模試の結果が悪かったらどうする?高校受験・大学受験で成績を伸ばすための結果の見方と活用法
――偏差値や合格判定に振り回されず、次の一歩を明確にするために
秋から受験本番が近づくにつれて、模試の結果が気になる方も多いのではないでしょうか。
「志望校がD判定だったけれど、今から間に合うのだろうか」
「夏休みに頑張ったのに、偏差値が思うように上がらない」
「子どもが模試の結果に落ち込んでいて、どのように声をかければよいのか分からない」
受験生本人にとっても、保護者の方にとっても、模試の結果は大きな関心事です。
しかし、模試の結果を見るときに大切なのは、判定の良し悪しだけで今後を判断しないことです。
模試は、現時点での学力や志望校との距離を確認し、今後の学習方針を考えるための材料です。河合塾も、成績表を通して教科別・設問別の成績や志望校への合格可能性などを確認し、弱点の把握に活用することを案内しています。
今回は、高校受験・大学受験のどちらにも共通する、模試の結果の見方と具体的な活用方法について解説します。
1.模試の結果は「合否の予告」ではなく「現在地を知るための資料」
まず押さえておきたいのは、模試の判定と本番の合否は同じものではないということです。
模試の判定は、一定の条件や過去のデータなどに基づいて、現時点での合格可能性を評価したものです。実際の入試までに学力が変化することもあれば、模試と本番で出題形式や科目の配点が異なることもあります。
したがって、A判定だから安心してよいわけでも、D判定だから志望校を諦めなければならないわけでもありません。
もちろん、判定を無視してよいという意味ではありません。現在の位置を把握するための重要な情報ですが、それだけで判断するのではなく、ほかのデータと合わせて考える必要があります。
例えば、同じD判定でも、次の2人では今後の対策が異なります。
Aさん: 基礎知識は身についているものの、時間配分がうまくいかず、最後の大問まで解き切れていない。
Bさん: 時間は十分に使えているものの、基礎知識や典型問題の理解が不十分で、序盤から失点している。
Aさんには時間配分や解く順番の改善が必要かもしれません。一方、Bさんには基礎事項の復習や典型問題の反復が必要です。
同じ判定でも、改善すべき課題は異なります。
大切なのは、判定そのものよりも「なぜ今の結果になったのか」を説明できるようにすることです。
2.模試の結果が返ってきたら、確認したい5つのポイント
模試の成績表には、合計点や偏差値だけでなく、科目別成績、設問別の得点、志望校判定など、今後の学習に役立つ情報が含まれています。模試によって掲載項目は異なりますが、確認する順番を決めておくと、結果を次の行動につなげやすくなります。
① 合計点と偏差値の両方を見る
合計点は、今回の試験でどれだけ得点できたかを示します。一方、偏差値は受験者集団の中での相対的な位置を把握するための指標です。
そのため、点数だけで学力の伸びを判断するのは適切ではありません。
例えば、前回より点数が上がっていても、問題が易しくなっていれば、偏差値は下がることがあります。逆に、点数が下がっていても、問題が難しくなっていれば、相対的な位置は上がることがあります。
ただし、模試ごとに受験者層や出題範囲が異なる場合もあるため、偏差値だけを単純に比較するのも避けたいところです。
確認したいこと
前回と比べて、得点や偏差値はどう変化したか。
得点の変化には、問題の難易度や出題範囲が関係していないか。
今回の結果は、一時的な変化なのか、継続的な傾向なのか。
1回の結果だけで結論を出さず、複数回の推移から学習の成果を確認しましょう。
② 教科別の成績から、優先して取り組む科目を考える
次に確認したいのが、教科ごとの成績です。
例えば、英語・数学・国語の3科目を受験し、英語と国語は安定している一方、数学だけ成績が伸び悩んでいる場合、数学の学習方法や時間配分を見直す必要があるかもしれません。
ただし、単純に成績が最も低い科目から取り組めばよいとは限りません。
判断するときは、次の3点を考えます。
志望校の入試で、その科目がどれくらい重要なのか。
失点の原因は、基礎知識の不足なのか、応用力の不足なのか。
今から対策することで、得点の改善が期待できるのか。
例えば、志望校で数学の配点が高く、典型問題の理解不足が失点の主な原因なら、数学を優先する合理性があります。
一方、配点の低い科目に多くの時間を費やしてしまい、重要科目の対策が不足するようでは、全体の得点を伸ばすうえで非効率になる可能性があります。
「苦手な科目」だけでなく、「入試での重要度」と「改善の見込み」を合わせて考えることが大切です。
③ 設問別の得点から、具体的な弱点を探す
教科別の成績だけでは、具体的に何を改善すべきかまでは分からないことがあります。
例えば、英語の偏差値が伸び悩んでいるとしても、原因はさまざまです。
単語や熟語の知識が不足している。
文法や構文の理解が不十分である。
一文ずつは読めても、文章全体の論理関係を把握できていない。
内容は理解できているものの、時間が足りない。
記述問題で、必要な根拠や要素を答案に盛り込めていない。
同じ英語の失点でも、必要な対策は異なります。
数学でも、公式を覚えていないのか、公式は理解しているものの問題に応じて使えないのか、計算過程でミスをしているのかによって、学習方法を変える必要があります。
設問別の得点や採点済み答案を確認し、間違えた問題を具体的に分析しましょう。設問ごとの成績は、補強すべき分野を見つける手がかりになります。
④ 間違えた問題を「失点の原因」で分類する
模試の復習では、間違えた問題をすべて同じように扱わないことも重要です。
