学習用botはどう作る? 現役講師が考える設計の順番

最近はAIという言葉を見ない日の方が少ないくらいですが、教育の中で使うとなると、まだ少し距離を感じる方も多いかもしれません。
実際、私も最初から
「AIで何でもできる」
と思っていたわけではありません。
むしろ逆で、授業や自学サポートの中で感じていた
生徒のつまずきを、もっと細かく支えられないか
と考えた結果、学習用botという形に行き着いた、という感覚に近いです。
今回は、私が学習用botを作るときに意識していることを、できるだけシンプルにまとめてみます。
◉ bot作りで最初にやるのは「何をさせるか」を絞ること
一番大事なのはここです。
botを作ろうとすると、つい色々させたくなります。
英文法も説明して、英作文も見て、単語テストもして、長文も解説して……と広げたくなります。
でも、実際にはこれをやるとかなりぶれます。
たとえば、
英文を品詞分解するbot
日本語から英作文を組み立てるbot
英熟語を4択で確認するbot
歴史用語を中学生向けに説明するbot
のように、役割を1つに絞った方が使いやすくなります。
これは授業でも同じで、1回の授業にあれもこれも詰め込むより、今日は何をできるようにするのかを明確にした方が伸びやすいです。
botも同じで、まずは専門性を持たせた方が安定します。
◉ 次に決めるのは「誰向けか」
役割を決めたら、次に必要なのは対象です。
ここが曖昧だと、説明の仕方がぶれます。
たとえば同じ英文法の解説でも、
中1に説明するのか
中3受験生に説明するのか
英語がかなり苦手な生徒に説明するのか
得意な生徒に整理として説明するのか
で、使う言葉も深さも全く変わります。
つまりbotは、単に「何をするか」だけでは足りません。
誰のためのbotかまで決めて、初めて使いやすくなります。
これは対面授業でも同じです。
同じ単元でも、生徒によって説明の順番を変えることがあります。
botでも、その視点はかなり大事だと感じています。
◉ 使いやすいbotは「出力の型」が決まっている
学習用botで意外と重要なのが、出力の型です。
たとえば英作文を支援するbotなら、ただ答えを出すだけでは弱いです。
それよりも、
主語は何か
動詞は何か
文型はどうなるか
日本語からどう英語に組み立てるか
完成文はどうなるか
注意点は何か
という順番で返してくれた方が、生徒にとって分かりやすいです。
この「いつも同じ順番で返す」というのは、かなり重要です。
毎回説明の流れが変わると、読んで理解する方も疲れますし、復習にも使いにくくなります。
良いbotは、答えの中身だけでなく、答え方が安定しているものです。
ここは授業プリントや板書の設計とも少し似ています。
◉ botは作って終わりではなく、使って直すもの
学習用botは、一度作って終わりではありません。
むしろ本番はそこからです。
実際に使ってみると、
説明が長すぎる
言葉が難しい
余計なことまで答える
逆に説明が足りない
出力の順番が微妙に見づらい
といった問題が出てきます。
ここはかなり現実的な話ですが、botは最初から完璧にはなりません。
試して、ズレを見つけて、少しずつ直す
この積み重ねで精度が上がります。
私はむしろ、bot作りは「プログラム開発」というより、
教材改善に近いと感じています。
一度作ったプリントや説明方法も、実際に授業で使うと修正点が見えてきます。
それと同じで、botも改善型で考えた方が自然です。
◉ 結局、良いbotを作るのはAIに詳しい人だけではない
ここは意外に思われるかもしれませんが、学習用botに関しては、AIの知識が多い人だけが有利とは限りません。
むしろ大事なのは、
生徒がどこで止まりやすいか
何が分からないのか
どの順番なら理解しやすいか
どこを細かく説明すべきか
を分かっていることです。
つまり、教育現場で生徒を見てきた人ほど、学習用botの設計に強みを出しやすいです。
botは魔法の箱ではありません。
でも、授業や復習で感じる「ここをもっと細かく支えたい」という部分を形にするには、かなり相性がいいと感じています。
◉ AIに丸投げするのではなく、学習支援の形にする
ここは誤解されたくない部分です。
学習用botを作るというと、
「AIに全部任せるの?」
というイメージを持たれることがあります。
でも実際にはそうではありません。
大切なのは、
人が設計して、AIはその設計に沿って支える
という形です。
どこを重点的に説明するか。
どのレベルに合わせるか。
何を出して、何を出しすぎないか。
この部分は、人が決める必要があります。
だから私は、AIを主役というより、
授業や自学を支える道具の一つ
として考えています。
◉ まとめ
学習用botを作るときに大事なのは、難しい技術よりも設計の順番です。
まずは、何をさせるかを1つに絞る。
次に、誰向けかを決める。
その上で、出力の型を固定する。
そして、実際に使いながら修正していく。
この流れで考えると、botはかなり扱いやすくなります。
AIという言葉だけを聞くと大げさに見えるかもしれませんが、実際には
生徒の「わからない」をもう少し細かく支えるための工夫
として考えると、かなり自然です。
私自身も、これからも「何でもできるbot」を目指すというより、
一人ひとりの学びを支えやすくする小さな仕組み
として、少しずつ整えていきたいと思っています。