難関校の算数、基礎問題で落ちる子に難問の出番はない

難関校の算数で基礎問題を落とす子は、どれだけ難問を練習しても、その難問にたどり着けません。過去問を分析していると、この当たり前の構造が、想像以上にはっきり見えてきます。
難関校の算数は、二種類の問題でできている
難関校の過去問や入試問題を分析していると、ある共通点に気づきます。問題が、性質のまったく違う二種類に分かれているのです。
一つ目は、意外なほど素直な問題です。塾のテキストでいえば基本から標準レベル、あるいは標準問題より少し上くらいで、普段からきちんと勉強してきた子なら解けるはずのもの。二つ目は、テキストの範囲を一歩超えた問題です。見たことのある単元でも、その中で手強い部類に入るものを指します。
学校はこの二種類を、別々の目的で並べています。ここが肝心です。
前半は足切り、後半は引き上げ
前半の問題が見ているのは、基礎をきちんとやってきたかどうかです。基礎を固めていない子を、ここでふるい落とします。
後半の問題が見ているのは、前半を通過した子の中の、算数ができる子、頭の良い子、論理的に勉強してきた子です。ここは落とす段階ではなく、引き抜く段階です。
受験生の側から見ると、こうなります。前半は、自分の基礎力を問われ、足りなければ落とされていく問題。後半は、実力があれば引き上げられていく問題。もう少し過激に言うなら、前半の問題は地獄に行くか行かないかを決める問題で、後半の問題は、地獄に行かなかった子が天国に行けるかどうかを決める問題です。
生きるか死ぬかが先に決まり、天国に上がれるかどうかはその後に決まる。この順番は、入れ替わりません。
後半ばかり解く親子は、良質な養分です
ところが、ご家庭の勉強を見ていると、前半を軽く見て、後半の難問ばかり解きたがる親子がいます。難関校を受けるのだから難しい問題をやらなければ、という気持ちはよくわかります。
ただ、地獄に落ちた子は天国には行けません。前半の基礎問題で落とした点数は、後半の一問で取り返せるほど甘くありません。難問を解く練習は、基礎を確実に取れる子がやって初めて得点に化けます。順番を間違えた勉強は、これだけがんばったのに合格最低点に届かないという、いちばん切ない結果を生みます。
まことに良質な養分ですが、ここに気づけた親子は、養分を卒業できます。
まず地獄に行かないための勉強とは何か
やることは、驚くほど地味です。
過去問の前半の問題(大問1、2や、各大問の最初の小問)だけを取り出し、時間を測って解く
落とした問題について、知らなかったのか、知っていたのに落としたのかを分ける
落とした単元は、使っているテキストの例題と基本問題まで戻って、やり直す
ここで大事なのは、前半の問題を「簡単だから大丈夫」と流さないことです。簡単に見える問題で落とす子は、簡単だと思っているので、見直しもしないし、復習もしません。速さの基本問題も、割合の基本問題も、できているつもりのまま入試当日を迎えます。
予習シリーズの例題や基本問題を、一冊きれいに解き直すだけでも、前半の取りこぼしはかなり減ります。難問の解説を読み込む時間があるなら、まずその時間を基礎問題の確実さに回したほうが、合格最低点には近づきます。
難問に進むのは、基礎が通ってから
前半の問題がほとんど取れるようになった子は、そこで初めて、天国に上がるための勉強に切り替えます。後半の問題を、解き方を考える練習として使う段階です。難関校が見たがっている論理的に考える力は、この段階で伸ばします。
目安として、過去問の前半で取りこぼしが続いているうちは、後半の難問は眺める程度にとどめます。取りこぼしがほとんどなくなってから、時間をかけて取り組む。この順番を守るだけで、同じ勉強時間でも得点の伸び方は変わってきます。
明日から親がする、非情な決断
最後に、親御さんにお願いしたい決断があります。お子さんが難問を解いて得意そうにしているとき、その横でそっと、過去問の前半を開いてください。そして、基礎問題で落としていないかを確認してください。
お子さんは、いまどちらの段階にいるのでしょうか。地獄に落ちないための勉強が必要なのか、天国に引き上げられるための勉強が必要なのか。ここを見分けずに勉強方針を立てると、とんでもない方向に進みます。
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