感じることから始まるまなび 〜小論文に対する思考の深さを育てる、知的感性のススメ〜
2025/5/30
今回は、「知的感性」をテーマに、小論文の基底とも言える「思考の深さ」を育てるヒント
をお届けします。
小論文の土台にある「知的感性」とは
小論文というと、文章の型や構成、さまざまな知識が重要と考えられがちです。
でも実は、その根っこにあるのは「知的感性」。
知的感性とは、日常の中で感じたことを問いに変えていく力です。
ふと目に留まった風景や食べ物の背景に、問いを見つける。
知的感性が、小論文に深みを与えてくれます。
水無月と夏越の祓(なごしのはらえ)
たとえば、6月の京都に欠かせないのが水無月という和菓子です。
氷を模した外郎生地に小豆をのせて、ひんやりした口当たりが魅力です。
なぜ6月に水無月を食べるのか?
これは、夏越の祓に由来しています。
夏越の祓は、半年分の穢れを落とし、無病息災を願う神事。
水無月は、邪気払いと暑気払いの意味が込められています。
このように、ひとつの食べ物の背後にある文化を掘り下げていくこと。
問いを見つける、問いに変えていく力=知的感性を磨く格好の材料になります。
「なぜ?」を3つの理由に分けてみる練習
たとえば、水無月を食べて「美味しい」と感じたとき。
その理由を3つに分けてみる練習がおすすめです。
① 小豆の素朴な甘さが、暑さをやわらげる
② 外郎生地の食感が、氷を模して涼を演出する
③ 夏越の祓という神事が、無病息災を願う神事である
こうして知的感性に響く言葉にすることは、小論文でも必ず役立ちます。
「美味しい」「なんかいいな」で終わらせず、「なぜ」を感じる習慣を持つこと。
それが思考の深さを育てる基礎になるのです。
夏という季節に知的感性を磨くことで、小論文のスキルアップを目指す一助ともなるでしょう。
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