英検1級でも説明できない? カップうどんの「お揚げ」が教えてくれる、本当の英語力
■ JALの3倍以上の初任給 ── 「すごろくの上がり」と呼ばれた会社

もう30年以上前、私が**英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)**で働いていた頃の話です。
当時、航空業界を目指す人たちの間では、欧州系の外資系航空会社、なかでもブリティッシュ・エアウェイズに入ることは**「すごろくの上がり」**と言われていました。
理由ははっきりしていて、待遇が桁違いだったのです。私自身、大学卒業時には国内最高峰と言われたJALから内定をいただいていましたが、ブリティッシュ・エアウェイズの大卒初任給は、そのJALの3倍以上。以前から私のブログを読んでくださっている皆様には、おなじみの話かもしれません。
それほどの条件で人を雇う以上、会社が求めるレベルも当然、桁違いでした。
■ 英検1級は「話題にもならない」世界
外資系航空会社の客室乗務員は、語学のプロ中のプロでした。
英検1級を持っているかどうかなど、彼女たちにとっては話題にもならない。毎日、世界中の乗客と英語でやり取りをし、ときにはクレームを受け止め、ときにはジョークで場を和ませる。
資格の級ではなく、生きた英語で勝負している人たちでした。
■ 「この茶色くて甘い四角いものは何?」
今でも忘れられない出来事があります。
ある日本人クルーが、外国人の同僚や乗客からこう聞かれたのです。
「この日本のインスタントヌードルに入っている、茶色くて甘い四角いものは何?」
日清の「どん兵衛」や、マルちゃんの「赤いきつね」に入っている、あのお揚げです。
彼女は答えに詰まりました。「It’s tofu.」と言ったものの、相手は首をかしげるばかり。豆腐といえば白くて柔らかいもの、というイメージしかない相手に、茶色でスポンジのようで、噛むと甘い汁がじゅわっと出てくるこの物体が、なぜ豆腐なのか伝わらないのです。
こうした場面の積み重ねもあって、日本路線の「日本代表」として期待されていた彼女は、最終的に職を失うことになりました。
■ 求められていたのは「英語力」ではなかった
厳しい話に聞こえるかもしれません。
でも、日本人クルーに求められていたのは、単に英語が話せることではありませんでした。
日本の文化を知り尽くし、それを外国の人にわかる言葉で具体的に伝えられること。
それこそが、JALの3倍以上の給料で雇われていた理由だったのです。
■ あなたは、このお揚げを英語で説明できますか?
英検1級の単語をたくさん知っていても、これは意外と難しい。辞書を引いて**「deep-fried tofu」と訳しただけでは伝わらない**からです。
しかも、カップうどんのお揚げは、お豆腐屋さんの普通の油揚げとも微妙に違います。甘辛い味がしっかり染み込み、お湯を注ぐとふっくら戻って汁をたっぷり吸い込む。あの人工的とも言える独特の食感は、日本人なら誰でも知っているのに、言葉にしようとすると途端に難しくなるのです。
【説明例 ①】お揚げそのものを伝える
It’s tofu, but not the soft white kind you might know. The tofu is sliced thin and deep-fried, so it becomes light and spongy, almost like a golden pocket. Then it’s simmered in a sweet soy sauce broth, so it soaks up all the flavor. The one in this cup noodle is pre-seasoned and dried, so when you pour hot water over it, it plumps up again. When you bite into it, sweet and savory broth bursts out, like a juicy sponge.
▼ ポイントは三つ
1. 相手が知っているもの(白い豆腐)との「違い」から入る
2. 作り方を順を追って説明する
3. sponge や juicy など、食感を想像できる言葉に置き換える
【説明例 ②】文化的な背景を添える
This dish is called kitsune udon. Kitsune means fox in Japanese. In Japanese folklore, foxes are messengers of the gods at Inari shrines, and they are said to love fried tofu. That’s why it’s called “fox udon.”
ここまで話せれば、相手は「へえ、面白い!」と身を乗り出してくれるはずです。
食べ物の説明が、日本文化への入り口に変わる瞬間。 これが本当の意味での英語力だと私は考えています。
■ この「説明する力」こそ、入試で問われる力
実はこの力は、大学入試でもまさに問われています。
早稲田や慶應の自由英作文、医学部の和文英訳や面接では、知っている単語を並べるだけでは点数になりません。
難しい言葉が思いつかないとき、簡単な英語で言い換えて、相手にきちんと伝わる文章を組み立てられるか。 採点者が見ているのは、まさにそこです。
「お揚げ」という単語を知らなくても、thin slices of tofu that are deep-fried と言い換えられれば十分に伝わります。逆に、難しい単語を丸暗記していても、具体的に説明する練習をしていなければ、本番で手が止まってしまいます。
■ 保護者の皆さまへ
「英検の級を取らせれば安心」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。もちろん資格は大切ですし、入試で優遇する大学も増えています。
でも、級はあくまで通過点です。
その先で差がつくのは、自分の頭で考え、自分の言葉で伝える力。 そしてそれは、日々の学習の中で意識的に鍛えなければ身につきません。
■ 「何を知っているか」ではなく「何を伝えられるか」
私は英国航空で17年間、イギリス人の同僚に囲まれて毎日英語を使ってきました。その後、予備校や大学、企業で英語を教え、今はオンラインで早慶・MARCH・医学部を目指す受験生を指導しています。
一貫して大切にしているのは、
「英語で何を知っているか」ではなく「英語で何を伝えられるか」
です。
【今日からできる練習】
今日の夜食にカップうどんを食べるなら、ぜひ一度、お揚げを英語で説明してみてください。
言葉に詰まったら、それがあなたの伸びしろです。
その「詰まり」を一つずつ解消していくことが、英作文の得点力にも、将来世界で通用する英語力にもつながっていきます。
★ 伝わる英語を、一緒に鍛えましょう ★
伝わる英語を身につけたい受験生、お子さんの英語学習に悩んでいる保護者の方は、このマナリンクの私の講座ページから、お気軽にお問い合わせください。
志望校や現在の学力、英検の目標級など、どんなことでも構いません。
一人ひとりに合わせた学習プランをご提案します。
合格に直結する英語力を、一緒に鍛えていきましょう。
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