「効率厨」の子が落ちる理由|完璧な解法を待ち続けた末路
「効率厨」の子が落ちる理由|完璧な解法を待ち続けた末路
中学受験の現場で、ここ数年で明確に増えたタイプの子がいる。
「もっと効率のいい解き方があるんじゃないですか」と言いながら問題を飛ばす子。「この勉強法って本当に意味あるんですか」と言いながら演習を先延ばしにする子。
親御さんはたいてい「うちの子は賢いから、非効率なことをしたくないんだと思います」と言う。
僕の見立ては違う。
その子は、賢いのではなく、怖いのだ
効率を求める姿勢そのものは正しい。中学受験は「戦略」のゲームだから、解法の取捨選択は重要だ。
だが、「効率的な解き方がわかるまでやらない」という判断は、戦略ではない。
回避だ。
なぜ回避するか。答えが出てしまうから。
試してみて不正解が出ると、「自分はできない」という証拠が生まれる。試さなければ、その証拠は永遠に出てこない。「本気を出せばできる」という可能性だけが、手つかずのまま温存される。
これは心理学でいう「セルフ・ハンディキャッピング」に近い構造だ。失敗を回避するために、失敗する前に言い訳の土台を作っておく。「効率的な解き方じゃなかったから」「ちゃんと勉強してなかったから」という逃げ道を先に準備しておく行為だ。
そして皮肉なことに、この「失敗しないための戦略」こそが、合格から最も遠い行動になる。
不正解を出し続ける子の構造
もう一方のタイプ、「効率的な解き方じゃないから」と言って間違いを出し続ける子も、構造は同じだ。
正攻法の解き方ではないと感じると、途中で手が止まる。あるいは答えを出しても「でもこのやり方は正しくないと思う」と自分で打ち消す。
これは「正しい手順を踏まないと答えを出してはいけない」という、奇妙な潔癖さから来ている。
入試はそんな優しくない。
試験会場では、泥臭かろうが遠回りだろうが、マス目に数字を書いた者が点を取る。「きれいな解法で解けなかったから」という言い訳は、採点者には届かない。
最も非効率な行為の正体
ここで一度、整理しよう。
効率的な勉強法を探し続けて、勉強しない
効率的な解き方を探し続けて、答えを出さない
この2つの行動に共通しているのは何か。
「実行していない」ことだ。
どんな非効率な手法でも、実行すれば何かが起きる。答えが出る。間違いが出る。詰まる場所がわかる。それが全て、次の改善のための情報になる。
実行しなければ、情報はゼロだ。改善のしようがない。
効率を求めて動かない子の学力は、文字通り1ミリも動かない。一方、「なんとなくこうじゃないか」と泥臭く手を動かした子は、間違いという最高の教材を手に入れている。
どちらが非効率か、論じるまでもない。
親が明日すべき「非情な決断」
子どもが「この勉強法って効率いいの?」と聞いてきたとき、丁寧に説明しようとする親御さんは多い。
やめた方がいい。
その問いは多くの場合、「やらない理由」を探しているだけだ。答えを与えると、次の「やらない理由」が生まれる。
代わりに言う言葉は一つでいい。
「やってみてから考えよう」
効率の良し悪しは、やった後にしか判断できない。やる前から効率を測ろうとするのは、食べる前に「この料理は美味しいか」を確定しようとするようなものだ。食べないと、わからない。
完璧な解法を待ち続けた子どもたちの多くは、入試当日、白紙のまま時計を見つめることになる。
それだけは避けてほしい。
おわりに
「うちの子、効率を大事にしているんです」と言う親御さんに、僕はいつも心の中でこう思っている。
その子が今やっていることで、最も非効率なのは「効率を探し続けること」ですよ、と。
良質な養分になる前に、一度立ち止まって考えてみてほしい。
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ヒロユキ|マナリンク講師ページ