オンライン家庭教師マナリンク

中学受験の直前期に範囲を絞るのは、万馬券を買うのと同じ

2026/10/10

中学受験の直前期に、出そうなところだけに絞りたい。6年生の秋になると、この相談が一気に増えます。

先に結論を言います。絞ってもいい。ただし、範囲を絞るのは万馬券を買うのと同じ賭けです。そしてその馬券を買う資格があるのは、残りを何があってもやり切ると腹をくくった家庭だけです。

直前期に「絞る」とは、出ない方に賭けることでもある

範囲を絞るとは、ここは出やすいからやる、と決めることです。裏を返せば、ここは出ないはずだからやらない、と決めることでもあります。問題は、後者を保証してくれる人がどこにもいないことです。

高校受験や大学受験なら、出題範囲がはっきりしていて、頻出単元を押さえれば戦える場面もあるでしょう。しかし中学受験は、限られた席を大勢で奪い合う、かなり過酷な競争です。

学校側の立場で考えてみてください。毎年同じ単元を出し、受験生全員がそこを対策してきたら、点数に差がつきません。差がつかない問題は、選抜の道具として役に立たない。だから学校は、受験生が手薄にしている単元をあえて出したり、傾向そのものを変えたりします。まんべんなく勉強してきた子が拾えて、山を張った子が落とす問題。入試問題は、そういう方向に作り替えられても何の不思議もないのです。

つまり、頻出単元のリストを信じて絞った家庭ほど、本番で見たことのない形に刺される可能性がある。これが中学受験の直前期に絞ることの、一つ目の危うさです。

「絞って逆転合格」の体験談は、当たり馬券の報告書

ネットを探せば、間に合わないから出る単元だけに絞って受かった、という体験談が見つかります。嘘ではないのでしょう。

ただ、それは競馬で万馬券を当てた人の報告と同じです。当たった人は喜んで書く。外れた人は書かない。同じ作戦で散った家庭の数は、ネットには一行も残りません。

面白い話と、真似していい話は別物です。レアケースを再現性のある作戦だと勘違いした瞬間、親子そろって良質な養分の仲間入りです。

6年の秋に「4教科すべてが不安」は、すでに黄信号

直前期の追い込みとは、本来、理科と社会はこのままで大丈夫、あとは算数だけ、という状態で、1〜2教科に時間を集中させることです。

ところが面談でよく聞くのは、こういう声です。算数の量が足りないのはわかっている。でも国語も理科も社会もあるし、塾のカリキュラムもあるから、算数の復習に時間を回せない。

気持ちはわかります。しかしこれは、4教科すべてが不安だという告白でもあります。4教科全部を同時に追い込まなければならない時点で、戦況はかなり厳しい。だから絞りたくなる。ここまでは理解できます。問題はその先です。

絞ってもいい。ただし「やり切る覚悟」が先

絞った後に残る量は、想像以上に多いのです。算数で言えば、立体図形の切断や込み入った場合の数を後回しにしたとしても、比・割合・速さ・平面図形の典型問題は丸ごと残ります。過去問の解き直しも残ります。範囲を半分に減らしたつもりでも、やるべきことはまだ山のようにある。

ここで家庭は二種類に分かれます。

  • 何があっても残りをやり切ると決めて、戦略として絞る家庭

  • どうせ全部はできないと諦めて、気持ちを楽にするために絞る家庭

前者の絞り込みは、賭けではあっても勝負になります。後者は、絞った範囲すらやり切れずに終わることが多い。同じ「絞る」でも、中身はまったくの別物です。

そして、やらない理由を「他教科があるから」「カリキュラムがあるから」と並べ始めた時点で、その家庭は後者に近づいています。足りないことは分かっている。それでも理由をつけて手をつけない。これが直前期で一番危ない状態です。

「できない」と線を引いているのは誰か

もう一つ確認させてください。うちの子には無理だから、と線を引いているのは、子どもでしょうか。それとも親でしょうか。

受験するのは子どもです。子どもが弱音を吐くのは当然です。まだ12歳ですから。しかし親が先に無理だと決めてしまったら、子どもが踏ん張る理由はなくなります。

完璧にできないからやらない、ではなく、少しでも追いつくためにやる。完璧主義の保護者ほど、この切り替えが苦手です。全部できないなら意味がない、と考えた瞬間に手が止まる。子どもが無理だと感じている場面でも、親だけは最後までやり切る側に立っていてください。それが直前期の親の、ほとんど唯一の仕事です。

明日から親がすべき非情な決断

まず、4教科のうち、このまま放っておいても崩れない教科を親子で一つ決めてください。そこに使っていた時間を、思い切って削る。浮いた時間を、足りないと分かっている教科に回す。

