【2027年度入試】早稲田大学文学部・文化構想学部の英語は英検準1級では太刀打ちできない――難化の年度と「英検1級の読解力」が必要な理由を徹底解説
はじめに――「準1級を持っているから大丈夫」は、もう通用しない

「英検準1級を取ったから、早稲田の文学部や文化構想学部の英語はなんとかなるはず」。
もしそう考えている受験生や保護者の方がいらっしゃるなら、この記事を最後まで読んでいただきたいと思います。結論から申し上げます。
早稲田大学文学部・文化構想学部の英語は、もはや英検準1級程度の英語力では太刀打ちできません。
求められているのは、英検1級に迫る語彙力と読解力、そして抽象度の高い人文学系の英文を正確に読み解く思考力、さらにこの2学部特有の設問形式に即応できる処理力です。
本記事では、「いつから難しくなったのか」という多くの方が抱く疑問に、近年の入試データをもとにお答えしたうえで、2027年度入試に向けて本当に必要な対策をお伝えします。
早稲田 文学部・文化構想学部の英語は何年度から難化したのか

まず押さえておくべきは、大学側が「この年度から問題を難しくする」と公式に発表したことはない、という点です。したがって難化は、出題の中身の変化から読み取るしかありません。
複数の入試分析を突き合わせると、流れは次のように整理できます。
【第1の転換点】2023年度――語彙レベルの急上昇
2023年度を境に、早慶の英語入試は語彙を中心に明らかに一段階レベルが上がりました。 文学部では、空所補充や文挿入の難易度が大きく跳ね上がった年として認識されています。この頃から、受験用の標準的な単語帳だけでは対応しきれない語が、正解の鍵を握る場面が目立ち始めました。
【第2の転換点】2025年度――文化構想学部で「ものすごく難しい」と言われた年
多くの受験生が「別次元に難しくなった」と感じたのが2025年度の文化構想学部です。
大問Ⅰの空所補充では、repudiating(否定する、拒絶する)とdenigrate(けなす、おとしめる)の両方が正解の選択肢として問われました。他の選択肢にも coopting、enshrining、redundant、relegateなど、標準的な単語帳の範囲を超える語が並んでいます。正解の語を知らなければ解けず、誤答の選択肢の意味がわからなければ消去法も使えない。語彙力がそのまま得点を左右する出題でした。
さらに受験生を苦しめたのが、大問Ⅲの脱文補充です。

この年のテーマは、相手の認識や記憶を少しずつ揺さぶり、自分の判断に自信を持てなくさせる心理的操作、いわゆる**「ガスライティング」**でした。約800〜1,000語の長文から抜き取られた複数の文を、元の位置に正しく戻していく形式で、最難関レベルと評されています。
なぜこれほど難しかったのか。理由は大きく二つあります。
一つは、テーマそのものの抽象度です。ガスライティングは、目に見える出来事よりも、人の内面で起きる認識の変化や、加害者と被害者の間の微妙な力関係を扱う概念です。英文も「何が起きたか」より「それがどう受け止められ、どう意味づけられるか」に重心が置かれるため、表面的な単語の拾い読みでは、文章がどこへ向かっているのかをつかめません。
もう一つは、脱文補充という形式との相性の悪さです。脱文補充は、指示語や接続表現、話題の連続性を手がかりに、文の居場所を特定していく問題です。ところが心理学系の抽象的な文章では、似たような概念や言い換えが繰り返し登場するため、どの位置にも入りそうに見える文が生まれやすくなります。一つの判断を誤ると、残りの選択肢の配置まで連鎖的に崩れていく。まさに論理の精度そのものを試す問題だったと言えます。
そして最後に待ち構えていたのが、大問Ⅴの英文要約です。

