【国語論】一朝一夕にはいかない小論文
2024/3/21
「一朝一夕にはいかない」
2023年の受験を終えて、特に小論文指導で感じたのはこれでした。
今回は共通テスト後も受け入れをしていたので、
二次試験で小論文を受ける生徒さんの申し込みがありました。
この時点で「小論文で受験をしよう!」という人は国語が得意な比率100%です。
国語で絶対的に必要な語彙力だって低くない。
それでもたった1カ月半の修業期間では、厳しい戦いとなりました。
6回のレッスンでギリギリ仕上がったか……!? という感じです。
文章を書くのは苦ではない。文法的にも正しい文章を書ける。
一見、整った小論文に見える……のですが、
文句なし! とはならないのは
“小論文を書くための論理的思考力”が足りないから。
これは仕方がないことで、高校で小論文の授業なんてやらないし
作文をガンガン書かせる学校はあっても、
“書き方=書いて伝える方法”自体はほとんど教えていません。
生徒さんが悪いのではなく、学校教育で足りていないのだとヒシヒシ感じます。
ときどき進研ゼミやZ会の「小論文通信講座を受けました」という子がいますが、
それなりの形になってはいるけれど、
合格するためには“思考力=課題を深めて考えること”の養成が必要だと感じます。
もうお分かりでしょう。
「一朝一夕にいかない」理由は、“思考力”を育てるのに時間がかかるからです。
60分や90分という短い時間のなかで与えられたテーマについて考えを深め、
自分で出した結論に向かって論理だてて説明し、
かつ精度の高い文章で表現する。
こんな難しいアウトプットを、受験という緊張度の高い環境で行わなければならない。
しかも採点者は論文百戦錬磨の大学教員。
この難易度の高い試験に挑むための剣が、“論理的思考力”だと私は思います。
論理的思考力は現代文の読解でも身に付きますが、
小論文ではさらにそれを駆使して書く=アウトプットする作業が入ります。
学校教育の中ではほとんどやっていない訓練だからこそ、
鍛錬の時間が必要なのです。
私の小論文のレッスンでは、添削した原稿をもとに
「どうしてこの朱を入れたか」
「なぜこのように論を展開したのか」
「何を改善したら説得力が増すのか」
と1時間みーーーーーっちりディスカッションします。
ずっと頭を働かせてもらい、論理的思考力を育てたいからです。
キラリと個性が光る小論文を書いてほしいからです。
私も生徒さんと「あーでもない、こーでもない」と
話し合いをしているときはとても楽しく、
独特の疲れと爽快感を同時に感じます。
「一朝一夕」は中国の易経が由来です。
一朝一夕が使われたエピソードには
「予兆があればすぐに対策を講じるべきである」という教訓もこめられています。
「小論文で受験しよう!」と思い立った日が吉日。
気の合う先生や塾を見つけて早く対策を始めてくださいね。
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