この決断ができないなら、範囲を絞る資格はまだありません。万馬券を買うのは自由です。ただし買うなら、残りの時間を全部その馬に注ぎ込む覚悟とセットでどうぞ。

中学受験の直前期に範囲を絞るのは、やり切る覚悟を決めた家庭がやって初めて勝負になります。何を残し、何を捨てるかを志望校の過去問から逆算して決めたい場合は、僕のマナリンクのプロフィールにある「【小6直前期】過去問分析×得点設計|志望校別の算数戦略」をご覧ください。事前のご相談やお試しの診断から始めることもできますので、まずは現状を一緒に確認するところからどうぞ。

このブログを書いた先生

この先生のおすすめコース

算数の月額コース
【小6直前期】過去問分析×得点設計|志望校別の算数戦略
タイプ別
無料体験あり
【小6直前期】過去問分析×得点設計|志望校別の算数戦略
60,000円/月
1回60分(月4回(週1回目安))
小学6年生
  • 過去問を解いているが、点数が伸びず不安なお子様
  • 志望校の傾向に合わせた対策を、プロに設計してほしいご家庭
  • 本番までの残り時間で、算数の得点を最大化したいお子様
コースの詳細を見る

このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら

中学受験におすすめの指導コース

25,000円
60分(全5回)
小学5・6年生
  • 念仏のように単語を暗記しているだけ
  • 実社会でどう使われているのかイメージできない
  • 最難関まで対応可能
コースの詳細を見る
算数の単発/短期コース
算数【予習シリーズ】解説|中学受験対策|塾テキスト塾サポート
タイプ別
無料体験あり
算数【予習シリーズ】解説|中学受験対策|塾テキスト塾サポート
19,800円
45分(全4回)
小学3〜6年生
  • テキストの問題が【難しすぎる】、【ヒントが無くて】理解出来ないお子さん
  • 塾のスピードが【速すぎる】、テストで【もっと成績アップしたい】お子さん
  • 【宿題が多すぎる】、【親の負担が大きすぎて】サポートが必要なお子さん
コースの詳細を見る
社会(中学生)の月額コース
新小学問題集対応 中学入試社会 講義編
三者面談あり
無料体験あり
新小学問題集対応 中学入試社会 講義編
28,000円/月
1回90分(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • 新小学問題集で学習を進めている全ての中学入試を受験する生徒様
  • 塾で新小学問題集の内容がわからないので、コーチングをしてほしい生徒様
  • 模試などでしっかりと点数を取って志望校に合格したい生徒様
コースの詳細を見る
算数の月額コース
【中学受験】算数 塾の学びを強化!オンラインサポート(小4)
三者面談あり
タイプ別
無料体験あり
【中学受験】算数 塾の学びを強化!オンラインサポート(小4)
18,000円/月
1回45分(月4回(週1回目安))
小学4年生
  • 塾の授業についていけず、理解の穴をそのままにしたくない生徒さん
  • 塾の宿題や復習を一人で進めるのが難しく、サポートが必要な生徒さん
  • 塾+αで算数を安定させたい、苦手を今のうちに解消したい生徒さん
コースの詳細を見る
算数の月額コース
スピードと正確性が劇的アップ!中学受験の計算対策コース
三者面談あり
タイプ別
無料体験あり
スピードと正確性が劇的アップ!中学受験の計算対策コース
22,000円/月
1回60分(月4回(週1回目安))
小学5・6年生
  • 計算問題が苦手で算数が嫌いになってしまった人
  • 計算に時間がかかる人
  • 家では計算練習ができない人
コースの詳細を見る

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

国語の「わかったつもり」が点を落とす理由と対策

2026/10/10
国語のテストのあと、本人は「ちゃんと読めた」「わかった」と言うのに、点数がついてこない。中学受験の国語でよくあるこの現象の正体は、わかったつもりです。わかったという感覚は、点数とほとんど連動しません。今日は、この「わかったつもり」がなぜ起きるのか、そしてどう壊すのかをお話しします。好きなドラマを何度...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験の国語「文章がわからないから解けない」は嘘です

2026/10/10
中学受験の国語で点が取れなかった理由を聞くと、子どもはかなりの確率で「文章がわからなかったから」と答えます。はっきり言います。それは嘘です。悪意のある嘘ではなく、本人も信じ込んでいる思い込みです。国語の入試問題は、文章の意味が完全にはわからなくても解けるように作られています。今日は、この思い込みを壊...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験の国語、難しい文章は「単純化」で解く

2026/10/10
中学受験の国語で、難しい文章が出た瞬間に手が止まる子がいます。難しいものを難しいまま抱え込めば、試験時間だけが静かに溶けていきます。国語は単純化して解く。これが僕の指導の、揺るがない根っこです。世の中を単純化しすぎるな、と言う人もいます。理屈としてはわかります。けれど、その慎重さのせいで前に進めず、...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験はいつから本気?6年からでは遅い高校受験との違い

2026/10/10
中学受験はいつから本気を出せばいいのか。6年生になったら本気で、と考えているご家庭は、計画を見直した方がいい。中学受験では、6年からの本気はたいてい間に合わないからです。高校受験の感覚で中学受験を考えると、計算が狂うご自身が高校受験を経験した保護者ほど、こう考えがちです。まずは塾の授業についていく。...
続きを読む