この年の素材は、近代以降の社会において「理性」がどのような位置を占めているのかを論じる、思想系の文章でした。受験生に求められたのは、文章がそれまでどのような議論を展開してきたのかを踏まえたうえで、筆者が最終的に何を主張しているのかを、9語前後という極めて限られた語数で表現することです。
ここに、この要約問題の本当の厳しさがあります。
思想系の文章では、筆者はしばしば一般的な見方や反対意見を紹介し、それを検討したうえで自分の立場を示します。読み手は、どこまでが紹介された他者の意見で、どこからが筆者自身の主張なのかを正確に切り分けなければなりません。ここを取り違えると、どれほど英語として正しく書けても、要約としては的外れになってしまいます。
さらに、本文から3語以上連続して引用できないという条件が加わります。本文のキーフレーズをそのまま使えないため、抽象的な概念を自分の語彙で言い換える力が必要です。わずか9語前後という制約の中では、冠詞一つ、前置詞一つの選択にも意味が生まれます。議論全体を俯瞰する読解力、筆者の主張を見極める判断力、そしてそれを簡潔な英語に凝縮する表現力。この三つが同時にそろわなければ、得点にはつながりません。
脱文補充で論理の精度を、要約で思考の抽象度を問われる。2025年度の文化構想学部は、英語の知識量ではなく、英語で考える力そのものを測る試験へと明確に舵を切った年だったのです。
【新傾向】2026年度――「別の方向」へ難しくなった

2026年度は、単純に「さらに難化した」というより、難しさの質が変わった年です。
文化構想学部では、大問Ⅴの要約素材が、従来の200〜250語程度の論説文から、約600語の物語文へと大きく変化しました。語数は2倍以上。論理の骨格を抜き出す従来の解法がそのまま通用せず、ストーリーの展開を踏まえて要点を凝縮する力が問われました。選択肢には preposterous(ばかげた) や populous など、英検1級の入り口に位置する語も並んでいます。
一方、文学部では straddle(またがる)、adversely(不利に) に加え、go figure、join the club といった口語表現まで出題され、英検1級レベルの語句が複数出現しています。
なお、2026年度の文化構想学部では大問Ⅰ・Ⅱがやや易化したという評価もあります。しかしこれは「易しくなった」のではなく、どこで難問が出るか予測しにくくなったということです。年度ごとに難しい大問が入れ替わる以上、全大問に高いレベルで対応できる力がなければ、安定して合格点には届きません。
なぜ「英検準1級」では足りないのか――3つの理由

理由1:語彙が英検1級の領域に踏み込んでいる
ここまで挙げた repudiate、denigrate、preposterous、straddle といった語は、英検準1級の単語帳では手薄、あるいは収録されていない語です。しかもそれらが空所補充の正解そのものとして問われます。
文脈から推測すればよい、という声もあります。確かに推測力は不可欠です。しかし、選択肢4つのうち3つの意味が曖昧な状態で、正確に推測し切ることは現実的ではありません。語彙力の上限が、そのまま得点の上限になるのが、現在の文・文構の英語です。
理由2:英文の「抽象度」が準1級の長文とは比べものにならない
大学が公表している出題意図を読むと、両学部は人文学分野を中心とした学術的な英語に重点を置き、構文の理解、速読による要点把握、長文における文脈理解、そして要約による表現力を見ると明言しています。
実際の出題テーマは、思想・哲学、心理学、科学的知識と宗教・哲学的知識の対比、記憶と人格形成、ポピュリズム、文化論など、抽象度が極めて高いものばかりです。英検準1級の長文は、社会問題を扱っていても論旨が比較的明快です。一方、早稲田文・文構の英文は、筆者が何を前提とし、何に反論し、どこに着地するのかを自分で再構成しなければ、正解にたどり着けません。
これはまさに、英検1級の読解問題で求められる力そのものです。
理由3:設問形式が「英語力」以外の処理能力を要求する
文・文構の英語は、空所補充、内容一致、脱文補充、会話文、そして要約という、性質の異なる設問が90分の中に詰め込まれています。
特に脱文補充は、文と文のつながりを論理と指示語の両面から精密に判断する力が必要で、近年はこの大問の難度が年度によって大きく変動しています。
そして両学部の名物ともいえるのが大問Ⅴの英文要約です。本文から3語以上連続して引用してはならないという条件に加え、与えられたリード文に続けて4〜10語程度という厳しい語数制限の中で要約を完成させなければなりません。この形式自体は以前から続くものですが、近年は素材の難度が上がったことで、本文の核心を極限まで凝縮する力とパラフレーズ力の要求水準が一段と高まっています。
英語が「読める」ことと、この試験で「点が取れる」ことは、まったく別の能力です。

