［中学生/国語］日常語から古典語まで、敬語に強くなる！

「調理実習で作った親子丼です。おいしくいただいてください。」

高校1年生のクラス担任をしていた時、職員室の机の上に置かれていたメモです。こういうサプライズがあると、教師冥利に尽きるのですが、やはり見過ごしにはできません。

おいしく　いただいて　ください

敬語の誤用です。当時、担任クラスは古典を担当していました。古典は折しも敬語の学習中、授業の導入でこの出来事を話しました。

「ものすごくうれしくて、おいしくいただいたんだけど、Fくんの敬意の方向は間違ってます」と、その時のFくんの悲しそうな顔、今でも覚えています。

教員を辞めてから、この「いただいてください」に何度も出会いましたが、大人に指摘したことはないです。縁があって、キャビンアテンダントを目指す学生さんから「みなさんで、召し上がってください。」と書かれたお土産をいただいたことがあります。就職試験にも敬語は必須です。しかし、

敬語が重要なのは、日常語以上に古文読解です！

赤字はあまり使わないのですが、ここは赤字で書きたい。中学校までに習う敬語は古文読解のレディネス（前提となる知識）なのです。次の古文は高校の教科書に多く掲載される『枕草子』の「中納言参り給ひて」の一部です。ここでの中納言は藤原隆家、清少納言が仕えた中宮定子の弟です。

この指導コースは中学生向けなので、今は分からなくても大丈夫です。でも高校に進学したら必ず通る教材です。答えは①エ②イです。それ以外は中納言隆家の会話文です。

文章の一部だから、主語書いてないわけではありません。この文は九十八段の冒頭です。省略したのは末文のみです。

日本語は主語を省略します。古文は言うに及ばずです。帝（天皇）や中宮（皇后）にいたっては、その名を口にするのさえ畏れ多いので、あえて書かないのです。

主語を書かなかったら分からないじゃない！そう、それを補うのが敬語なのです。だから、敬語が分らないと古文は読めなくなります。逆に言えば、敬語が分かると古文を読むのは楽になります。

高校入試の大半は、この隠れた主語を問う問題が多く、敬語を学習することは古文読解の近道です。

［最後に］この「中納言参り給ひて」（『枕草子』98）は、清少納言の機知に富んだ賢さと、ついつい出過ぎちゃう性格がよく表れていて、読めたら思わず笑っちゃうおもしろい内容です。紫式部に「清少納言こそ、したり顔にいみじうはべりける人」と書き残されてしまった所以でもあります。

しかし授業では、敬語（最高敬語、二方向の敬意）だけではなく、係り結び、副詞の呼応（「え張るまじ」）、推定の助動詞「なり」、「なるなり→なんなり→ななり」の撥音無表記まで、文法事項を中心に指導します。読んで楽しむことは後回しになりがちです。

📝日常語の敬語から、古文の敬語の基礎まで、お子様の理解に合わせて丁寧に指導します。お住まいの公立高校入試の敬語問題、古文読解が難なく解けるようになることが目標です。志望校の過去問題にも対応します。ご相談ください。

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