オンライン家庭教師マナリンク

「効率厨」の子が落ちる理由|完璧な解法を待ち続けた末路

2026/5/11

「効率厨」の子が落ちる理由|完璧な解法を待ち続けた末路

中学受験の現場で、ここ数年で明確に増えたタイプの子がいる。

「もっと効率のいい解き方があるんじゃないですか」と言いながら問題を飛ばす子。「この勉強法って本当に意味あるんですか」と言いながら演習を先延ばしにする子。

親御さんはたいてい「うちの子は賢いから、非効率なことをしたくないんだと思います」と言う。

僕の見立ては違う。

その子は、賢いのではなく、怖いのだ

効率を求める姿勢そのものは正しい。中学受験は「戦略」のゲームだから、解法の取捨選択は重要だ。

だが、「効率的な解き方がわかるまでやらない」という判断は、戦略ではない。

回避だ。

なぜ回避するか。答えが出てしまうから。

試してみて不正解が出ると、「自分はできない」という証拠が生まれる。試さなければ、その証拠は永遠に出てこない。「本気を出せばできる」という可能性だけが、手つかずのまま温存される。

これは心理学でいう「セルフ・ハンディキャッピング」に近い構造だ。失敗を回避するために、失敗する前に言い訳の土台を作っておく。「効率的な解き方じゃなかったから」「ちゃんと勉強してなかったから」という逃げ道を先に準備しておく行為だ。

そして皮肉なことに、この「失敗しないための戦略」こそが、合格から最も遠い行動になる。

不正解を出し続ける子の構造

もう一方のタイプ、「効率的な解き方じゃないから」と言って間違いを出し続ける子も、構造は同じだ。

正攻法の解き方ではないと感じると、途中で手が止まる。あるいは答えを出しても「でもこのやり方は正しくないと思う」と自分で打ち消す。

これは「正しい手順を踏まないと答えを出してはいけない」という、奇妙な潔癖さから来ている。

入試はそんな優しくない。

試験会場では、泥臭かろうが遠回りだろうが、マス目に数字を書いた者が点を取る。「きれいな解法で解けなかったから」という言い訳は、採点者には届かない。

最も非効率な行為の正体

ここで一度、整理しよう。

  • 効率的な勉強法を探し続けて、勉強しない

  • 効率的な解き方を探し続けて、答えを出さない

この2つの行動に共通しているのは何か。

「実行していない」ことだ。

どんな非効率な手法でも、実行すれば何かが起きる。答えが出る。間違いが出る。詰まる場所がわかる。それが全て、次の改善のための情報になる。

実行しなければ、情報はゼロだ。改善のしようがない。

効率を求めて動かない子の学力は、文字通り1ミリも動かない。一方、「なんとなくこうじゃないか」と泥臭く手を動かした子は、間違いという最高の教材を手に入れている。

どちらが非効率か、論じるまでもない。

親が明日すべき「非情な決断」

子どもが「この勉強法って効率いいの?」と聞いてきたとき、丁寧に説明しようとする親御さんは多い。

やめた方がいい。

その問いは多くの場合、「やらない理由」を探しているだけだ。答えを与えると、次の「やらない理由」が生まれる。

代わりに言う言葉は一つでいい。

「やってみてから考えよう」

効率の良し悪しは、やった後にしか判断できない。やる前から効率を測ろうとするのは、食べる前に「この料理は美味しいか」を確定しようとするようなものだ。食べないと、わからない。

完璧な解法を待ち続けた子どもたちの多くは、入試当日、白紙のまま時計を見つめることになる。

それだけは避けてほしい。

おわりに

「うちの子、効率を大事にしているんです」と言う親御さんに、僕はいつも心の中でこう思っている。

その子が今やっていることで、最も非効率なのは「効率を探し続けること」ですよ、と。

良質な養分になる前に、一度立ち止まって考えてみてほしい。

志望校に向けた得点戦略を個別に組みたい方は、マナリンクの僕のプロフィールページからどうぞ。何をどの順番で、どこまでやるか。それだけを決める面談でも構わない。

ヒロユキ|マナリンク講師ページ

このブログを書いた先生

中学受験の指導が得意なオンライン家庭教師一覧

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

「言うことを聞かない子」が中学受験で詰む、残酷な理由

2026/5/11
成績が上がらない。この一言に尽きる。どれだけ問題集を積み上げても、どれだけ塾に通わせても、グラフは微動だにしない。そんな家庭が相談に来るとき、話を聞いていくと必ずと言っていいほど同じ光景が浮かび上がってくる。お子さんが、人の言うことを聞かない。「頑固」は能力ではなく、戦略の誤作動だ誤解してほしくない...
続きを読む
ヒロユキの写真

「補習校で国語やってるから大丈夫」という、最も高くつく思い込み

2026/5/1
海外赴任中の保護者から、毎週のように同じ台詞を聞く。「うちの子、補習校でちゃんと国語と算数やってますから、そこは大丈夫かなと思って」僕はその瞬間、内心でため息をつく。大丈夫ではない。むしろ、「補習校をやっている」という事実が、致命的な対策の遅れを生む原因になっているケースの方が多い。これは帰国子女受...
続きを読む
ヒロユキの写真

公立一貫校の合格戦略、教科書ワークから始めよ

2026/5/1
全国の公立中高一貫校を受験する家庭と話していると、ある共通点に気づく。「適性検査対策」という名の問題集を山積みにして、小学5年生の秋から焦り始めるパターンだ。書店の中学受験コーナーに並ぶ適性検査対策本を買い込んで、作文練習をして、思考力問題を解かせて——そしてほぼ全員が同じ壁にぶつかる。問題が「読め...
続きを読む
ヒロユキの写真

週テストで点が取れない子が、受験本番でも点が取れない理由

2026/5/1
了解です。「予習シリーズ系塾の週テスト対策」ですね。内容の性質から判断して、3000字前後の単発テクニック寄り記事として執筆します。週テストで点が取れない子が、受験本番でも点が取れない理由中学受験の勉強をしているのに、毎週のテストで点が取れない。そういう子の親御さんから、こんな相談を受けることがある...
続きを読む