勉強だけじゃない!中学生に必要な「自分を知る力」と親の関わり方
2025/7/24
「うちの子、自信がないんです」
そんな相談を、家庭教師としてよく受けます。
でも、実際に指導していると気づくことがあります。
それは——自信がないというより、“自分がどうしたいか”が分からない子が多いということです。
自信がないのではなく、目的がない。
目的がないのではなく、自分が見えていない。
だから勉強も、進路も、やらされ感で動いている。
今回は、そんな中学生に必要な「自分を知る力」について。
そして、それをどうやって家庭で育てられるのか?を考えてみたいと思います。
「自分を知る」と勉強の手応えが変わる瞬間
実際に指導したある中学生の話です。
その子は真面目で一生懸命。でも、どこか空回りしていて結果が出ない。
親御さんも不安になり、「うちの子、向いてないのかな…」と相談されました。
そこで試しに、一緒にSWOT分析をやってみました。
企業が戦略を立てるときに使うフレームワークを、あえて中学生にも使ってみたんです。
・Strength(強み):集中力がある
・Weakness(弱み):暗記が苦手
・Opportunity(外部の追い風):理屈から理解する方が得意
・Threat(外部の壁):時間がかかるタイプで、テスト範囲に追いつけない
これを一緒に洗い出していくと、彼はこんな風に言いました。
「理屈からじゃないと入らないんです。だから暗記だけだと、ほんとに入らない。」
「でも理解できると、ずっと覚えていられます。」
この瞬間から、彼の勉強スタイルは変わりました。
指導も「理屈→具体例→確認」の順番に。
時間はかかっても、自分に合ったやり方を自分で認識したことが、結果につながったんです。
親ができることは、“正解”を与えることじゃない
私たち大人は、どうしても「こうすればいいよ」と言いたくなります。
でも実は、“考える材料”を与える方が効果的です。
たとえば——
・「なぜうまくいかなかったと思う?」と問いかける
・「どうすればよかったと思う?」と一緒に振り返る
・「次やるならどうする?」と未来を意識させる
これを繰り返すことで、子どもは自分の中の選択肢と判断軸を育てていきます。
親自身も「わかってるつもり」を手放す
親は教師よりも子どもといる時間が長いです。
だからこそ「この子はこういう子」と思い込みやすい。
でも本当は、**子ども自身の“まだ言語化できていない感情や得意”**が、たくさん眠っています。
それを引き出すには、親も少しだけ視点を変える必要があります。
・正解を教えるより、「考えさせる」
・主導権を握るより、「見守る・待つ」
・「わかってるつもり」を脱して、観察し直す
このプロセスを通じて、親も変わります。
そして、その変化こそが、子どもにとっての学びの土台になるのです。
まとめ:子どもの「できるようになりたい」を、信じてあげてほしい
成績が上がるきっかけは、テクニックでも、時間でもありません。
**「自分なりのやり方が見つかってきた」**という感触です。
その第一歩は、「自分を知る」こと。
そしてそれを支えるのは、子どもを信じて見守る大人の存在です。
勉強ができる子よりも、「自分を理解して、工夫できる子」を育てる。
その視点を、ぜひ家庭の中でも大切にしてみてください。
この先生の他のブログ
医療系の仕事=安定、というイメージは今も根強いです。でも、現場に立っていると「診療放射線技師って本当に安泰なのか?」と感じることが増えてきました。今日は、現役の放射線技師として、就職の現実 、AI時代の変化 、二極化する職場事情 を正直にまとめます。これから医療系を目指す中高生に、少しでも参考になれ...
前回の記事で、ChatGPTの学習モードを使った感想を書きました。無限にキャッチボールできて、簿記の仕訳もスッと理解できる。これは正直、家庭教師として 「これ、もうAIだけで十分では?」 と思わせる衝撃でした。でも、短い間だけど使ってみるとハッキリわかったんです。AIはすごい。でも、AIだけでは届か...
前回の記事では、ChatGPTの学習モードを実際に使ってみて、家庭教師の僕が「震えた」体験を書きました。簿記の仕訳を無限にキャッチボールしながら覚えていく感覚――これは本当に革命的でした。でも、実際に数時間だけどずっと使ってみて、「便利だけど気をつけないと危ないな…」と感じるポイントもはっきり見えて...
家庭教師として生徒に教えているとき、よく意識するのは 「キャッチボール型の学習」 です。一方的に教えるのではなく、こちらが問いかけ、相手が考え、答えを返す。そのやり取りを繰り返すうちに、理解が深まり、体に刷り込まれていく――そんな授業を大事にしてきました。ところが最近、話題の ChatGPT学習モー...