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志望校は誰が決める?~進路指導の舞台裏と親の決断~

2025/5/2

「お子さんの進路は誰が決めるべきか」

~現役家庭教師が見た進路指導の現実~


本当に子どものためになる進路指導とは

今年、私は都内の有名進学校に通うA君の家庭教師を務めていました。A君は慶應義塾大学法学部を第一志望としており、私は彼と一緒に学習を進める中で、「慶應にトップ合格できる」と確信していました。彼の実力、学習への姿勢、そして何より法学への強い情熱から、私は迷わず慶應中心の受験を提案しました。経済的負担も考慮し、効率的な受験計画を立てたのです。

ところが、ここで予想外の障壁が現れました。高校側はMARCHを複数校受けるよう半ば強制的に勧めてきたのです。さらに、A君は慶應しか行きたくないのに、早稲田も3〜4学部受けるように強く勧められました。父母会では「早稲田とMARCH受験は必須」と高校の先生から念を押されるほどでした。



A君のお母様は深く悩まれていました。「先生の言うことを聞かないと、学校から嫌われるのではないか、特に担任教師との仲を悪くしたくない」と不安を漏らすほどでした。一方で、A君本人は「慶應法学部以外には行きたくない。不合格なら浪人は覚悟している」と強い意志を示していました。彼の目には確固たる決意が見えました。

見えてきた進路指導の本質

この経験から私が痛感したのは、高校の進路指導が必ずしも「生徒一人ひとりの可能性」に焦点を当てたものではないということです。進学実績を重視するあまり、「確実に合格できる大学をたくさん受けさせる」という方針が優先されがちなのです。

もちろん、複数の選択肢を持つことは悪いことではありません。しかし、それが生徒の情熱や将来の夢を犠牲にしてまで強制されるべきことでしょうか?また、受験にかかる経済的負担も決して軽視できるものではありません。

結果が教えてくれたこと

そして実際、A君は自分の強い意志どおり受験に臨みました。結果として、彼は見事に慶應義塾大学法学部と他3学部に合格。さらに共通テスト利用で別の1大学にも合格しました。彼の決意と努力は、見事に実を結んだのです。

保護者の皆さまへのメッセージ

お子さんの進路選択において、最も大切なのは「誰のための選択か」という視点です。学校の方針も大切ですが、最終的にその人生を生きるのはお子さん自身です。

私は最終的にA君とご両親に「A君の強い意志を尊重し、慶應法学部に全力を注ぐ」という選択を支持しました。なぜなら、彼の目には法律家になりたいという強い決意が輝いていたからです。


保護者の皆さまには、勇気を持ってお子さんの声に耳を傾け、時には学校の指導方針に対して「待った」をかける勇気も必要かもしれません。「安全策」ばかりを求めるのではなく、お子さんの情熱を信じ、その可能性を最大限に伸ばす選択をしてあげてください。


それこそが、真の意味で「子どものため」の選択ではないでしょうか。子どもたちの未来は、型にはめるものではなく、共に創り上げていくものなのです。

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