独りよがりの教師の集まり!!英語の文法書を支給しない進学校

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2025/5/10

教えないことで伸ばす高校生の英語力 -

効果的な「教えない指導法」のすすめ

あなたは英語を教える時、つい「教えすぎ」ていませんか?それとも逆に、必要な「道具」さえ与えていないことはありませんか?

家庭教師として10年以上、数多くの進学校の高校生を見てきた私が気づいたことがあります。それは、「教えないこと」こそが、生徒の英語力を飛躍的に伸ばす秘訣だということ。ただし、これは「放置」とは全く別物です。

今日は、この逆説的な「教えない指導法」の真髄と、最近の進学校で起きている危険な「誤った教えない指導」の実態について、私の経験から紐解いていきます。

「教えすぎ」と「道具を与えない指導」という2つの罠

英語指導において、相反する二つの極端な問題が存在しています。

「教えすぎ」が生み出す3つの弊害

まず、多くの家庭教師や塾講師がやりがちな「教えすぎ」の問題点を考えてみましょう。

1. 依存心の強化:すべてを教えると、生徒は自分で考える習慣を失います。「わからないことがあれば先生が教えてくれる」という甘えが生まれ、自立した学習者になれません。

2. 思考停止の常態化:答えをすぐに与えられる環境では、「わからない→考える→発見する」というプロセスを経験できません。この「考える筋肉」の衰えは、入試本番で致命的です。

3. 達成感の喪失:すべてを丁寧に説明されると、生徒は「自分で解決した」という喜びを知りません。この達成感こそが、学習意欲を持続させる最大の燃料なのです。

「道具を与えない指導」の驚くべき実態

一方で、最近の進学校で増えているのが、この真逆の問題。「文法書を与えず、自作プリントだけで授業を進める」という危険な傾向です。

私が訪問した都内有名進学校の英語教師はこう豪語していました。 「うちの学校では文法書は使いません。すべて私のオリジナル教材です!」

これは「教えないこと」の名を借りた、ただの「道具を与えない虐待」です。なぜなら:

1. 自作プリントの罠:教師の自作プリントは体系性に欠け、重要なルールが抜け落ちていることが頻繁にあります。また、間違った解説が含まれていることも珍しくありません。

2. 調べる力の剥奪:「文法書を使わない」方針は、生徒から「調べる力」を奪っています。自分で文法書を引く訓練がなければ、わからないことがあった時に自力解決する能力は育ちません。

3. 教師依存の助長:皮肉なことに、「文法書なしの自作プリント」は、最も悪質な「教師依存」を生み出します。体系的な学習ができないため、授業がすべてとなり、結果的に教師に縛られた状態に。

「真の教えない指導法」の5つの実践テクニック


では、具体的にどのように「教えない」指導をすればよいのでしょうか?本当に効果的な「教えない指導」は、ただの放置ではなく、適切な「道具」と「機会」を与えることから始まります。

1. 質問に質問で返す

生徒:「この単語の意味がわかりません」 教師:「前後の文脈から、どんな意味だと思う?」

すぐに答えを与えるのではなく、考えるきっかけを与えましょう。推測する力は、英語力の基礎となります。

2. ヒントは最小限に

文法の質問には、関連するルールを思い出させるヒントだけを出し、答えそのものは言わない。例えば、「現在完了形の使い方を思い出してごらん」といった具合です。ただし重要なのは、事前に体系的な文法書を生徒に与えておくこと。文法書を与えずにヒントだけ出すのは、地図もコンパスも与えずに「北に進め」と言うようなもの。

3. 「調べ方」を教える

単語の意味や文法ルールを教えるのではなく、辞書の引き方、文法書の活用法、オンライン学習ツールの使い方を教えます。「魚をあげるのではなく、釣り方を教える」の精神です。しかし最も重要なのは、まず「釣り竿」(良質な文法書や辞書)を与えることです。

4. 間違いをすぐに指摘しない

英作文や和訳の添削では、すべての間違いを即座に指摘せず、「この文にはまだ3つの間違いがあります。見つけられますか?」と投げかけてみましょう。自己修正能力は、英語学習における最強のスキルです。これもまた、文法書を持っていることを前提にした指導法です。

5. 「待つ」勇気を持つ

質問の後は、沈黙を恐れず「待つ」ことが大切です。生徒が考える時間を奪わないよう、最低でも10秒は待ちましょう。この「不快な沈黙」こそ、思考が深まる貴重な時間なのです。

「教えない指導法」で伸びた実例 vs 「道具を与えない」ことで潰れた事例

理論だけでは説得力に欠けますので、実際の成功例と失敗例をご紹介します。

【成功事例1】英単語が覚えられなかったAさんj

Aさんは英単語の暗記が苦手で、毎回教えても忘れてしまうタイプでした。そこで、単語の意味を教えるのをやめ、「語源」と「関連語」を調べる宿題を出すことにしました。重要なのは、良質な英和辞典を最初に私が選んで持たせたこと。

