【総合型・学校推薦型対策】関西学院大学(2024)合格する小論文の書き方と考え方
2024/6/22
関西学院大学の推薦入試問題(2024年度/日本語小論文問題)の問題1の答え(のようなもの)とその考え方について以下に述べます。
なお(1)から(3)は割愛し(4)のみ本稿は扱います。
ちなみに(1)の答えはbです。
少々長めのブログですが、最終的に、多様性を標榜しつつ多様性を否定する行動をとる人に対して「あたおかか」と著者は言っている、というところに本稿の話は向かいます。
なお、お急ぎの方は、下の方にある「課題文の上位概念を洞察する」からお読みください。
(4)の解き方(ざっくりした説明)
(4)はまず、「著者が考える問題点を説明しろ」と言われているので、整理してあげよう。
問題点は本文に書かれています。ものすごくざっくり言うと、「国際社会なるものを標榜している国が、そうではない国に対して、平和指導をする、それ自体が問題だ」と言っています。
もちろんこの書き方では点をくれないので、これを旨として本文の言葉を丁寧に拾って解答してください。
「落ちる」答え・考え方のご紹介
その上で、「これから国際社会がどのように平和構築をしていけばよいと思うのか、ヌエル族の例を参考に、自分の考えを600字程度で書け」と言っていますから、論述しよう。
まず「これから国際社会がどのように平和構築していけばいいと思うのか」に関して。
これは著者の意見に乗っかるのか、著者の意見の反対の立場をとるのか? というところから考えていけばいいです。
大抵の人は著者の意見に乗っかると思うので、2ページ目の傍線部②をもとに自分の考え方をアレンジして論述するのかもしれません。
つまり「国際社会なるものを標榜している国家を模倣することによって「非国際国」は平和になるといった考え方が平和構築に大きな影響を与えている=それが問題だ」と書いてあるので、その著者の意見をひっくり返せば「どのようにして」平和構築をするのか? を述べたことになると考える人が多いのではないでしょうか?
また、「ヌエル族の例を参考にして書け」と書いてあるので、2ページ目の後ろ2行目~3ページ目にかけてのヌエル族の例をいくつかちりばめるといった書き方をする人が多いように思います。
しかし、それでは確実に落ちます。
合格する小論文の書き方
小論文は「起承転結で書け」など、書き方の型を教える参考書が非常に多いですが、型はネットにもあるので、それをパクればいいです。型に著作権はないからです。
合否を分ける最大のポイントは、「課題文における対立表現と言い換え表現をとる」ことです。それを取れない人は、著者の主張とおぼしき文章に自ら鉛筆で線を引き、「ここが著者の主張だと思うけど、それがなにか?」となり、そこから先、自分の考えが生まれません。
ではどうすればいいのか?
言い換え表現と反対表現を課題文の中に求めることによって「両者の間から透けて見えるもの」それが「真の著者の主張」です。
この文章だと、
国際社会=有能=普遍的かつ絶対的
↑
↓
現地社会=無能=社会に固有の文脈=歴史的・社会的な環境要因=ヌエル族=生活=部族
こういう方程式が成立します。
なぜ成立するのかといえば、本文にそう書いてあるからです。
本文に書いてあるものが「見えていない人」は即座に私の小論文講座を受講してください。
その方程式を以下に少し解説します。
課題文の「上位概念」を洞察する
この方程式はつまり、
(1)国際社会なるものを標榜している人々は物事を一般化・普遍化して捉えている。
(2)他方、低能と言われている戦争を始めるような国や、内戦を抱えている国の人々は、自分たちのルーツや生活や宗教といった「その国その人に固有の文脈」を生きている、となります。
この概念の上位にある概念は「理性と感性の対立」です。
理性というのは、17世紀にデカルトが言い始めました。いわゆる主知主義です。
他方、感性というのは、ジョン・ロックなどが提唱し、イギリス経験論と言われています。人は白紙の状態で生まれて、その後、何らかの経験を重ねることによってさまざまなことを白紙に書き込みつつ成長する、くらいの考え方です。
以下にそれはどういうことか説明します。
理性というのは「同じ」と捉える脳のクセのことです。
たとえば、リンゴとミカンを「同じ」果物と考えるのは理性の働きゆえです。果物という物体はないわけですから、要するに、「同じにする能力」を用いて、より上位の、なんらかすっきりした「概念を作る」のが理性のクセです。
他方で、感性というのは、「リンゴとミカンは同じじゃないだろ?」と言い張る脳のクセです。
リンゴとミカンが同じでないのは、誰だって見ればわかります。2つのリンゴを見比べても、細かな違いがあるのは、子どもでも分かります。世の中には2つとして同じものはないのです。
つまりこの著者は、理性と感性の対立、すなわち「『国際化』『平和』という大義名分をふりかざして、生まれも育ちも信条も違う人を「同じ」と見なしていいのか?」といっているのです。
同じと見なす人々が、内戦のある国に出向いて行って、そこにある土着の宗教や生活をぐちゃぐちゃにしつつ平和を構築している。そんな国際人の厚顔無恥がこの著者は気に食わないと言っているのです。
要するに「多様性」を標榜しつつ「本当の多様性」を否定する行動をとる人に対して「あたおかか」と言っているのです。頭で考えた多様性という「概念」でもって、現にまさにそこにある「多様性」を蹂躙するって、それ本気で言ってるの? と著者は言っている。
模範解答
と、そこまでわかれば、600字程度なら、あなたの考えが生まれてくるでしょう。
ちなみにわたしは、「国際人」がみずからのゆきすぎた「主知主義」に気づかない限り、平和構築は無理だ。したがって、理性を偏愛する人々の思考それ自体を改め、多様な在り方や考え方を是としない限り、国際社会における平和構築は難しいのではないだろうか。と書こうかなと思いました。
ここまで読んでもさっぱり理解できなかった方は重症ですから、即座に私にご相談ください。「急患」扱いで指導します。だって、総合型選抜まであと3ヶ月もないんですよ?
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