#15合格曲線ってなに?
2023/7/8
今回の記事では「合格曲線(成長曲線)」についてです。
「勉強を頑張っているのに思ったように成績があがらない」そう思っている受験生は多いはずです。でも、焦りやあきらめは禁物。理由が気になる方は、是非最後までご覧ください。
「学力」っていうのはつかみどころがない
まず、①学力は目に見えないですよね。「愛」と「勇気」も同じです。そして、②学力はわかりやすく直線的には伸びてくれない。以前に述べましたが、模擬試験はある時点の学力をサンプルする、ひとつの情報源にすぎません。
だからこそ、「ある時覚醒したかのように急激にできるようになる」という話を耳にするととても気になります。諦めずに勉強を続けていると、やってくるらしい急成長。果たして、ほんとのことなのか。
私は脳科学の学者でもなく、ましてや文系です。細かなエビデンスの明示、論証はできませんが、受験生とタッグを組んで取り組んできた経験値から、一つ「確かにそうだな」と実感できた切り口をご紹介します。それは…
「記憶力は今持っている情報量に左右される」ということ。事前にもっている知識が多ければ多いほど、新しい情報をつかむ握力が強くなるのです。勉強を効率化する重要な考え方なのですが、それだけ聞くと、「はて?どんな原理で?」と思いますよね。
ひとつ例を挙げようと思います。
皆さんご存じの国民的テレビアニメ『ドラえもん』。そして、同じ藤子不二雄作品の『キテレツ大百科』で考えてみましょう。
(本当はイラスト付きで説明するとわかりやすいと思うんですが、著作権に配慮して引用しませんので、適宜ネット検索してみて下さいね。)
ドラえもんには、ジャイアンという個性的なキャラクターが登場します。乱暴な『ガキ大将』で、ことあるごとにのび太をいじめます。でも何故か、劇場版では男らしい戦友です。男気あふれる、頼もしい兄貴分になります。あと、歌が下手。
ジャイアンのことは良く知っているんです。
これを予備知識だと思ってください。
次に、キテレツ大百科を読むと、熊田薫という名前のキャラに出会います。ニックネームはブタゴリラ。私と同世代の方は調べなくてもわかると思うのですが、高校生世代の人は知らないキャラクターですよね。
熊田薫のことは、まったく知らなくても、「ジャイアンみたいな人」って言ったらなんとなくわかりませんか?知らない人物ではあるものの、自分が知っている情報に一番近しいものに重ねて理解する。これが近似です。事前情報が何もないときよりも、何倍も早く受け入れられるはずです。
(高校生の皆さんは、熊田薫を調べてみてください。)
しかし、それだけではダメです。だって、ジャイアンとブタゴリラは別人なんですから。近似の次は、対比です。それぞれの違い目に注目するんです。
細かく比べると、腕っぷしは、圧倒的にジャイアンの方が強いんです。ブタゴリラは見た目に反して、キテレツやトンガリと同じぐらい。普通の強さです。また、性格上は、ジャイアンが「兄貴」気質なのに対して、ブタゴリラは「江戸っ子」気質。微妙に違うんですよね。
ほら、スムーズに受け入れて、理解できたでしょう。
同じような意味の単語は共通点でひとまとめにして、そのあと違いに目を向けると複数個一気に覚えられます。(古文単語ならFORMULA600が秀逸です。)枕草子や徒然草などは繰り返し出題されるので、次の読解にも生かせるし、現代文では、筆者の主張は違っても同じフィールドでお話しが展開されているでしょう。ジャンルを読み解く重要単語を覚えて、読解力を補強できます。勉強内容じゃなくても、ある科目や単元を「得意」にした経験だって、予備知識の一つです。英語ができるようになったのと同じように、古文もやってみよう!成功体験があると人は強くなる!
古文で例示すると
「やむごとなし」は単語帳によって最優先とする訳し方が異なる厄介な単語です。一度覚えても、あれこれしている間に、いろんな現代語訳が入ってきて、結局全部忘れてしまう。そんな時は、知っている単語でグループ化できないか考えます。
「この上ない」という訳があります。「the best」という意味の単語を他に知っていれば、それらとひとくくりにしましょう。ついでに類語を調べて重要そうならひとまとめです。微妙な意味の違いなどを理解することができ、「やむごとなし」を単品で暗記するよりも学習の質が高いです。既に知っている知識を上手く使えば、反復無しで一回で暗記できるでしょう。
まとめ
予備知識が増えれば増えるほど、近似、関連付けがしやすくなりますね。そして、違いに注目すれば、理解度はもっと高くなる。それが急激にはかどるようになるのが「合格曲線のゾーン」です。
『地道に学習する時間は誰にでも必要だ』
それを知らずに、途中で投げ出すのはもったいない。そして、できるだけ早くその状態に到達したい。夏の有り余る時間を、知識吸収に十分に活用しましょう。夏の過ごし方で、入試結果が変わるんですよ。コツコツと単語を覚えた人、コツコツと演習を続けた人、コツコツと予習復習を欠かさなかった人にしか、訪れない「ゾーン」です。でも「やればできる!」「自分は変えられるよ!」
夏期講習、頑張りましょうね。応援しています!
それでは、また。
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