ショート動画を見続けることは、子どもの学習に影響する?
TikTokやYouTube Shortsなど、短い動画が次々に流れてくる「ショート動画」。
私自身も好きです♪ちょっとした空き時間に見ると楽しいですし、知らなかった情報や面白いものにも出会えます。
でも、最近気になるのが、
「少しだけ見るつもりだったのに、気づいたらずっと見ている」
という状態です。
特に子どもにとって、こうした「次々と刺激が与えられる動画を受け身で見続ける時間」は、学習との関係でも少し注意しておきたいものです。
まず知っておきたい、ショート動画の心配な点
ショート動画そのものが悪い、という話ではありません。
短時間で英語・料理・DIYなどを習得できる学びが多いのも事実です。
研究では因果関係がすべて証明されているわけではありませんが、ショート動画の過剰・問題的な利用について、次のようなことが報告されています。
① 注意を長く保つこととの関連
短い動画を次々と切り替えて見る習慣と、注意力の低下や不注意との関連が報告されています。
2025年の大規模な研究レビューでは、ショート動画の利用と認知機能との関係も研究されており、特に「集中する力」や「気が散っても、やるべきことに戻る力」との関連が指摘されています。次々と新しい動画が流れてくる環境に慣れると
●「すぐに面白いものが出てこないと退屈」
●「長い文章を読むのがつらい」
●「勉強中に別のことが気になってしまう」
といったことにつながる可能性があります。
② 「我慢してやめる」「自分をコントロールする」こととの関連
ショート動画は、次の動画が自動的に用意されています。
「次は何を見よう?」と考えなくても、次々に興味を引きそうな動画が出てきます。
そのため、長時間の問題的な利用については、自己コントロールや衝動性との関連も研究されています。
③ 「暇だから自分で何かをする」時間が減る
これは研究結果というより、日常生活で考えてみたいポイントです。
以前なら、
「暇だな。何しよう?」
から、
「絵を描こうかな」
「本を読もうかな」
「何か作ってみようかな」
と、自分で遊びを生み出し能動的に行動していた時間。
そこがすべて、
「とりあえず動画を見よう」
に受動的にしまう可能性があります。
④ 「あと少し」が止まりにくい
ショート動画は、一つ見終わるとすぐ次の動画があります。
「もう一本だけ」
が繰り返され、気づけばかなりの時間が経っていることもあります。
その結果、本当はやりたかった勉強や趣味、睡眠などの時間が削られてしまうこともあります。
では、学習にはどんな影響が考えられる?
勉強には、「自分から頭を動かす時間」が必要です。
例えば英単語なら、
「この単語、何て読む?」
「前に見たことがある」
「思い出せない。もう一回やってみよう」
と、自分で考えて思い出します。
数学なら、
「この問題、どの公式を使う?」
「この方法では解けなかった。別の方法を試そう」
と考えます。
つまり学習には、
集中する
↓
考える
↓
分からないところで止まる
↓
試してみる
↓
間違える
↓
もう一度やる
という過程があります。
一方、ショート動画は基本的に、
見ているだけで次の刺激がやってくる
という受け身の時間になりやすい。
もちろん、動画を見ること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、
「自分で考えて行動する時間」よりも、「次々に刺激を受け取る時間」が多くなっていないか
ということです。
「暇な時間」は、意外と大切
私自身もショート動画を見るのでよく分かるのですが、
「あと5分あるから動画を見よう」
とすると、その5分があっという間に消えてしまいます。
そして以前なら、その5分でやっていたような、
「ちょっと絵を描く」
「何か作る」
「本を読む」
「次にやりたいことを考える」
といったことを、しなくなってしまうことがあります。
これは子どもにも同じことが言えるのではないでしょうか。
何もすることがない時間に、自分で「何をしよう?」と考える。
そこから遊びや創作が始まることがあります。
だから、子どもが「暇~」と言ったとき、すぐにスマホを渡して暇を埋めるのではなく、
「暇な時間も、自分で何かを生み出す時間になる」
と考えてみるのもよいかもしれません。
スマホを禁止する必要はない
大切なのは、
「ショート動画=悪」
と考えることではありません。
楽しいものだからこそ、上手に付き合う。
例えば、
何となく見る時間を減らす
「あと一本」を繰り返さない
勉強中はスマホを手の届かないところに置く
寝る前に延々と見続けない
動画を見る以外の趣味や遊びも持つ
「暇なとき、自分なら何をしたい?」と考える
など、家庭でできることはいろいろあります。
そして子どもに育てたいのは、
「スマホを使わない子」ではなく、
「スマホ以外にも自分で楽しみを見つけられる子」
なのではないでしょうか。
学習でも遊びでも、
自分で考える。
自分で選ぶ。
自分から動く。
この力は、勉強だけでなく、これから先の生活にもつながっていきます。
ショート動画を楽しみながらも、そこに時間をすべて持っていかれない。
そのバランスを、親子で一緒に考えていきたいですね。
※現在の研究では、ショート動画の利用と注意力・自己コントロールなどとの「関連」が報告されていますが、「ショート動画を見ることが直接これらを低下させる」と因果関係が確定したわけではありません。研究は現在も進んでいます。