親御さんはリーダー、先生は並走者。アジャイル開発から学ぶ、家族で挑む最高の勉強リスト

皆様、こんにちは。マナリンクでプロ講師をしております。日々、中学生の皆さんの学習をサポートする一方で、私自身も資格試験に向けて勉強を続けている一人の受験生でもあります。大人になっても新しいことを学ぶのは本当に大変なことだと身に染みて感じています。だからこそ、皆さんが「何から手をつければいいか分からない」「親に言われるとやる気がなくなる」と悩む気持ちがよく分かります。
今回は、ITなどの最先端の仕事現場で使われているスクラムというチーム作りの仕組みを、皆様のご家庭の勉強に応用する方法についてお話しします。難しそうな言葉ですが、中身は驚くほどシンプルで、明日からすぐに試せる温かい仕組みです。
【勉強をチーム戦に変える3つの役割】
仕事の世界では、何か素晴らしい製品やサービスを作るとき、チーム全員がバラバラに動くのではなく、それぞれが明確な役割を持って動きます。これを子どもの勉強に置き換えると、驚くほどしっくりくる最強のチームができあがります。
まず、親御さんの役割はプロダクトオーナーです。これは、製品の価値を決める最高責任者のことです。子どもの勉強で言えば、「子どもにどんな大人になってほしいか」「この勉強を通じてどんな力を身につけてほしいか」という、一番大切な願いや方向性を決めるリーダーの役割です。
次に、私たち教師の役割はスクラムマスターです。これは、リーダーが掲げた理想を形にするために、チームの邪魔者を取り除いたり、進め方をサポートしたりする応援団長、あるいは並走者の役割です。
そして、主役である中学生の皆さんは、実際に手を動かして価値を生み出す開発チームです。
このように役割を整理すると、親がガミガミ怒り、子どもが嫌々勉強するという敵対関係ではなく、同じゴールを目指して進む一つのチームになることができます。
【最高のやることリスト、プロダクトバックログを作ろう】
チームが動き出すために最も大切なのが、プロダクトバックログと呼ばれるものです。簡単に言えば、これができたら最高!という願いを並べた、やることリストのことです。
このリストを作るのは、リーダーである親御さんの役目です。ただし、ここで注意したいのは、数学のワークを5ページやるといった細かい勉強の内容をリストに書くのではない、ということです。それは手段であって、本当の目的ではないからです。
親御さんが作るべきリストには、もっと根本的な願いを書きます。例えば、計算ミスを減らして悔しい思いをしないようになってほしい、英語の長文を読めるようになって将来の世界を広げてほしい、わからない問題に当たってもすぐに諦めずに5分は考える粘り強さを身につけてほしい、といった、子どもに手に入れてほしい価値そのものを書き出します。
このように、親御さんの頭の中にある子どもの未来への願いをしっかりと言葉にしてリストアップすることが、すべてのスタートになります。
【先生という並走者が、リストを勉強のステップに変える】
親御さんが素晴らしい願いのリストを作ってくださったら、ここからがスクラムマスターである私たち教師の出番です。親御さんの熱い思いを受け取り、それを中学生の皆さんが今日から実行できる具体的な勉強のステップへと翻訳し、交通整理を行います。
例えば、計算ミスを減らしてほしいという親御さんの願いがあれば、教師は、それなら毎日の勉強の最初に5分間の百ます計算を組み込みましょう、解く速さよりも見直しの仕方を身につける方が近道です、と提案します。粘り強さを身につけてほしいという願いなら、答えをすぐに見るのではなく、まずは問題の条件に線を引く習慣から始めよう、と子どもが挑戦しやすいサイズに細かくばらしてあげます。
私自身の試験勉強でも、大きな目標を達成するために、まずは今週は何を理解するべきかという小さな行動に落とし込んで進めています。このように、親子と教師の3人で役割を分担すると、勉強の進みが驚くほどスムーズになります。
【子どもを信じて任せる、大人の関わり方】
この仕組みがうまくいくための最大のコツは、役割を絶対に守ることです。
リーダーである親御さんは、願いのリストを作ったら、具体的な勉強のやり方や日々の進み具合については、スクラムマスターである教師と、主役である子どもたちを信じて任せてみてください。
今日は本当にやったの?もっと早くやりなさいと言いたくなる気持ちは本当によく分かります。しかし、そこで管理をしすぎてしまうと、子どもたちは言われたからやるロボットになってしまいます。親御さんが、あなたのこういう力を伸ばしたいんだよと価値を語り、教師が、じゃあ一緒にこの作戦でいこうと支え、子どもが、これならできそうと動く。この循環が生まれたとき、子どもの目の輝きはガラリと変わります。
【最後に】
勉強は、子どもが一人で孤独に戦うものではありません。また、親御さんが一人で抱え込んでイライラするものでもありません。
親御さんが大きな方向性を示し、教師が歩きやすいように道を整え、子どもが自分の足で一歩を踏み出す。皆様という最高のチームで、子どもの成長という素晴らしい価値を、一緒に追い求めていきませんか。まずは、親御さんがお子さんにどんな力をつけてほしいかを、ノートに一つ書き出すことから始めてみてください。