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大手塾トップクラス担当講師が見た、『伸びる子』の思考習慣:フラッシュカードの裏に隠された秘密

2025/11/29

こんにちは。個別指導を中心に、受験指導に携わっているヒロユキです。

長年、集団指導と個別指導、特に大手中学受験塾の最上位クラスを担当する中で、多くの生徒の成長を静かに見つめてきました。生徒のタイプは様々ですが、「伸びる子」には共通して存在する、ある種の**「思考の癖」**があります。

それは、「解法をフラッシュカードのように瞬時に引き出せること」、それ自体ではなく、その**「瞬時に引き出すプロセス」**の裏側にあるものです。

🧠一見、丸暗記に見える「瞬発力」の正体

僕の授業では、生徒に**「この問題、どう解く?」**と問いかけ、解法を反射的に答えてもらう練習をすることがあります。特に算数の特殊算や、特定の公式を用いる問題で有効です。

ある生徒は、その練習で見事に正解を連発します。「よくできました。その通りです」と肯定的なフィードバックをしますが、その反射的な解答が、ただの丸暗記によるものか、それとも深い理解に基づくものか、僕にはすぐにわかります。

例えば、「ニュートン算」を解く問題が出たとき、すぐに「ああ、あの問題か」と解法を思い出す子は少なくありません。しかし、

  • Aくん(伸び悩む子): 「えーと、確か、『増える量』と『減る量』を求めて…」と、解法のキーワードを思い出そうとする。

  • Bくん(伸びる子): 「これは**『水の流れ』**と同じですね。一定のスピードで水が流れ込んで(増える量)、ポンプで水を汲み出す(減る量)。問題は、単位時間あたりの変化を問うている」と、**問題の構造(原理原則)**に立ち返る。

いかがでしょうか。一見、どちらも正解にたどり着くかもしれませんが、Aくんが**「目の前の問題の形」に依存しているのに対し、Bくんは「その解法が生まれた仕組み」、つまり原理原則を押さえています。Bくんにとって、フラッシュカードは「知識の引き出し」ではなく、「構造の確認ツール」**なのです。

🔍知識は整理棚、思考は図書館の司書

僕はよく、知識を整理棚に、思考プロセスを図書館の司書に例えます。

Aくんのように「キーワード」で解法を思い出そうとするのは、整理棚のラベルだけを見て、中身を想像しているようなものです。ラベルが少しでも書き換えられたり、問題文がひねられたりすると、**「あれ、この棚、どこだ?」**と迷子になり、時間ばかりが過ぎていきます。受験本番で「見たことのない問題」に出くわすと、思考が停止してしまいがちです。

一方で、Bくんは、問題が提示された瞬間、「これは**『一定の変化率を持つ2つの異なる動きが関わる問題群』**だから、あのエリア(特殊算の構造理解)を見よう」と、**根本原理(構造)**に基づいて棚(知識)を探し出します。

この「図書館の司書」的な思考習慣こそが、伸びる子の最大の武器です。

10年間、最上位クラスで見てきた「伸びる子」たちは、**「解法を暗記すること」自体を目的にせず、「なぜその解法が成立するのか」**という問いを常に自分自身に投げかけます。その結果、

  1. 知識の定着が強固になる(原理を知っているから忘れない)。

  2. 応用力が生まれる(新しい問題でも、既知の原理を応用できる)。

  3. 効率的な学習ができる(丸暗記の負担から解放される)。

これは、単に「真面目な子」といった主観的な評価ではなく、合理的な学習戦略なのです。

🚪難問を「開かずの扉」にしないための実践的ステップ

では、どのようにしてこの「司書」的な思考習慣を身につけるか。

まずは、「解きっぱなし」を辞めることです。

間違えた問題、あるいは解けたけれど時間がかかった問題について、次の3つの視点で分析してみてください。これは僕が個別指導で必ず生徒に問いかけることです。

1. なぜ、その解法を選んだのですか?(選択の理由)

「なんとなく」ではなく、「問題文のこの表現(例:平均の速さ、道のり一定、比率が複雑)から、この解法(例:面積図、線分図、連比)を使うと判断した」という論理的なプロセスを言語化します。

2. この解法は、どんな原理で成り立っていますか?(原理原則の確認)

計算問題であれば、**「分配法則」「交換法則」といった基礎法則に立ち返る。図形であれば、「相似」「合同」**の証明条件に立ち返る。面倒なようですが、これが知識を強固にする最良の方法です。

3. もし問題設定が変わったら、どこが変わりますか?(応用への意識)

例えば、速さの問題で「途中で休憩が入った」ら?「進行方向が逆になった」ら?と問題の変数を意識的に操作してみます。これが、**「見たことのない問題」**への耐性を生みます。

僕のところに来る生徒の中には、「フラッシュカード練習をしているのに、本番で点が取れない」と悩む子がいます。原因は明確です。彼らは**「カードの表面」だけを練習し、「カードの裏面に書いてある原理」**を見ていないのです。

受験は、知識を問うと同時に、その知識を使って**「論理的に思考し、手順を踏んで実行する能力」**を問うています。その能力を磨く上で、原理原則を意識した学習は、実は最も近道であり、最も合理的な戦略だと僕は考えています。

「難しく考えすぎる必要はない」と僕はよく生徒に言います。手順を踏めば、必ず答えは見つかるものです。

最後に。先日のオンライン授業中、僕の家のインターネット回線が突然落ちてしまい、生徒が僕の**「フリーズした真顔のアップ」を数秒間見つめることになったのは、余計な話でしたね。ともかく、まずは、「なぜ?」という問いを、日々の学習に取り入れてみましょう。それが、あなたの思考の「司書」**を育てていくはずです。

(ヒロユキ)

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