勢のコツ


ここで強調したいのは、「全部を聞こうとしない」ことです。

教科書に太字や図説で載っている本筋は、後で確認できます。授業で得るべきは、それ以外の“生の情報”です。


授業中は、頭の中で「理解のフック」をいくつも投げてみてください。

◉ 「この話、前に習った内容とどうつながるかな?」

◉ 「これを別の教科で例えるとどうだろう?」

◉ 「自分ならこの説明をどうまとめるかな?」


こうした問いかけは、一見回り道に思えるかもしれません。ですが、この思考の脱線こそが授業を「自分のもの」に変えるトレーニングなのです。


👨‍👩‍👧 親御さんへのアドバイス


保護者の方が「うちの子、授業ちゃんと聞けているのかな?」と不安に思うこともあるでしょう。実は確認はとてもシンプルです。


◉ ノートを見せてもらって「このノートで授業を再現してみて」とお願いする

◉ その際に具体例や質問リストが出てくるかをチェックする


もしスラスラ説明できるなら、授業を主体的に聞けている証拠です。逆に説明が詰まったり質問が一つも出てこない場合は、まだ「受け身の聞き方」にとどまっている可能性があります。


📝 授業の聞き方の理想形


僕が考える理想の授業の聞き方は、とてもシンプルに表せます。


「記憶と理解のフックをたくさん出し、360度どこからでも眺められるようにするトレーニング」


授業は「理解できたこと」を増やすだけでなく、「わからなかったこと」を明らかにする時間でもあります。理解と疑問、その両方を整理できるのが、良い授業の聞き方なのです。


✅ まとめ


◉ 授業は受け身で聞くだけでは意味がない

◉ 序盤・終盤・具体例を中心に耳を傾ける

◉ 必ず自問自答を挟み、自分の言葉に変換する

◉ わからない部分は質問リストとして残す

◉ ノートと組み合わせることで授業の効果は何倍にもなる


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