2027年度入試に向けて本当に必要な対策
① 語彙は「準1級完成」をスタートラインにする
英検準1級レベルの単語帳は、完成させて当たり前です。そのうえで、英検1級の頻出語を計画的に積み上げてください。単語を見て日本語訳が浮かぶだけでなく、論説文の中でその語がどういう評価やニュアンスを帯びるのかまで理解しておくことが、空所補充での正答率を大きく左右します。
② 抽象的な人文学系英文を「構造」で読む訓練をする
速読だけを意識すると、抽象的な英文では必ず論旨を取り違えます。必要なのは、一文一文の構造を正確に把握したうえで、段落ごとの役割を見抜く読み方です。対比、譲歩、具体例、結論といった論理展開を意識しながら、筆者の主張の流れを自分の言葉で説明できるまで読み込んでください。
③ 要約は「骨格抽出」と「言い換え」を分けて鍛える
要約問題は、本文の核を抜き出す力と、それを別の英語で言い換える力の掛け算です。わずかな語数に収めるには、何を捨て、何を残すかの判断が欠かせません。特に、紹介された他者の意見と筆者自身の主張を切り分ける訓練は、思想系の素材で必ず差がつくポイントです。2026年度の物語文のように素材の性質が変わっても対応できるよう、論説文と物語文の両方で練習しておくことが重要です。
④ 過去問は「解いて終わり」にしない
過去問演習の価値は、なぜその選択肢が正解で、なぜ他が誤りなのかを論理的に説明できるところまで分析して、初めて生まれます。年度によって難しい大問が入れ替わる以上、複数年度を横断して、自分の弱点がどの設問形式にあるのかを把握しておくことが欠かせません。
指導者として伝えたいこと
私は約20年にわたり、駿台などの大手予備校や医学部予備校で、早慶・医学部を目指す受験生を指導してきました。上智大学で第二言語習得を学び、英国航空で17年間、英語を日常的に使う環境に身を置いてきた経験から、「試験のための英語」と「本物の読解力」は、最上位の大学になるほど一致していくと実感しています。
早稲田大学文学部・文化構想学部の英語は、まさにその典型です。小手先のテクニックではなく、英検1級レベルの語彙力と、抽象的な英文を構造的に読み解く力、そして設問ごとの解法。この3つを体系的に鍛えた受験生だけが、安定して合格点を確保できます。
まとめ――早稲田 文学部・文化構想学部 英語対策のポイント
・難化の起点は2023年度。語彙と空所補充・文挿入のレベルが上昇
・2025年度の文化構想学部は、難語、心理学テーマの最難関脱文補充、思想系素材の要約により「別次元」の難しさに
・2026年度は要約が約600語の物語文に変化し、文学部では英検1級語彙が複数出現
・3語以上連続引用禁止と語数制限という要約の形式は従来通りだが、要求水準は年々上昇
・英検準1級はゴールではなくスタートライン。英検1級の読解力、抽象内容への対応力、設問対応力が合否を分ける
「準1級は持っているのに、過去問で点が伸びない」。そう感じている方こそ、今が対策を切り替えるタイミングです。早稲田大学文学部・文化構想学部の英語対策について個別にご相談されたい方は、マナリンクの講座ページからお気軽にお問い合わせください。
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