「わかった」は嘘かもしれない ― 算数の理解度を確認する方法
「分かった?」「うん、分かった」
この会話を信じてはいけない。特に中学受験の算数においては。
子どもの「分かった」には、3種類ある。本当に分かっている。なんとなく分かった気がしている。早く終わらせたくて言っている。このうち、使えるのは最初の1種類だけだ。
答えを丸写しにしている、というリスク
解答を渡すと、内容を理解せず写してしまう子がいる。写し終えた後は「できた」という顔をしている。お母さんが確認しても、ノートには正しい式と答えが書いてある。
問題は、次に同じ問題を解かせると、また全く解けないことだ。
これは記憶力の問題でも集中力の問題でもない。「写す」という作業が、思考を完全にバイパスしているからだ。写しながら意味を考えていないので、何も残らない。見た目の上では「勉強した」という実績だけが積み上がっていく。
見分ける方法は、一つだけ
確認方法はシンプルだ。
「答えを見ながらでいいから、お母さんにこの問題を説明してみて」
これを子どもに言う。説明させる。
ちゃんと理解していれば、話せる。「この問題はまず全体の数を求めて、次にここを比で分けて…」と、自分の言葉で筋道を説明できる。
何を言っているか分からなければ、理解していない。「えっと、あの、これがこうなって…」という状態で、聞いている側が意味を追えないなら、本人も理解できていないと判断していい。
言葉でなく「図と表」で説明させる
算数は、言語で説明することが難しい教科だ。数字の操作を言葉に変換するのは、それ自体が高度なスキルだ。
だから、言葉での説明を求めなくていい。
「この問題を図にしてみて」「表で表してみて」と言う。一言も喋らなくていい。手を動かして、図か表が完成すれば、理解していると判断できる。
図が書けない、表が作れない、という場合は、解法を「暗記」しているだけで、問題の構造を「理解」していない可能性が高い。
算数は、図と表で考える教科だ。頭の中に映像が描けない状態で問題を解いているのは、目をつぶって歩いているようなものだ。
「説明させる」ことで、子ども自身も気づく
この確認作業には、もう一つ効果がある。
説明しようとする過程で、子ども自身が「あれ、ここどうなってたっけ」と気づく瞬間がある。自分が理解できていなかった箇所を、自分で発見するのだ。
お母さんから「ここが違う」と指摘されるより、自分で「あれ、ここおかしい」と気づく方が、修正の精度がはるかに高い。そして記憶にも残る。
「分かった?」と聞くのをやめて、「説明してみて」に変えるだけで、家庭学習の質は大きく変わる。