【学習理論】成長曲線とプラトー【勉強の伸び悩み】

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2019/11/15

今日は中高生向けに記事を書きますので、敬体で。



教育学部で教育について学んでいると、今日の記事のようなことを学ぶ機会に恵まれます。

大人であれば感覚的に知っている方も多いでしょうが、

中学生高校生は知らないかもしれません。

ということで、今回は学習時の行き詰まりについて書いていきます。




まず、私たちが学習するとき、学習時間とその成果との関係はどのようになっているのでしょうか?


学習において「自分の成長」をイメージする場合、比例のグラフのようなものを想像するのではないでしょうか。

私たちは、学習時間が増えるにしたがって、同じ量ずつ成長していく、と考えがちです。




ところが、実際の学習成果は、「比例のグラフ」のようにはいきません。

どうなるかというと、たいていは「階段状」の成長をしていきます。


学習してもいまいち成果を感じることができない時期が長く続いて、

ある時点で急にガクン!と伸びます。

もちろん個人差はありますが、たいていはこの経過をたどりつつ、

人は学んだことを身に着けていきます。


思い出してみてください。


小学校のときにやった逆上がりなんて、まさに「階段状の成長」ですよね。

できるようになるまでに、かなり時間がかかったのではないでしょうか。

でも、一度「できた!」を経験したら、その後はなんの苦もなくできるようになります。

あのときの感覚と似ています。


自転車の補助輪を外した幼い頃のあの日。

補助輪をはずすと、うまく自転車に乗れなくて、

悔しくて、練習して、転んで、泣いて、また練習して。

そうやって練習していると、

あるとき突然「乗れる感覚」と出会うのです。

そこからの成長はとても速くて、

あっという間に長い距離を補助輪なしで乗れるようになります。



「ガクン!」の瞬間は、

これまで、どんなに頑張ってもできなかったことが

急にできるようになります。

だからとても嬉しいですし、自信も持ちますし、やる気も出ます。

今までの苦労が報われた、頑張ってよかった、そんな気持ちになります。



ところが問題は、階段状の「平坦な部分」の期間です。

学習段階にもよりますが、この「平坦な部分」では、

勉強しても勉強してもなかなか自分で成長を実感することができません。

だからとてもつらくて、時には意欲をなくしてしまいます。


この平坦な部分を、一般的には「伸び悩みの時期」と呼びます。

教育学の専門用語では「プラトー」「高原期」ともいいます。

プラトー、教員採用試験で出題されますよ!

学校の先生を目指している人は、ぜひ覚えておきたい言葉です。


ここからは、階段状の平坦な部分を「プラトー」と書いていきます。




人が思い描く「成長曲線」と、実際の成長のグラフをまとめると、このようになります。



プラトーに該当する平坦な時期は、自分で成長を実感することができません。

くわえて、プラトーの段階が長ければ長いほど、

自分の思い描いた理想の成長イメージと、現実との差が大きくなってしまいます。

さらに、いつ、この苦しい状態から抜け出せるのかも、自分では全くわかりません。


だから、プラトーの時期は、とてもつらくて苦しく感じます。

ときには、何をやっても伸びないのではないか、

それならば学習する意味などないのではないか、

と感じてしまい、これ以上の学習を諦めてしまうこともあります。



ただ、覚えておいてほしいのは、

その辛く苦しい時期というのは、

自分が爆発的な成長を見せるために必要な時期だということ。

プラトーの期間中は成長を実感できず、とてもつらいのですが、

その後の急成長に必要なエネルギーや知識を蓄えている時期でもあるのです。



この時期に、学習を諦めてしまうことはとっても簡単です。

自分自身が、学習に対する意欲を失ってしまっているからです。


ただ、この時期にこそ、苦しくても勉強を続けてほしいと思います。

もしかしたら明日、あるいは3日後に、突然花開くかもしれません。



私自身の経験をひとつ。

オンライン英会話を始めて約2年になります。

もうすぐレッスン時間が600時間(1200レッスン)に達します。


ここまで順調にやってきたかというと決してそうではなく、

実は1年半、レッスン時間400時間(800レッスン)に達するまでは、

それはもう笑ってしまうくらい成長を感じることができませんでした。


毎日50分のオンラインレッスンに加えて、

仕事の合間に英語学習を続けてきました。

それでもいっこうに成長を実感できないので、

このレッスンを受け続けることに意味があるのかと考え始めたり、

ときには英会話の講師に「今まで頑張ってきたことはすべて無駄だったのではないか」と弱音を吐いたり

精神的に不安定になっていた時期も数しれず。


ところが、レッスン時間が400時間に達するあたりで、


・明らかにつなぎ言葉が減る

・講師の質問に対して即答できることが増える

・使える構文のバリエーションが増える


など、自分で成長を実感できるようになりました。

実際、スピーキングテストの数値も、かつてないほど上がりました。



もしも途中で諦めていれば、それは文字通り「すべて無駄」だったのかもしれません。

でも、レッスンを毎日きちんと受け続けることで、

成長を自分自身が実感できるようになりました。



英会話レッスンを始めて、

最初の「伸び」を自分自身が実感するまでに1年半もかかりました。

そしてまた、今は長いプラトー中で、

今やっていることは無意味なんじゃないかとマイナス思考に陥ってはいますが。




ともあれ、学習において、人が成長する過程というのは

決して数学の「比例のグラフ」のようにはいきません。

自分自身で成長を実感することができなくて、辛い気持ちになる時期は誰にでもあります。


そんなときは、ついマイナス思考に陥りがちですが、

「いまは、今後大きく成長するための準備期間だ」と考えて、

いつか花開く自分を想像しながら

地道に、あなたができることをひとつひとつやっていってください。


プラトーの時期が終わったら、あなたは必ず大きく成長します。

それを考えながら学習に向かうと、

辛いプラトーの時期を、少しだけ楽に過ごすことができるかもしれません。

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