プロジェクト憲章の次はこれ!手戻りを防ぐ計画の黄金ルート

【はじめに:憲章の次に進むべき道】
皆様、こんにちは。マナリンクのプロ講師です。前回は、受験や学習の揺るぎない土台となる「受験憲章(家族の受験宣言書)」の作り方についてお話ししました。目標や絶対に守るべきルールという、動かせない頑丈な枠組みが決まったら、次はいよいよ具体的な計画を組み立てるフェーズへと進みます。
ウォーターフォールと呼ばれる計画術では、憲章を作った後に進むべき、黄金のルートが決まっています。このルートを正しく進むことで、受験勉強の途中で、時間が足りない、やることが多すぎて終わらない、という最悪の事態を確実に防ぐことができます。今回は、限られた時間と体力の中で最大の成果を出して計画倒れを防ぐための、戦略的な計画の組み立て方について解説します。
【ステップ1:やることの境界線をハッキリ決める】
憲章でゴールが決まったら、次に行うのは、今回のプロジェクトでやるべきことの総量をハッキリと決める作業です。これを専門用語ではスコープ定義と呼びますが、家庭学習においては、やることの境界線、つまり守備範囲を決める、と言い換えることができます。
多くの人が計画倒れしてしまう原因は、勉強を進める途中で、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と、やることの範囲をどんどん広げてしまうからです。塾のテキスト、学校の宿題、本屋で見つけた良さそうな参考書など、すべてを詰め込んでしまえば、時間が足りなくなるのは当然です。
だからこそ、この段階で、今回はこの問題集と過去問5年分だけを完璧にする、この参考書には手を出さない、というように、やるべきことと、絶対にやらないことの境界線をハッキリと引きます。最初にやるべきことの総量を確定させてロックすることが、ウォーターフォール理論の最も重要な鍵となります。
【ステップ2:やることの総量を限界まで細かくばらす】
境界線が引けたら、次は、やることの総量を、今日から動けるレベルまで細かくバラバラに分解していきます。この作業を、専門用語ではWBSと呼びますが、要するに、タスクのばらし方のことです。
例えば、数学の苦手を克服する、という大きな塊のままだと、今日何をすればいいか分かりません。これを、関数、確率、図形というように単元ごとに分解し、さらに、教科書の例題を解く、ワークの基本問題をやる、間違えた問題を解き直す、というように、行動のレベルまで細かくばらしていきます。
最終的には、問題集の12ページから15ページを解く、というように、ページ数や個数という具体的な数字が見える最小単位まで分解します。ここまで細かくばらすことで、子どもたちが、何をすればいいか分からない、と机の前でフリーズしてしまう時間をゼロにすることができます。
【ステップ3:ばらしたパズルをカレンダーにはめ込む】
やることが最小単位までばらされたら、最後のステップとして、それらをカレンダーという限られた枠の中にパズルのように配置していきます。これをスケジュール開発と呼びます。
ここで大切なのは、ただ闇雲に日々の予定を詰め込むのではなく、最初に決めた、使える時間や体力という制約条件をしっかりと意識することです。学校がある日、塾がある日、習い事がある日など、曜日によって勉強に使える時間は異なります。
火曜日は1時間しか使えないから、ばらしたタスクの中から5分で終わるものを2つだけ入れる。土曜日は3時間使えるから、じっくり取り組むタスクを配置する。このように、子どもの体力や一日のスケジュールに合わせて、無理のない範囲でパズルをはめ込んでいきます。
【計画の黄金ルートがもたらす最大のメリット】
この、境界線を決める、細かくばらす、カレンダーにはめ込む、という黄金ルートを順番通りに進むことで、後からの大きな失敗を完全に防ぐことができます。
もし、カレンダーにパズルをはめ込んでいる途中で、どうしても入試の日までに全てのタスクが収まりきらない、ということが発覚した場合、それは非常にラッキーなことです。なぜなら、実際に勉強を始めてから、時間が足りなかった、と気づくのではなく、計画の段階で、このままでは時間切れになる、と予測できたからです。
その場合は、ステップ1に戻って、やることの境界線を見直し、本当に必要なものだけにタスクを絞り込む、あるいはステップ3で勉強時間を少し増やす工夫をするなど、事前に安全な対策を打つことができます。これが、ウォーターフォール理論が誇る、手戻りを防ぐための戦略的な計画術です。
【保護者の皆様へ:詰め込みすぎを防ぐブレーキ役になってください】
この計画の黄金ルートを歩む際、保護者の皆様にはぜひ、ブレーキ役になっていただきたいのです。子どもたちは、目標を高く持つあまり、どうしても、やること、をたくさん詰め込みがちになります。また、あれもこれもやらせたいという親御さんの気持ちが先行してしまうこともあるかもしれません。
しかし、限られた時間と体力の中で、全てのタスクを完璧にこなすのは不可能です。計画作りの時間には、教師とも連携しながら、本当に今週これだけの量をやりきれるかな、睡眠時間はちゃんと確保できているかな、と声をかけてあげてください。やることの総量をコントロールし、無理のない計画に着地させることが、リーダーである親御さんの大切なサポートになります。
【最後に】
プロジェクト憲章というブレない土台を作った後は、この黄金ルートに沿って、やることの総量を確定させ、細かくばらし、予定に落とし込んでいきます。一見、遠回りのように見えるかもしれませんが、最初にこの強固な計画を作っておくことで、日々の勉強での迷いや不安は完全に消え去ります。
皆様という最高のチームで、この計画の黄金ルートを一緒に組み立ててみませんか。私たち教師も、ばらしたタスクの精査や優先順位の調整など、専門的な視点から全力で皆様の計画作りをサポートし、並走し続けます。まずは、今回のテストや受験に向けて、やるべきこと、をすべて机の上に書き出すことから、次の一歩を踏み出してみましょう。