中学受験算数で図が書けない子は偏差値50で止まる

中学受験の算数で図が書けない。図を書きなさいと何度言っても、どこから何を書けばいいかわからないと固まる。この状態の子は、ほぼ例外なく偏差値50前後で止まります。理由は才能ではなく、図の書き方を一度も「教わっていない」からです。
図や表を書く問題は、偏差値50のあたりに集まっている
四谷大塚の模試や組分けテストの問題を正答率で並べてみると、面白いことがわかります。線分図、面積図、ダイヤグラム、場合の数の表。図や表を書けば解ける問題の多くが、正答率で言えば中ほど、偏差値で言えば50前後の帯に集まっているのです。
つまり、偏差値50の壁の正体は、難しい応用問題ではありません。図や表を書けば誰でも解ける基本問題を、書かずに頭の中で処理しようとして落としている。それだけです。逆に言えば、偏差値50前後の問題を安定して解けている子は、図も表も必ず書けています。
ちなみに、偏差値65を超える子の中には、図を書かずに解いてしまう子もいます。だからといって真似をしてはいけません。彼らは図を何百枚も書いた末に、図が頭の中で描けるようになっただけです。補助輪を外した子を見て、補助輪なしで自転車に乗り始める子はいません。
なぜ「図を書きなさい」と言っても書けないのか
親も先生も、図を書けとは言います。予習シリーズの解説にも図は載っています。それでも書けないのは、書け、という指示と、書き方を教える、の間に大きな溝があるからです。
図が書けない子に足りないのは、次の3つです。
問題文のどの数字を、図のどこに置くかという「配置の型」
線を何本引き、枠をどのくらいの大きさで取るかという「手順」
わからない量を図のどこに書き込むかという「置き場所」
この3つは、解説を読んだだけでは身につきません。完成した図を見せられても、その図がどの順番で書かれたかはわからないからです。料理の完成写真をいくら眺めても、包丁の使い方は覚えられないのと同じです。
僕が図の書き方を教えるときにやっていること
僕が四谷大塚で教えていたころ、テキストの図を見てすぐに自分で書ける子は、体感で半分くらいでした。残りの半分には、書き方そのものを細かく教えていました。
たとえば線分図なら、まず線を1本引く前に、比べる量が何個あるかを数えさせます。2つなら線は2本、上下に並べる。線の長さは、大きいほうを長めに、ノートの横幅の半分以上を使う。数字は線の上に書き、わからない量はマルで囲んで線の下に書く。ここまで、一緒に鉛筆を動かしながらやります。
過保護に見えるかもしれません。けれども、自転車に乗れない子に、乗れと言って背中を押すだけでは転ぶだけです。最初は後ろを支えて一緒に走る。乗れるようになってから手を離す。図の書き方も同じで、手取り足取り教える段階を飛ばした子が、自分で工夫できるようにはなりません。
6年の秋からでも間に合う、図の書き方の立て直し方
6年の秋に今さら単元学習に戻る時間はない、と思われるかもしれません。全単元をやり直す必要はありません。次の順番で絞り込みます。
まず、直近の模試やテストで落とした問題の中から、図や表を書けば解けた問題を抜き出します。次に、その問題の単元を予習シリーズで探し、例題の図を、解説を見ながら一度写させます。写したら解説を閉じて、同じ図を白紙に再現させる。再現できたら、類題を1問だけ解かせる。
ポイントは、答えが合ったかどうかを見ないことです。見るのは図が書けているかどうか。図が正しく書けていれば、計算を間違えていても丸に近い扱いにします。図を書くことそのものを評価しないと、子どもは図を書く意味を感じません。
親が明日からすべき非情な決断
答えだけ書いてある答案に、丸をつけるのをやめてください。正解していても、図や式がなければバツ。これを一週間続けるだけで、子どもの答案は変わります。
答えが合っているのに、と子どもは怒るでしょう。ご家庭は少し荒れるかもしれません。しかし、頭の中で解ける問題だけで偏差値50を超えた子は、組分けテストで応用問題が並んだ瞬間に崩れます。崩れるのが12月の模試か、今週の宿題か。選べるのは今だけです。
まとめ
中学受験算数で図が書けない子は、能力ではなく、書き方の手順を教わっていないだけです。落とした問題から図の必要な単元を絞り込み、写す、再現する、類題を解くの順で、手取り足取り身につけさせてください。
図の書き方を一つずつ一緒に固めたい方は、僕のマナリンクのプロフィールにある「中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポート」をご覧ください。無料の相談も受け付けていますので、お子さんの答案を見ながら、どの単元から手をつけるかを一緒に決めましょう。
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