共通テストで何が変わるのか。その勉強法とは。
2020/11/5
2021年から大学入試センター試験に代わり、新たな試験である大学入学共通テストが始まります。
英語の試験に関しては、従来のセンター試験と比べて非常に大きな変化があります。
今回は具体的な変更点と、有効な勉強法について解説していきます。
(この記事は2020年11月の情報に基づいているため、2度に渡って実施された共通テストのプレテストの傾向を紹介しています。)
読解問題が100%となったリーディング
センター試験では「筆記」となっていた問題は「リーディング」となりました。
配点は200点から100点となり、問題数自体は減少します。
その名(Reading)のとおり、英文読解がその全てを占める問題構成となっています。
センター試験では「アクセント」「空欄穴埋め」「文章並べ替え」といった、知識そのものを試される問題も多かったのですが、共通テストではその手の問題は一切無くなることが予想されています。
そのため、純粋な英文読解力を試される試験となっています。
ただ英文を読み取れればよいというわけでもなく、情報の効率的な整理や資料を一読して概要を把握するなど、問題に対しての対策も必要です。
とにかく英文を読む試験です。その量自体はセンター試験とさほど変わらないのですが、すべて読解問題というのは日本の英語の試験でも非常にまれな試験ですので、戸惑う生徒さんも多いと思います。
これは私見ですが、知識そのものを問われる傾向があったセンター試験と比べて、共通テストは「英語が得意な生徒が高得点しやすい」テストであると思います。満点も狙える試験です。
というのは、知識が問われるとどうしても穴というものはあるのですが、読解問題では細かい部分がわからなくても全体像を理解して整理すれば解ける問題も多いため、純粋に英語が強い生徒さんにとって解きやすいからです。
逆に英語を苦手としている生徒さんにとっては、短期間の詰込みではどうしようもない問題ばかりとなってしまうので、苦戦することが予想されます。
比重が大きくなったリスニング
リスニングにおける一番の変更点はボリュームの増大です。センター試験では50点だった配点が100点まで引き上げられ、問題数も増えました。
また問題自体はセンター試験とさほど変わらないのですが、今まで2回読まれていた問題の中で1回しか読まれない問題も出題されます。
日本人にとってリスニングは鬼門と言えます。日本で生活している限り、リーディングよりリスニングのほうが得意となることはほぼ無いといってもよいくらいです。
そのボリュームが増えたというのは、受験生取ってはとても大変なことだと思います。
しかしながら、このリーディング:リスニング=100:100という配点は基本となるものであり、大学によってこの配点比が変わります。
志望校がどういう配点なのか、事前に必ず確認するようにしましょう。
効果的な勉強法
センター試験過去問は使えるのか?
センター試験は1990年から実施されており、現在では過去問が豊富にあり受験生の多くが手に取ったことと思います。
さて、共通テストの対策としてセンター試験過去問が有効かどうかですが、「リーディングは部分的に有効」「リスニングは有効」と言えます。
まずリーディングですが、前半のアクセントや空欄穴埋めは、少なくとも実戦的ではありません。共通テストに出題されないはずだからです。
後半における長文読解は十分に問題演習として使えるでしょう。しかし問題の傾向が若干異なるので注意は必要です。
リスニングはセンター試験の過去問は共通テスト対策に使うことができます。しかしこちらも問題の傾向が異なる部分があるので、過信は禁物です。
効果的な対策について
まず念頭に置いていただきたいのは、読解問題が100%だからと言って基本的な文法演習や単語練習をおろそかにしてはならないということです。
英文の情報を分析し、まとめる力が問われるのが共通試験ですが、そのためには基本的な文法知識、語彙力は不可欠です。
ただただ英文を読んでいくのではなく、まず足元を固める練習をしましょう。
その上で、英文読解や共通テストのプレテストや予想問題といった実戦演習をするべきです。
つまり、基本的な英語の勉強法はセンター試験とさほど変わらないということです。
プラスアルファとして、英文読解のポイントを理解し実行できるよう訓練をしていきましょう。
リスニングについても同様です。まず英語のリスニングに慣れるということからスタートし、共通テスト特有の問題形式に取り組んでいくべきです。
リスニングの対策としては音読もとても有効です。文章がどう読まれるか、何を意識しなければいけないのかを知る上でも音読は威力を発揮します。できれば初めは信頼できる指導者についてもらいながら、音読の練習をしてみましょう。
特に高校2年生、1年生に取り組んでもらいたいのは、「英文の要約」です。
リーディング・リスニングともに本文の内容を要約した分が設問として出されたり、またはその逆のパターンが出題されたり、「内容の一般化」というものに慣れていく必要があります。
自分で文章を要約するのは勉強法として非常に有効です。しかし、時間もかかる勉強です。
なるべく早いうちから、こうした時間のかかる勉強に着手するよう意識してほしいと思っています。
この先生の他のブログ
日本人にとって英語のリスニングは鬼門と言えるでしょう。なぜなら身の回りで話されている言語の99%が日本語だからです。単一民族である日本人が日本にいながら、英語のリスニングの力を鍛えるのは至難の業と言えます。ですが2021年に実施される大学入試共通テストのように、これからリスニングの力はその重要性を増...
国語や現代文を教えているとよく思うのが、「問題を解くにあたっての心構えを知らない。」ということです。学校の国語の授業はとても大切で、決して軽んじてはならないとは思いますが、一般的な学校の授業では多くの場合、残念ながら受験問題に対応する授業は出来ていないのではないかと思います。だからこの「問題に対する...
私も一人の親として、保護者の方、特に小学生または中学生の子供をお持ちの方にぜひ伝えたいことがあります。それはお子さんを「待つ」ということ。お子さんの成長や発達を辛抱するということは、勇気のいることだと私も実感していますが、保護者さんにも改めてお伝えしたいと思います。「待つ」とはお子さんを尊重すること...