最初は抵抗がありましたが、徐々に「調べる→理解する→記憶する」というサイクルが身につき、半年後には単語力が飛躍的に向上。センター試験で英語190点を取るまでになりました。

【成功事例2】文法に苦手意識を持っていたBくん

Bくんは文法の複雑なルールを覚えられず悩んでいました。そこで、体系的な文法書を与えた上で、答えを教えるのではなく、「なぜそうなるのか」を毎回質問する方法に切り替えました。

最初は戸惑っていましたが、次第に「理屈で理解する」習慣が身につき、文法問題の正答率が30%から80%に上昇。最終的には難関国立大学に合格しました。

【失敗事例】都内トップ進学校から転校してきたCさん

超難関校に通っていたCさんが転校してきた際、驚くべき実態が明らかになりました。前の学校では「文法書を使わない方針」で、教師の自作プリントのみで英語を学んでいたとのこと。

彼は「授業は面白かったけど、試験前になると何を勉強していいかわからなくなる」と告白。自習する習慣がないため、教師が目の前にいないと学習が進まず、独学力が全く育っていませんでした。

私は即座に適切な文法書を与え、「調べる習慣」を徹底的に指導。最初は抵抗がありましたが、3ヶ月後には自分で疑問点を解決できるようになり、偏差値が10も上昇しました。

驚くべき事実: Cさんの以前の英語教師は「文法書は古い。私のプリントだけで十分」と主張していたそうです。これは典型的な「ダメ教師」の特徴。もしあなたの学校の先生が文法書を使わせない場合、すぐに別の指導者を探すべきです。

「教えない」指導を成功させるためのコツと「ダメ教師」の見分け方

「教えない」指導の成功のコツ

「教えない」指導は、ただ放置することではありません。以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 信頼関係の構築:「教えてくれない」と不満が出ないよう、この指導法の意図を生徒に理解してもらう必要があります。

2. 適切な難易度の調整:あまりに難しすぎる課題では挫折感だけが残ります。「少し手を伸ばせば届く」レベルの課題設定が理想的です。

3. 成長の可視化:小さな成功体験も見逃さず言語化し、生徒の自信につなげましょう。「前はこれができなかったけど、今はできるようになったね」という声かけが効果的です。

4. 柔軟な対応:生徒の様子を見て、時には手厚くサポートすることも必要です。特に挫折しそうな場面では、適切な介入が求められます。

「ダメ教師」の3つの特徴と対処法

残念ながら、今の進学校には「教えない」を履き違えた「ダメ教師」が少なくありません。以下の特徴がある教師には注意が必要です。

1. 文法書を与えない教師:「自分のプリントだけで十分」と言い、体系的な文法書を使わせない教師は、即座に警戒すべきです。これは「魚も釣り竿も与えない」最悪の教育法です。対処法:自分で良質な文法書を購入し、独自に学習する習慣をつけましょう。

2. プリント中毒の教師:毎回膨大な量のプリントを配布するだけで、それをどう活用するかの指導がない教師も危険信号。対処法:プリントの内容を文法書と照らし合わせ、体系的に整理する習慣をつけましょう。

3. 「これだけやっておけば大丈夫」教師:学校のテストだけに特化した近視眼的な指導をする教師は、長期的な英語力向上の妨げになります。対処法:学校の枠を超えた学習リソースを自分で探し、視野を広げましょう。

最も重要なのは、教師があなたに「釣り竿」(学習ツール)を与え、「釣り方」(学習方法)を教えてくれるかどうか。これがない場合、すぐに別の指導者や学習リソースを探すことを強くお勧めします。

まとめ:「教えない」と「道具を与えない」の違いを見極める

「教える」ことは簡単です。しかし「教えない」勇気を持ち、生徒の自発的な学びを促すことこそ、真の指導者の役割ではないでしょうか。

ただし、「教えない」には2つの道があります。

• 真の「教えない」指導:適切な学習ツール(文法書・辞書)を与え、使い方を教えた上で、あえて答えを教えず、自分で発見させる指導法

• 偽りの「教えない」指導:文法書も与えず、自作プリントでその場しのぎの「楽しい授業」をし、自立して学ぶ力を奪う「放置型」指導法

進学校の保護者の方々へ。



お子さんの学校の英語教師が「文法書は使いません」と言ったら、それは赤信号です。即座に塾や家庭教師などの外部リソースを検討すべきでしょう。

そして、指導者の皆さんへ。受験は一過性のイベントですが、「自ら学ぶ力」は一生の財産になります。目の前の点数だけでなく、将来にわたって使える「学びの筋肉」を鍛えるために、適切な「道具」を与えた上で、時には「教えない」という選択をしてみてください。

思いがけない生徒の成長に、きっと驚かされることでしょう。

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この記事があなたの指導のヒントになれば幸いです。もし学校の英語教師が文法書を使わせず、プリント漬けの授業で困っている場合は、コメント欄でご相談ください。具体的な対策をアドバイスします。

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