過去問は解けるのに、本番で解けない。その原因は「解き方の暗記」かもしれません
「過去問を何度も解いているのに、なかなか成績が安定しない」
「前に解いた問題ならできるのに、少し問題の聞き方が変わると解けなくなる」
中学受験を控えたお子様について、このようなお悩みをお持ちの保護者様はいらっしゃいませんか?
受験が近づくと、過去問演習に取り組む機会が増えていきます。
もちろん、過去問を解くことには大きな意味があります。出題形式に慣れたり、時間配分を身につけたりするうえで、欠かせない学習の一つです。
しかし、ここで気をつけたいことがあります。
過去問で正解できたことと、問題を理解して自力で解けることは、必ずしも同じではありません。
今回は、受験指導の中で大切だと感じている「解き方を覚えること」と「自分で考えて解くこと」の違いについてお話しします。
1. 「解けた!」の裏側にあるもの
例えば、ある算数の問題を解いたとします。
解説を読んで解き方を理解し、次に同じ問題を解いたら正解できました。
これは、決して悪いことではありません。
一度学んだ解き方を再現できるようになったのですから、学習としては前進しています。
ただ、ここで一つ確認したいことがあります。
もし、数字や問題文の表現が変わったら、同じように解けるでしょうか?
問題の数字が変わっても解けるのか。
条件の説明が少し変わっても、何を求められているのか理解できるのか。
これまで見たことのない問題でも、自分で解き方を考えられるのか。
こうした部分まで確認して初めて、その問題で学んだことが本当に身についているのかが見えてきます。
受験本番では、練習した問題がそのまま出題されるとは限りません。
だからこそ、解き方を覚えるだけでなく、なぜその解き方を使うのかまで理解することが大切なのです。
2. 問題が解けない原因は、知識不足だけではない
問題が解けないとき、私たちはつい「まだ勉強量が足りないのかな?」と考えがちです。
もちろん、知識や演習量が不足しているケースもあります。
しかし、指導の中では、それだけでは説明できないつまずきも見られます。
例えば、次のようなケースです。
解説を読めば理解できるのに、最初の一歩が自分では出てこない。
問題文に書かれている条件を整理できず、何を使えばよいのか分からない。
問題の聞き方が変わると、以前に学んだ解法と結びつかなくなる。
答えは出せても、なぜその答えになるのか説明できない。
こうした場合、単純に同じ問題を繰り返すだけでは、十分な改善につながらないことがあります。
必要なのは、正解したかどうかだけを見るのではなく、どこで考えが止まってしまったのかを確認することです。
問題文の意味が分からなかったのか。
必要な条件を見つけられなかったのか。
知っている解き方を思い出せなかったのか。
それとも、考え方は合っていたのに計算で間違えたのか。
原因が違えば、必要な対策も変わります。
だからこそ、間違えた問題をただ解き直すのではなく、間違えた理由まで振り返ることが大切なのです。
3. すぐに解き方を教えることが、正解とは限らない
では、問題が解けずに困っている子どもには、どのように接すればよいのでしょうか。
私は、分からない問題に出会ったとき、すぐに解き方を説明することだけが正解だとは考えていません。
もちろん、必要な知識が不足している場合には、きちんと説明する必要があります。
ただ、問題文を十分に読まないまま「分からない」となっている場合や、少し考えれば手がかりを見つけられそうな場合には、あえて考える時間を確保することも大切です。
例えば、次のような問いかけです。
「この問題では、何が分かっているの?」
「何を求めればいいのかな?」
「問題文のどこに、そのヒントがありそう?」
「今までに習ったことの中で、使えそうなものはある?」
こうした問いかけを通して、子ども自身が問題文に戻り、情報を整理し、考えを組み立てる機会をつくります。
大切なのは、ただ放置することではありません。
自分で考える時間を確保しながら、必要なところで適切に支援することです。
最初は時間がかかるかもしれません。
しかし、先生に教えてもらって解ける状態から、自分で解き方を見つけられる状態へ。
この変化を少しずつ積み重ねていくことが、受験本番での対応力につながると考えています。
4. この考え方は、国語の記述問題にも当てはまる
実は、この問題は算数だけに限りません。
国語の記述問題でも、同じことが起こります。
例えば、解答例を読めば「なるほど、そういうことか」と理解できる。
先生に添削してもらえば、正しい答案を書ける。
しかし、別の文章で同じような問題が出ると、何を書けばよいのか分からなくなってしまう。
こうした場合、解答例を覚えるだけでは十分ではありません。
大切なのは、なぜその内容が答えになるのか、本文のどこを根拠にすればよいのか、そして、どの情報を使って答案を組み立てればよいのかを理解することです。
私は国語の記述指導でも、最初から模範解答のような文章を書かせることを目指しているわけではありません。
まずは、質問に対してきちんと答えられているかを確認します。
そのうえで、必要な情報を加え、本文の根拠を踏まえながら、答案を少しずつ整えていきます。
いきなり完璧な答案を目指すのではなく、答えの中心をつくり、そこから必要な内容を足していく。
この積み重ねによって、最終的には自分で記述答案を組み立てられるようになることを目指しています。
5. 過去問演習で、本当に確認したいこと
過去問を解いた後、ぜひお子様と一緒に確認していただきたいことがあります。
それは、単に「何点取れたか」だけではありません。
なぜその答えになったのか、自分の言葉で説明できるか。
間違えた問題について、どこで考え方を間違えたのか説明できるか。
数字や条件が変わっても、同じ考え方を使えそうか。
解説を見ずに、もう一度自力で解けるか。
すべてを毎回確認する必要はありません。
気になった問題を一つ選び、こうした視点で振り返るだけでも、学習の質は変わってきます。
また、正解した問題であっても、たまたま答えが合っていたのか、根拠を持って解けたのかを確認できると、今後の課題が見えやすくなります。
過去問は、点数を測るためだけの教材ではありません。
お子様が何を理解していて、どこでつまずいているのかを知るための教材でもあります。
だからこそ、点数だけで一喜一憂するのではなく、その結果から次に何を学ぶべきかを考えていきたいところです。
最後に
受験が近づくと、少しでも多くの問題を解かせたい、過去問の点数を上げたいと思うのは自然なことです。
ただ、問題数をこなすことだけが、成績向上につながるわけではありません。
解き方を覚えること。
問題の意味を理解すること。
自分で考え、答えを導くこと。
そして、間違えた理由を振り返り、次に生かすこと。
こうした学習を積み重ねることが、初めて見る問題に対応する力につながっていきます。
もし、お子様が「解説を読めば分かるのに、自分では解けない」「記述問題になると何を書けばよいか分からない」と悩んでいるのであれば、まずは正解・不正解だけでなく、どこまで理解できていて、どこから考えられなくなっているのかを一緒に確認してみてください。
そのつまずきが分かれば、次に取り組むべきことも見えてくるはずです。
中学受験国語の記述問題でお悩みの方へ
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