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「これは何算ですか?」と聞く生徒が、入試で勝てない決定的な理由

2026/1/15

こんにちは。ヒロユキです。

今日の神奈川県界隈は、昨日の雨が嘘のような快晴でした。 塾へ向かう途中、ふとスーパーに立ち寄ったのですが、野菜売り場がきれいに整理されているのを見て妙な親近感を覚えました。「根菜」「葉物」とカテゴリ分けされていると、迷わずカゴに入れられますからね。

しかし、料理をする段になって「冷蔵庫の残り物だけで何か作って」と言われたらどうでしょう。途端に手が止まる人がいます。

実はこれ、中学受験や高校受験の勉強でも全く同じ現象が起きています。

今日は、**「単元別なら解けるのに、実力テストになると点数が取れない」**という、多くのご家庭が抱える悩みについて、少し辛口ですが本質的なお話をしましょう。

「今週は旅人算」という安心感の罠

大手進学塾のカリキュラムは実によくできています。 今週は「つるかめ算」、来週は「流水算」、再来週は「平面図形」。毎週のテーマが決まっており、テキストを開けば、その単元の解き方が丁寧に解説されています。

この環境下で、生徒たちは無意識のうちに**「思考のショートカット」**を行っています。

  • 「今週は食塩水の週だ」

  • 「だから、とりあえずビーカーの絵を描けばいいんだ」

  • 「公式に数字を当てはめれば正解が出る」

これは「勉強」ではなく、単なる「作業」です。 スーパーで「人参」と書かれた棚から人参を取るだけの行為と変わりません。そこに「これは人参だろうか?」という吟味や思考は存在しないのです。

模試で偏差値が伸び悩む「50の壁」

毎週の確認テスト(カリキュラムテスト)では満点に近い点数が取れるのに、範囲のない実力テストや公開模試になると、偏差値50前後で行き詰まる子がいます。

親御さんは不思議がります。「あんなに家ではできていたのに、なぜ?」と。

答えはシンプルです。 入試問題には、「これはつるかめ算です」という親切な注釈は書かれていないからです。

昨日の授業で見えた「引き出し」の乱雑さ

実は昨日、私の教室であえて意地悪なプリントを用意しました。 これまで習った「つるかめ算」「旅人算」「平面図形」「割合」の問題を、何の脈絡もなくランダムに配置したものです。

結果は予想通り、惨憺たるものでした。

ある生徒が僕にこう質問しました。 「先生、この問題は『何算』を使えばいいんですか?」

この質問が出た時点で、残念ながら勝負ありです。 彼は「解き方(公式)」という道具は持っています。しかし、その道具を**「いつ使うのか」**を知らないのです。

解法検索能力の欠如

問題を解くプロセスは、大きく2つのフェーズに分かれます。

  1. 検索フェーズ:目の前の問題が、自分の持つ知識のどの引き出し(解法)に対応するかを判断する。

  2. 実行フェーズ:選んだ解法に従って計算し、答えを出す。

「単元別学習」ばかりしている生徒は、常に1. 検索フェーズをスキップしています。 「今はつるかめ算の引き出しを開ければいい」と最初から分かっている状態で、2. 実行フェーズの練習しかしていません。

しかし、実際の入試や実力テストで問われるのは、圧倒的に**「検索能力」**の方です。 ランダムに投げかけられた課題に対し、瞬時に脳内の引き出しをスキャンし、最適な道具を取り出す。この訓練が不足しているのです。

「ボーダーレス」な視点が突破口になる

では、どうすればこの病を克服できるのか。 答えは、**「意図的にカオス(混乱)を作る」**ことにあります。

僕が指導の中で重視しているのは、単元の枠を超えた「ボーダーレス学習」です。

例えば、速さの問題を見た瞬間に「これは速さの公式だ」と決めつけず、「比(Ratio)で解けないか?」「グラフ(関数)で可視化した方が早くないか?」と、複数の視点からアプローチさせます。算数の問題に、あえて中学数学の方程式の概念を持ち込んで、論理構造を整理させることもあります。

家庭でできる「ランダム演習」

ご家庭で対策をするなら、以下の方法をお勧めします。

  • テキストをコピーして切り刻む 過去のテキストの良問をコピーし、ハサミで切り離してトランプのようにシャッフルします。「今日はこの中から3問」と無作為に選び、解かせてみてください。

  • 「何算か?」を言語化させる 問題を解く前に、「これは何を使えば解けそう?」と問いかけてください。「面積図!」「線分図!」と、使う道具を宣言してから解き始める癖をつけます。

最初は苦戦するでしょう。 「単元」という補助輪を外され、自力でバランスを取らなければならないからです。しかし、ここで転びながら覚えた感覚こそが、本番で使える「再現性」のある実力になります。

結び

人生において、直面するトラブルに「これは〇〇ジャンルのトラブルです」なんてラベルは貼られていませんよね。 自分で状況を分析し、手持ちの経験から解決策を探り出す。受験勉強を通じて養うべきは、そうした**「未知の問題に対する姿勢」**そのものです。

もし、入試問題の1行目に「※この問題は消去算で解けます」と書いてあったら、僕は講師を廃業して、ミカンの栽培でも始めようと思います。 そうはならないからこそ、僕たちの仕事があるわけですが。

今夜の夕食、メニューを決めずにスーパーに行ってみてはいかがですか? そこから生まれる工夫こそが、最高のご馳走になるかもしれません。

ヒロユキ

次のステップ

お子様が現在使用しているテキストや、過去のテスト結果を見せていただければ、**「どの単元の検索能力が弱いのか」**を分析し、優先的に強化すべきポイントをアドバイスできます。まずは現状の「引き出し」の状態を確認してみませんか?

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