オンライン家庭教師マナリンク

「わかった」は嘘かもしれない ― 算数の理解度を確認する方法

2026/5/18

「分かった?」「うん、分かった」

この会話を信じてはいけない。特に中学受験の算数においては。

子どもの「分かった」には、3種類ある。本当に分かっている。なんとなく分かった気がしている。早く終わらせたくて言っている。このうち、使えるのは最初の1種類だけだ。

答えを丸写しにしている、というリスク

解答を渡すと、内容を理解せず写してしまう子がいる。写し終えた後は「できた」という顔をしている。お母さんが確認しても、ノートには正しい式と答えが書いてある。

問題は、次に同じ問題を解かせると、また全く解けないことだ。

これは記憶力の問題でも集中力の問題でもない。「写す」という作業が、思考を完全にバイパスしているからだ。写しながら意味を考えていないので、何も残らない。見た目の上では「勉強した」という実績だけが積み上がっていく。

見分ける方法は、一つだけ

確認方法はシンプルだ。

「答えを見ながらでいいから、お母さんにこの問題を説明してみて」

これを子どもに言う。説明させる。

ちゃんと理解していれば、話せる。「この問題はまず全体の数を求めて、次にここを比で分けて…」と、自分の言葉で筋道を説明できる。

何を言っているか分からなければ、理解していない。「えっと、あの、これがこうなって…」という状態で、聞いている側が意味を追えないなら、本人も理解できていないと判断していい。

言葉でなく「図と表」で説明させる

算数は、言語で説明することが難しい教科だ。数字の操作を言葉に変換するのは、それ自体が高度なスキルだ。

だから、言葉での説明を求めなくていい。

「この問題を図にしてみて」「表で表してみて」と言う。一言も喋らなくていい。手を動かして、図か表が完成すれば、理解していると判断できる。

図が書けない、表が作れない、という場合は、解法を「暗記」しているだけで、問題の構造を「理解」していない可能性が高い。

算数は、図と表で考える教科だ。頭の中に映像が描けない状態で問題を解いているのは、目をつぶって歩いているようなものだ。

「説明させる」ことで、子ども自身も気づく

この確認作業には、もう一つ効果がある。

説明しようとする過程で、子ども自身が「あれ、ここどうなってたっけ」と気づく瞬間がある。自分が理解できていなかった箇所を、自分で発見するのだ。

お母さんから「ここが違う」と指摘されるより、自分で「あれ、ここおかしい」と気づく方が、修正の精度がはるかに高い。そして記憶にも残る。

「分かった?」と聞くのをやめて、「説明してみて」に変えるだけで、家庭学習の質は大きく変わる。

このブログを書いた先生

中学受験の指導が得意なオンライン家庭教師一覧

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

過去問はいつから・どう使うか ― 6年生5月の正しい活用法

2026/5/18
「過去問はまだ早い」と言う人がいる。「過去問はもう始めるべき」と言う人もいる。どちらも間違ってはいないが、どちらも「なぜ過去問をやるのか」という目的から考えていない。目的を明確にすれば、使い方は自然に決まる。過去問には、複数の目的がある過去問を解く目的は、一つじゃない。整理すると、主に三つある。一つ...
続きを読む
ヒロユキの写真

教えすぎる先生が、子どもの算数を止めている

2026/5/18
「分かりやすい先生がいい先生」という認識を、一度疑ってほしい。説明が丁寧で、どんな質問にも詳しく答えてくれて、授業が終わった後に「よく分かった」という満足感がある先生。こういう先生を良い先生だと思っている保護者は多い。でも、分かりやすい授業を受けた後に成績が上がるかどうかは、別の話だ。「教わったこと...
続きを読む
ヒロユキの写真

「図を書きなさい」が逆効果である理由

2026/5/18
言えば言うほど、書かなくなる。「図を書いて考えなさい」「線分図を描いてから解きなさい」。お母さんが何度言っても、子どもは意地でも書かない。特に男の子はひどい。「書かなくても解けるから」と言って、頭の中だけで解こうとする。問題は、頭の中だけで処理できる問題には通用しても、複雑になると破綻することだ。そ...
続きを読む
ヒロユキの写真

丸付けは「解いた瞬間」でなければ意味がない

2026/5/18
中学受験の家庭で、よく見る光景がある。子どもが10問まとめて解く。お母さんが後から採点する。間違えた問題を子どもに返す。子どもが解き直す。一見、ちゃんとした勉強のように見える。でも、これは学習としてほぼ機能していない。タイムラグが、記憶を殺す間違えた直後の脳は、まだ「どこで詰まったか」を覚えている。...
続きを読む