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【高校受験】「時間の前借り」という名の数学先取り学習

2025/12/13

こんにちは、ヒロユキです。 神奈川の塾経営に携わりつつ、オンラインで生徒たちの指導にあたっています。

ここ岐阜の山々は、季節の移ろいを正確に教えてくれますが、受験生のカレンダーというのは、どうも世間一般の時間軸とは異なる進み方をするようです。特に中学3年生の1年間は、物理法則を無視したかのように加速していきます。

今日は、そんな不思議な時空の中で高校受験を戦うために不可欠な、「数学の先取り学習」についてお話ししようと思います。

これは精神論ではありません。極めて数学的で、合理的な「時間の計算」のお話です。

学校のカリキュラムという「鈍行列車」

多くの公立中学校では、文部科学省の学習指導要領に基づいて授業が進められます。それは、すべての生徒が脱落せずに進めるように設計された、安全運転の鈍行列車のようなものです。

しかし、難関校と呼ばれる高校の入試問題は、その列車が終点に着いた直後に、突然「F1レースでタイムを出せ」と要求してくるような性質を持っています。

中学3年生の2学期、あるいは冬休み前になってようやく「三平方の定理」が終わる。そこから過去問演習に入り、応用力をつけ、計算スピードを上げ、見直しの手順を確立する。

冷静に考えてみてください。これを数週間で仕上げるのは、極めてリスクの高い賭けです。 人間は、追い詰められれば火事場の馬鹿力を発揮することもありますが、それはあくまで緊急避難的な措置であり、戦略として組み込むべきものではありません。

大手塾の上位クラスで見た「当たり前」

僕は以前、いわゆる大手進学塾で最上位クラスを担当していました。 そこでは、中学3年生の内容を中学2年生のうちに、あるいは3年生の春までには概ね終えていました。

彼らが特別に頭の回転が速い「天才」だったからでしょうか。 いいえ、違います。単に「早く始めた」だけです。

彼らは、入試本番までの残り時間から逆算し、必要な演習量を確保するために、学習の開始地点を前にずらしていたのです。 才能の差ではなく、着手したタイミングの差。 これは、複利計算のように、時間が経つほど大きな差となって現れます。

数学は「積み木」である

なぜ、特に数学で先取りが必要なのでしょうか。

社会や理科の暗記分野であれば、ある程度独立した単元として学習できるため、短期間での詰め込みも不可能ではありません。地理を知らなくても、歴史は覚えられます。

しかし、数学は違います。 1次関数がわからなければ、2次関数は理解できません。方程式が解けなければ、文章題は手も足も出ません。 基礎という土台が固まっていない状態で、応用という屋根を載せようとすれば、家は崩壊します。

学校の進度に合わせて「習ったから解く」という受動的な姿勢でいると、入試レベルの複合問題(関数と図形の融合など)に出会ったとき、思考するための道具が揃っていないという事態に陥ります。

道具を揃える期間(学習期間)を早めに終わらせ、道具を使いこなす期間(演習期間)を長く確保する。 これが、数学攻略の唯一にして最大の近道です。

感情を排して、淡々と進める

では、具体的にどうすればよいか。

まずは、市販の薄い参考書や、スタディサプリなどの映像授業を活用し、学校の授業よりも1〜2単元、できれば半年分先へ進めてみてください。

この時、完璧な理解を求める必要はありません。 「だいたいこういう仕組みか」と理解し、基本的な計算ができれば十分です。 わからない箇所があっても、立ち止まらずに付箋を貼って先へ進む。 全体像を把握することこそが、先取りの真の目的だからです。

「難しくてできない」と感じることもあるでしょう。 そんな時は、「今はまだ1回目だから当然だ」と自分に言い聞かせてください。 人間は、接触回数が増えるほど、対象に好意や理解を示す生き物です。2回目、3回目に戻ってきたとき、不思議と理解できる瞬間が訪れます。

最後に

受験勉強において、時間は最も公平で、かつ最も残酷なリソースです。 「あと1ヶ月あれば」というセリフは、受験生が発する言葉の中で最も悲劇的な響きを持っています。

そうならないために、今、未来の時間を前借りするのです。 これを「先取り」と呼びます。

今、少しだけ無理をして進めておけば、中学3年生の冬、周囲が焦燥感に駆られている中で、あなたは静かにお茶を飲みながら、志望校の過去問を分析する余裕を手にしていることでしょう。

僕も、岐阜の自宅からオンラインで繋いだ画面の向こうで、あなたが涼しい顔で難問を解く姿を見るのを楽しみにしています。

さて、そろそろ次の授業の準備をしなくてはなりません。 オンライン指導というのは便利なものですが、機材トラブルだけはどれだけ先取りして準備しても、予期せぬタイミングでやってくるものですから。

それでは。

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