おすすめは、次の5種類に分類する方法です。
A:知識不足
英単語や古文単語を知らなかった。
世界史の重要事項を覚えていなかった。
数学の公式や定理を正確に理解していなかった。
→ 基礎事項の暗記・確認を行う。
B:理解不足
解説を読んでも、なぜその解法になるのか説明できない。
英文の構造や論説文の論理関係を正しく把握できない。
→ 解説を読むだけで終わらせず、考え方を整理し、自力で再現する。
C:演習不足
解法は理解していたが、問題を見たときに使い方が分からなかった。
知識は覚えていたが、資料や文章と結び付けられなかった。
→ 典型問題や類題を解き、知識を使う練習をする。
D:処理・時間配分の問題
時間が足りず、最後まで解けなかった。
一つの問題に時間をかけすぎた。
解ける問題を後回しにしてしまった。
→ 時間を計った演習を行い、解く順番や時間配分を改善する。
E:ケアレスミス
計算ミスをした。
設問の条件を読み落とした。
解答欄への記入やマークを間違えた。
→ ミスが発生した場面を特定し、見直しの手順を決める。
この分類を行うと、「次はもっと頑張ろう」という曖昧な反省を、具体的な行動に変えられます。
なお、ケアレスミスも、単に注意力の問題と決めつけないことが大切です。時間不足や問題文の読み方、計算過程の省略などが原因になっている場合もあります。
⑤ 志望校判定を見て、今後の課題を整理する
最後に、志望校の判定を確認します。
判定を見るときは、A〜Eなどの記号だけでなく、志望校の入試科目、配点、科目別の成績、入試までの残り期間なども合わせて考えます。
大学受験では、共通テストと個別試験の配点比率によって、重視すべき科目が変わる場合があります。河合塾の成績情報でも、志望校の配点や科目別成績などを確認できるようになっています。
高校受験でも、都道府県や学校によって、学力検査・内申点・面接などの扱いが異なります。
したがって、模試の判定だけでなく、実際の入試制度や志望校の選抜方法を確認したうえで、対策を考える必要があります。
3.模試の結果が悪かったとき、具体的にどう立て直す?
ここまでの分析を、実際の学習にどう反映させればよいのでしょうか。
大切なのは、模試の結果を見て勉強時間を増やすだけでなく、学習内容や取り組み方そのものを見直すことです。
例えば、模試の結果が悪かった場合、次のように考えてみましょう。
ケース1:基礎問題を落としている
英語の文法問題や数学の基本問題など、これまでに学習したはずの問題を落としている場合です。
この場合、難しい問題集に進むよりも、基礎事項を正確に理解し、問題を見たときに使える状態にすることが優先されます。
取り組み方の例
間違えた問題に関連する単元を教科書や参考書で確認する。
解説を閉じて、解法や考え方を自分の言葉で説明する。
類題を解き、同じ考え方を使えるか確認する。
数日後にもう一度解き、定着しているか確認する。
一度正解できただけで、完全に身についたと判断しないことがポイントです。
ケース2:知識はあるのに、応用問題で失点している
基本問題は解けるものの、文章題・資料問題・記述問題などで得点できない場合です。
この場合、知識を増やすだけでは十分ではない可能性があります。
必要なのは、知識を問題の条件に合わせて使う練習です。
取り組み方の例
問題文の条件や資料から、何が分かるかを整理する。
解答に必要な知識や考え方を選ぶ。
なぜその解法や根拠を使うのか説明する。
解説と自分の答案を比較し、不足していた要素を確認する。
特に記述問題では、正しい知識を持っていることと、採点者に伝わる答案を作れることは別です。根拠・因果関係・結論など、必要な要素を答案に組み込む練習を行いましょう。
ケース3:時間が足りず、解ける問題を落としている
時間配分が原因で失点している場合は、知識の補充だけでなく、試験中の行動を改善する必要があります。
取り組み方の例
どの問題に何分かかったか記録する。
時間をかけたわりに得点できなかった問題を確認する。
解ける問題から着手する練習をする。
制限時間を設定した演習を行う。
ただし、時間が足りない原因が、英文の構造を理解するのに時間がかかることや、数学の解法がすぐに浮かばないことにある場合は、処理速度だけを鍛えても改善しにくいでしょう。
時間不足の背景にある学力上の課題も、合わせて確認することが大切です。
4.模試の結果を、次の1週間の学習計画に変える
模試の分析は、次の学習行動につながって初めて意味を持ちます。
おすすめは、模試が返却されたら、次の1週間で取り組む内容を具体的に決めることです。
例えば、英語の長文読解で失点が多かった場合、次のように計画を立てられます。
日程取り組む内容目的1日目間違えた問題を分析する失点原因を特定する2日目単語・文法・構文を復習する読解の土台を補強する3日目間違えた英文を精読する構造や論理関係を理解する4日目類題を解く理解した方法を使う5日目時間を計って長文を解く時間配分を改善する6日目間違えた問題を解き直す自力で再現できるか確認する7日目1週間の成果を振り返る次の課題を決める
これはあくまでも一例です。実際には、受験までの残り期間、ほかの科目の状況、学校の課題などに合わせて調整してください。
重要なのは、模試の復習だけに時間を使い切るのではなく、復習で見つかった課題を、日々の学習計画に組み込むことです。
また、1週間後には「何時間勉強したか」だけでなく、「前回できなかった問題が解けるようになったか」を確認しましょう。
学習時間を増やすことと、学力が伸びることは、必ずしも同じではありません。
学習した内容が得点につながっているかを確かめながら、計画を修正していきましょう。
5.保護者の方は、模試の結果をどう受け止めればよい?
