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例題が解けても類題で詰まる子の共通点

2026/5/22

算数の授業でこういう場面がよくある。

例題は先生と一緒にやって「わかった」。でも類題を一人でやると手が止まる。それどころか、どこから手をつければいいかすらわからない。

「理解が浅いんですよね」と親は言う。

違う。理解の問題ではなく、例題の使い方を知らないだけだ。

「類題」という漢字の意味を知っているか

類題の「類」は、類似の類だ。「似ている問題」という意味になる。

つまり類題は、例題と同じ構造を持つ問題として教材に配置されている。出題者がそう設計しているのだから、例題が本当に理解できていれば、類題は解けるはずなのだ。

それでも詰まる。ということは何を意味するか。

例題が「本当には」理解できていない、ということだ。

例題を「見る」のと「使う」のは別の行為

授業中に先生と一緒に例題を解く。式の流れを目で追う。「なるほどそういうことか」とうなずく。

ここまでは「例題を見た」に過ぎない。

「例題を使える」とは、次に似た問題が来たとき、例題の構造を自分の手で再現し、数字だけ差し替えて正解を出せる状態を指す。

この二つの差は、受験の現場では致命的になる。

困ったら例題に戻る、という当たり前を知らない

類題で詰まったとき、多くの子がやることがある。

もう一度問題文を読む。考え込む。違うアプローチを探す。

やらないことがある。

例題に戻ること、だ。

僕が授業中に繰り返し言うのはここだ。「この類題は何に似ているか。例題に似ているだろう。わからなければ例題を見ろ」。

類題は例題のコピーとして存在している。設計図は例題の中にある。なのにその設計図を参照せずに、更地から建物を建てようとするから詰まる。

正しい例題の使い方、三段階

  • 例題を先生と一緒に解く。式の流れ、単位の書き方、計算の順序をすべてノートに写す。

  • 類題が来たら、まず例題と「どこが同じで、どこが違うか」を確認する。数字が変わっているだけか、問われていることが変わっているか。

  • 例題の手順を類題にそのまま当てはめて、数字を差し替えて解く。

これだけだ。

難しいことは何もない。ただ、例題を「見るもの」ではなく「使うもの」として扱う習慣があるかどうかの差だ。

「自力で解く」を優先する子どもの勘違い

類題で詰まっても例題を見ない子には、一種の美学がある。「自力で考えるべきだ」という信念だ。

この美学は、受験においては有害だ。

自力で考えることが重要なのは、例題の構造を完全に習得してからの話だ。まだ習得できていない段階で例題を参照しないのは、地図を持っているのに地図を見ずに登山するようなものだ。遭難するだけで、登山の技術は何も身につかない。

使える道具は使う。それが戦略というものだ。

例題は道具だ。困ったら即座に開く。それが正しい例題との付き合い方だ。

明日、確認してほしいこと

子どもが類題で詰まったとき、次に何をするか観察してほしい。

例題を開くなら合格。頭の中だけで考え続けるなら、今すぐ矯正が必要だ。

習慣は一日で変わる。次に詰まった瞬間に「例題を見ろ」と一言言うだけでいい。それを繰り返すことで、例題を参照することが自然になる。

小さな習慣の差が、半年後の偏差値に確実に出る。

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