集中できない!
2025/5/12
冒頭はド派手にドーンと頼みますよ
新規の映像作品を見てもらえるかどうかは、最初の数秒にかかっている。視聴者は7秒以内に「見続けるか」を判断するからである。Netflixのプロデューサーは冒頭から爆発や叫び声、死体などの「強烈なアテンション」を盛り込むように指示しているらしい。
通信社のAP通信も同様である。かつて推奨された800語(約3ページ)という記事の長さは、2019年までに300語(約1ページ)にまで短縮された。編集長は「読者が変わったのだから、我々も変わらなければならない」と記している。
コンテンツ制作者は、コンテンツ受容者が集中力を放棄したと考えていると言ってよいだろう。ショート動画が顕著な例であるが、短くて(すなわち即座に刺激を与える)大量のコンテンツ受容に人間が慣れきってしまっているのである。
思ったより脳は疲れている
どうしてこうなってしまうのだろうか、現代人が甘やかされて怠惰だからなのか?スマートフォンにより、絶え間ない通知や刺激にさらされる現代では、脳は疲弊している。疲れた状態では、読書や勉強のような集中した認知的な努力は難しいだろう。そして、当人は必ずしもこの疲労感を実感していない。つまり、遅効性の潜在的な恐るべき疲労の病と言うことができる。
絶え間ない刺激に関しては、「選択のパラドクス」も影響している。スマートフォンが夥しい選択肢を提案してくる。そうすると、実は選択すること自体が難しくなる。つまり、よりよい選択肢を求めてばかりいて、肝心の行動ができなくなるのである。いわゆる「参考書マニア」は、このような選択のパラドクスに囚われてしまっている。
陳腐な解決策
解決策は極めて陳腐である。
第一に、デジタルデトックスである。
そして第二に、デジタルをデトックスした分だけ、アナログな人間との繋がりを増やすことである。
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