模試の結果が返ってきたとき、保護者の方も不安を感じることがあると思います。
特に、志望校の判定が悪かったり、前回より偏差値が下がったりすると、今後の受験に対する心配が大きくなるのは自然なことです。
一方で、結果が返ってきた直後に、点数や判定だけをもとに叱ったり、努力不足だと決めつけたりすると、子どもが失点の原因を冷静に振り返りにくくなる場合があります。
まずは、結果を一緒に確認し、何ができていて、何を改善すべきなのかを整理することをおすすめします。
例えば、次のような声かけが考えられます。
「今回の模試で、前よりできるようになったところはあった?」
「思うように点数が取れなかったのは、どの部分だった?」
「次の模試までに、何を改善するとよさそう?」
「勉強の進め方で、困っていることはある?」
大切なのは、結果を軽視することではありません。
現実的な課題を把握しながらも、子ども自身が次の行動を考えられるように支えることです。
また、模試の結果が良かったときも、判定だけを見て安心するのではなく、得点できた理由を確認しておくと、今後の学習に活かせます。
良い結果も悪い結果も、次の行動を考えるための材料として扱うことが大切です。
6.模試の結果を活用するためのチェックリスト
最後に、模試の結果が返ってきたときに確認したいポイントをまとめます。
合計点だけでなく、偏差値や前回からの推移も確認した。
教科別の成績を確認し、優先して対策する科目を考えた。
設問別の得点や答案を見て、失点の原因を分析した。
間違えた問題を、知識不足・理解不足・演習不足・時間配分・ケアレスミスなどに分類した。
志望校の入試科目や配点、選抜方法を確認した。
次の1週間に取り組む内容を具体的に決めた。
解き直しを行い、同じ問題や類題を自力で解けるか確認する予定を立てた。
すべてを一度に完璧に行う必要はありません。
まずは、間違えた問題を数問だけでも分析し、具体的な改善策を一つ決めるところから始めてみましょう。
まとめ:模試の結果を、次の成長につなげよう
模試の結果が良かったときも、思うようにいかなかったときも、大切なのは結果を見て終わりにしないことです。
今回の結果を通して、自分に何ができていて、何が不足しているのかを把握する。そして、見つかった課題に対して、具体的な学習行動を起こす。
この積み重ねが、受験本番に向けた実力の向上につながります。
受験が近づくと、どうしても偏差値や合格判定が気になりやすくなります。しかし、数字だけを見て不安になったり、安心して対策を緩めたりするのではなく、今できる改善に目を向けていきましょう。
模試は、受験生の可能性を決めつけるためのものではありません。現在の課題を見つけ、これからの学習をより効果的にするためのものです。
お子さまが模試の結果に悩んでいるときは、点数だけでなく、そこから何を学び、次にどう行動するかを一緒に考えてみてください。
「結果を受け止めること」と「結果に振り回されること」は違います。
一つひとつの課題に向き合いながら、受験本番まで着実に力を伸ばしていきましょう。
受験勉強や学習計画についてお悩みの方へ
「模試の結果を見ても、何から勉強すればよいのか分からない」
「苦手科目を克服したいけれど、学習計画の立て方に悩んでいる」
「志望校に向けて、今の勉強方法でよいのか確認したい」
一人ひとりの理解度や目標に合わせて、学習方法や計画を見直すことが、着実な成長への第一歩になります。
※模試の評価方法や志望校の選抜制度は、模試の種類・学校・入試年度によって異なります。志望校の最新の募集要項や公式情報も必ずご確認ください。
参考情報
河合塾「個人成績|全統模試案内」
https://www.kawai-juku.ac.jp/zento/grades/report/旺文社「目標設定に活かす!模試データと入試データ」
https://passnavi.obunsha.co.jp/article/keisetsu_jidai/2509/02/ベネッセ教育情報「模試の結果を成績アップにつなげるコツ 本当の模試活用法とは?」
https://www.benesse.jp/juken/202108/20210803-1.html
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