速さと比で逆比がわからない子は「1対1」を探せ
速さと比の問題で逆比がわからない。この悩みの正体は、計算力でも理解力でもありません。比を使う前に「何が同じか」を確認する習慣がないだけです。
逆比がわからない子に足りないのは、センスではなく確認作業
速さと比で点を落とす子を見ていると、共通点があります。式を立てる前に、問題文を読み返していません。そして正比か逆比かを、なんとなくの感覚で決めています。感覚で二択を選ぶ以上、半分は落とします。確率論として至極まっとうな結果です。
この単元は、答えを出す前の一手で勝負が決まります。その一手とは、速さ・時間・距離のうち、どれが1対1になっているかを探すことです。
速さと比の大原則:1対1になるものを先に見つける
速さ × 時間 = 距離。この三つのうち、二つの場面で同じものが一つあれば、残る二つの関係は自動的に決まります。
距離が1対1のとき、速さと時間は逆比
速さが1対1のとき、距離と時間は正比
時間が1対1のとき、距離と速さは正比
逆比が登場するのは、距離が同じときだけです。ここを丸暗記する必要はありません。問題文の言葉が合図を出してくれています。
同じ家から同じ学校へ行く、往復する、行きと帰り。これらは距離が1対1の合図です。一定の速さで歩く、という一文があれば速さが1対1。同時に出発して兄がゴールしたとき、という言い回しなら時間が1対1です。
解き始める前に、この合図に赤ペンで線を引き、余白に「距離 1対1」と書く。やることはこれだけです。
実例1:歩くと40分、自転車だと16分
家から駅まで、歩くと40分、自転車だと16分かかります。歩く速さと自転車の速さの比は?
家から駅へ行く距離は同じなので、距離が1対1です。ということは逆比の出番です。時間の比は 40 : 16 = 5 : 2。逆にして、速さの比は 2 : 5 となります。
続きです。最初の6分だけ自転車で進み、残りは歩きました。歩いた時間は?
自転車の速さを5、歩く速さを2と置きます。自転車で6分進んだ距離は 5 × 6 = 30。全体の距離は、自転車で16分かかるので 5 × 16 = 80。残りの距離は 80 - 30 = 50。これを歩く速さ2で進むので 50 ÷ 2 = 25分です。
実例2:5分早い、3分遅い
兄が分速72mで歩くと始業の5分前に、弟が分速56mで歩くと始業の3分後に学校へ着きます。二人とも午前8時7分に同じ家を出ました。始業時刻は?
同じ家から同じ学校なので距離は1対1、逆比です。速さの比は 72 : 56 = 9 : 7。時間の比は逆にして、兄 : 弟 = 7 : 9 となります。
次に時間の差です。5分早いのと3分遅いのとでは、差は 5 + 3 = 8分。比の差の 9 - 7 = 2 が8分にあたるので、比の1は4分です。兄の所要時間は 7 × 4 = 28分。8時7分に出て28分後は8時35分で、これが始業の5分前ですから、始業は8時40分です。
検算もしておきましょう。弟は 9 × 4 = 36分かかり、8時43分着。始業の3分後で、条件と合います。距離も 72 × 28 = 2016m、56 × 36 = 2016m で一致します。ちなみに、早い場合と遅い場合の差を足すのは、つるかめ算で習う「不足と過剰は足す」と同じ発想です。
実例3:150m競走で姉がゴールしたとき
姉と妹の走る速さの比は 5 : 3 です。150m競走で姉がゴールしたとき、妹はゴールまであと何mのところにいますか?
姉がゴールするまでの時間は二人で同じなので、時間が1対1。このとき距離の比は速さの比と同じで 5 : 3 です。姉の5が150mなので、1は30m。妹は 3 × 30 = 90m 走ったところで、ゴールまで 150 - 90 = 60m 残っています。
比のミスは、気合いではなく仕組みで減らす
ここまで読んで、それでも間違えるのが子どもです。間違えた原因を性格のせいにしても、1点も増えません。外側に機能を足しましょう。
まず、比が出てきたら、その横に矢印を引いて「何の比か」を言葉で書かせます。7 : 9 という数字だけがノートに並ぶと、数分後の本人にもその出どころがわからなくなります。次に、解説を写すときは線も色も省略させないこと。省略した分だけ、あとで自分の式が読めなくなります。最後に、1問2分など時間を決めて解かせます。ここまでやって初めて、練習の質が上がります。
ちなみに、逆比を使うかどうかは、問題ごとに「距離が1対1か」だけを確認すれば決まります。四谷大塚の予習シリーズで習う速さの表も、1対1の行に印を付ける使い方ができる子は、ここで迷いません。
明日から親がすべき非情な決断
速さと比は、センスの勝負ではなく手順の勝負です。逆比がわからないのは頭の問題ではなく、1対1を探す一手が抜けているだけです。
この手順を身につけたい方は、マナリンクのプロフィールにある【予習シリーズ5年算数】割合・比・速さを先取り攻略 で、お子さんの解き方を一緒に見直せます。無料相談もありますので、気軽にお声がけください。
明日からは、問題を読んだら計算より先に、赤ペンで「1対1」を探させてください。感覚で二択を選ぶ勝負は、今日で卒業です。
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