ささやかなサポート(体験記)
「思春期、青年期はだれでも悩み多きもの」と言いますが、そんなことは悩みの真っただ中にいる本人にはわかりません。大人になって振り返ってみると、「ああ、あの感情は年齢特有のもので、自分だけではなかったのだな。」と理解できました。(私の場合はですが。)
プロフィールにも記しましたが、私は高校時代まったく勉強への意欲が湧かず、辛い時期がありました。やらなくてはいけないということはわかっていてとても焦るのだけれど、金縛りにあったみたいに体が勉強へと向かわないのです。なぜこんなに苦しいのか理由はよくわかりませんでした。そして当然、坂道を転げ落ちるように成績は下がりました。
「中学の時には見せたこともないような悪い成績なのだから、きっと叱られるだろう。」毎回通知表を持ち帰る学期末は、親に何を言われるかとドキドキしました。しかし、両親とも何も言わないのです。「高校の成績表は10段階評価だから、悪い数字がごまかされているのだろうか?」・・。多少不機嫌で物言いたげな表情で父はご飯を食べていますが、いつもと変わらない食卓の雰囲気に私は胸をなでおろしたのを覚えています。学校も10日に一度くらい休んだり、遅刻したりしていましたが、それについても何も言われませんでした。
当時を振り返って「どうして何も言わなかったの?」と母に尋ねたことがあります。「ただ怠けているのではなく、何かを考えているのはわかったから。お父さんにも玄関先で真っ先に出迎えて、“絶対に叱らないでやってくれ”と釘を刺していた。」のだと教えてくれました。娘を叱ることなく追い詰めることなく普通に過ごしてくれた両親に感謝しています。
けれども、とても欲張りなことをいうと、あの頃もしも、言葉ではどう表現していいのかわからない思いを打ち明けられる人が一人でもいてくれたら、一緒に勉強机に向かってくれるような人がいてくれたら・・。私はもう少し楽に“青年期”をやり過ごせたかもしれないなと思います。
人生に無駄なことはないのでしょう。誰にも打ち明けずじっと孤独に耐えた時間は、私に、孤立したり悩んだりしている人の声を聴こうとする力を培ってくれました。
今こうして家庭教師の仕事を通して、生徒さんに寄り添い、学習面の不安を和らげる“ほんのささやかなサポート”をさせていただけることを嬉しく思っています。
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